太田文雄の記事一覧
いつ、どこからでも-脅威増す北のミサイル 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
北朝鮮は日本時間の12日朝、弾道ミサイルを西岸から日本海に向けて発射した。これは米国で日米首脳会談が行われた直後というタイミングであり、政治的には日米同盟に対する挑発の意味合いがあったと思われるが、ここでは軍事的な意味について考察してみたい。 当初は「ムスダンと見られる」との報道であったが、西岸から日本海に向けて発射されたことから、その可能性は低いと思った。理由はムスダンに使用されている液体...
【第420回】国防長官の顧問から米戦略を予測する
国基研企画委員 太田文雄 トランプ米政権のマティス国防長官が初来日し、安倍晋三首相や稲田朋美防衛相と会談した。マティス長官は日米同盟の重要性を確認するとともに、中国が触手を伸ばす尖閣諸島は米国の対日防衛義務を定めた安保条約第5条の適用対象であると明言して日本側の不安解消に努めたが、本直言では2週間前に同長官が選抜した2人の顧問から今後の米国防戦略を予測してみたい。 ...
欧米はなぜ中韓のプロパガンダを信じるのか 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
16日付で、「慰安婦問題でなお偏向する米紙社説」と題する「直言」を書いたが、その後、アパホテルが客室に備え付けた図書について中国外交部が、「南京大虐殺などを否定するものだ」と、いわれなき攻撃を加えている。 直言では、「性奴隷」という表現と「20万人」という数の両面で事実と異なることを指摘したが、南京大虐殺についても「大虐殺(ナチスがユダヤ人に対して行なった組織的殺戮)」という表現と「30万人...
【第417回】慰安婦問題でなお偏向する米紙社説
国基研企画委員 太田文雄 1月6日付の米紙ニューヨーク・タイムズは「慰安婦問題に終わりなし」と題する社説を掲載した。社説は、慰安婦問題に終止符を打てないのは日本と韓国の両方に責任があるという立場を取っているが、事実と証拠に基づかない韓国側のプロパガンダをうのみにしている。 ●事実と証拠を無視 社説は「何万人もの朝鮮人その他アジア人女性が性奴隷になるよう強要された...
憲法改正の遅れで切迫する安全保障環境 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
大晦日のNHK報道によれば、衆議院憲法審査会の森英介会長(自民党)は憲法改正について、「国民の合意形成が重要だ」とし、拙速な議論は慎むべきだという考えを示した。「拙」はともかく、速やかに行わないと我が国を取りまく厳しい安全保障環境は待ってくれない。 ごく最近の我が国周辺の安全保障環境を概括しただけでも、以下の様な厳しい状況が見えてくる。 昨年11月には中国の爆撃機や戦闘機が多数、宮古海峡...
オスプレイの不時着に思う 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
13日(火)の夜、沖縄県名護市の海岸に米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイが不時着した。これに対し、在沖縄米軍トップのニコルソン四軍調整官(海兵隊中将)が、抗議に訪れた沖縄県の安慶田副知事に対し、パイロットは住宅地を避けて海上に不時着させたと説明し、県民や住宅に被害がなかったことは「感謝されるべきだ」と述べたと報じられ、批判を浴びている。 ニコルソン調整官の発言は誤訳された可能性が指摘されている...
【第410回】トランプ次期政権高官に対する一抹の不安
国基研企画委員 太田文雄 トランプ次期米大統領はジェームズ・マティス元海兵隊大将を国防長官に指名した。彼を良く知る人物はマティス大将を「完全な学者戦士」と評しており、行動・実行力に富むだけでなく知的な将軍であるらしい。しかし、彼は主要配置として米中央軍、米統合戦力軍、北大西洋条約機構(NATO)変革連合軍等の司令官を務め、アジア太平洋地域での経験は中尉時代に沖縄に勤務した程...
もう一つの憲法9条:海上保安庁法25条 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
現憲法は終戦直後に、当時の連合国最高司令官マッカーサー陸軍大将が日本に押し付け、今日でも左翼の人達はそれを後生大事に守ろうとしている。海上保安庁が創設された1948年5月、この創設に強く反対し同組織を軍として組織かつ訓練することを禁じた第25条を挿入することを強硬に主張したのは、米英ソ中の代表からなる連合軍総司令部の諮問機関である対日理事会のソ連代表デレビヤンコ政治中将であった。未だに海上保安庁...
中国は尖閣奪取で米新政権の出方試す 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
先週1週間シンガポールでの国際会議に参加した。その中で感じたのは、中国の代表が米トランプ新政権は内向きであり、アジアにおける中国の影響力を増大するチャンスと認識していたことである。逆に日本はトランプ政権の誕生でショックを受けているとも発言していた。 これに対し筆者は、却ってトランプ政権の安全保障補佐官に指名されたマイケル・フリン元国防情報局長官は、オバマ政権でウクライナ・シリア・南シナ海等全...
トランプ政権誕生を「あるべき安保」考える奇貨に 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
予想外のトランプ氏当選にメディアは、「喜ぶ露・中・北朝鮮と青くなる米同盟国」といった論調である。しかし、米国は三権分立の国であり大統領の意向だけで外交安全保障政策が決まる訳でもない。選挙中の公約がそう簡単に具現化しないことはカーター元大統領の選挙中の在韓米軍撤退発言からしても明らかである。 まず、トランプ政権で安全保障政策の要となるマイケル・フリン元陸軍中将はかつて米国防総省の国防情報局長官...
日韓GSOMIA協議再開の意義を考える 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
報道によると、先日東京で開かれた日米韓の外務次官協議で日韓両政府は、間の防衛秘密を交換する際の手続きを定めた軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の協議を11月にも再開することで合意した。年内の締結を目指すという。 日韓GSOMIAは2012年6月に締結される予定だったが、歴史問題を背景とする国内世論の反発を受けた韓国政府が署名式の約1時間前にキャンセル。現在まで棚上げされたままになっていた。...
侮れないムスダンの連続発射失敗 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
北朝鮮は、本年6月22日に中距離弾道ミサイル、ムスダンの発射に初めて成功、しかも上部に打ち上げるロフテッド軌道という難しい発射であった。その約2カ月後の8月24日には潜水艦からの弾道ミサイル発射を成功させている。ところが、10月に入ってからは15日と20日に連続してムスダンを発射し、いずれも失敗している。これらの一連の発射結果は一体何を意味するのであろうか? 筆者は一切秘密情報に接していない...
【第403回】比大統領の対中傾斜を止める日本の責務
国基研企画委員 太田文雄 先週、中国首脳に手厚くもてなされ、米国との「決別」さえ表明したドゥテルテ・フィリピン大統領が25日に来日する。米ペンシルベニア大学のアーサー・ウォルドロン教授は「(フィリピンを中国になびかせないために)カギを握るのは日本だ」と安全保障専門家とのインターネット上の対話で述べている。日米同盟における日本の貢献度が試されている。 ●ミスチーフの教...
ミサイル防衛は専守防衛の呪縛にとらわれずに 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
北朝鮮のムスダン発射失敗と合わせ、産経新聞は17日付朝刊で、弾道ミサイル防衛に追加補正予算計上のニュースとともに、河野克俊統合幕僚長のインタビュー記事を掲載。この中で河野統幕長は米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)など新たな装備の導入に関して、「まだ私から何とも申し上げられないのですけど、今後検討していく必要はあると思います」と述べていた。 確かに短射程の地上発射型PAC-3は「あいくち」...
他にもある外国人土地買収の安全保障上の懸念 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
昨今の産経新聞紙上では外国人が日本の土地を買収することについて懸念する連載記事が掲載され、日本維新の会がこれを規制する法案を今国会に提出することとなった。その議論の中では安全保障上、また水資源を守ることが目的となっているが、安全保障上の問題で議論となっていないことを述べてみたい。 尖閣諸島を始めとする南西諸島方面で有事が生じた場合、防衛白書の「南西地域への機動展開イメージ図」が示すように、補...
富坂氏の「中国は終始守勢」には首をかしげる 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
来月の米大統領選を前にオバマ大統領の安全保障政策を総括してみたい。彼が任期中に公表した「国家安全保障戦略」には、前文で「スマートな国家安全保障戦略は単に軍事力に頼らない」と述べ、本文でも「力の行使は我々の処理の単なる道具ではない」など書いている。 仮に念頭にあっても表には出さぬ方がいいこともあるが、これを読んで中国、ロシアや北朝鮮は「オバマ政権組みしやすし」と考えたに違いない。事実、南シナ海...
貿易の対中依存を減らせ 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
米政府系シンクタンクであるランド研究所が、『中国との戦争(War with China- Thinking Through the Unthinkable)』という報告書を最近出版したので読んでみた。最後のリコメンデーションで最も印象に残ったのは「中国からの重要物資への依存をできるだけ少なくする」という指摘である。 2010年に沖縄県の尖閣諸島沖で海上保安庁の巡視船に体当たりした中国漁船の船...
スターウォーズへ準備着々の中国宇宙開発 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
中国は先月、暗号解読が不可能な世界初となる量子通信衛星を打ち上げたのに引き続き、9月15日夜には、無人宇宙実験室「天宮2号」を打ち上げた。天宮2号は、10月に打ち上げ予定の宇宙飛行士2人が乗る有人宇宙船「神舟11号」と宇宙空間でドッキングさせる予定である。 ドッキングとは安全に衝突させることであり、急激に衝突させれば過去何回も中国が実験してきた衛星破壊になる。中国がドッキング技術を向上させて...
度重なる北のミサイル発射の軍事的狙い 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
北朝鮮が5日、西岸から再び日本の排他的経済水域に3発の弾道ミサイルを発射した。地上からの発射としては8月3日の2発に引き続く複数発射である。 政治的な意味合いは別として、軍事的には1目標に異なる発射源から同時に複数の弾道ミサイルを到達させ、相手の対応を困難にする訓練を行っているものと思われる。北朝鮮が6日に公表した動画を見ると、複数の移動式ランチャーから時間差を持って発射していることが判る。...
「エアシーバトル」は後退したといえるのか 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
2010年5月に米国防総省はエアシーバトル(ASB)構想を発表、2011年8月の国防総省内にASB室を立ち上げ、2015年1月にはその業務が統合参謀本部のJ-7(統合戦力開発部門)に移管された。ASB構想に深く関わってきた戦略予算査定研究所長のアンドリュー・クレピネヴィッチ氏とは、私が大学院で彼の授業をとった関係から、訪米の度に意見交換を行っており2010年の公表以前からASB構想に関しては彼か...
【第395回】北の弾道ミサイルは固体燃料使用か
国基研企画委員 太田文雄 8月24日に北朝鮮が潜水艦から発射した弾道ミサイルの映像を見ると、白い粉末状の噴煙を出していることから、固体燃料を使用しているのではないかと思った。知人の米国人専門家も「固体燃料と思われる」と同意したため、確信するに至った。固体燃料の使用は、北朝鮮の弾道ミサイル開発が新段階に入ったことを物語る。 ●即応性に優れる固体燃料 現在、北朝鮮...
将来戦を様変わりさせるレールガン 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
産経新聞8月22日付朝刊の一面トップに、「レールガン独自開発」の記事が出ていた。電磁気による加速で発射するレールガンや、レーザー等を利用した指向性兵器は将来の革新的技術になりうる。 レールガンに関しては、米海軍が1〜3番艦を太平洋艦隊に配備を予定している最新鋭ミサイル駆逐艦「ズムウォルト級」で、高度砲システムの次の段階で搭載を予定している。今年、邦訳版が出た米中戦争を描く『中国軍を駆逐せよ!...
中国が対日兵力差5倍を目指す不気味 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
米国防総省が5月に発表した中国に関する年次報告書によれば、2015年の日本の防衛費は408億ドルだったのに対し、中国は外国からの兵器購入や研究開発費は含まれていない公表値で1140億ドルと約3倍だった。これが2020年の見通しになると、日本は殆ど伸びないのに対して、中国は毎年約7%の伸びで2600億ドルとなり、日本の5倍以上になる。 何故5倍という数が重要なのか? それは、人民解放軍が忠...
紛争の尖兵担う海上民兵の恐ろしさ 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
先週は尖閣諸島周辺に約300隻の中国漁船が集結、そのうち2桁の漁船が領海内に侵入した。これら漁船の多くに、定期的に軍事訓練を受けている海上民兵が乗り組んでいることは間違いない。その海上民兵の恐ろしさについて、日本国内では余り認識が進んでいないように思われる。 過去、中国の海上民兵が紛争の尖兵となった事例が多い。まず1974年にベトナムからパラセル(西沙)諸島を奪取した海戦、次に1978年尖閣...
北のミサイルには常時即応態勢が必要だ 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
8月3日、北朝鮮は弾道ミサイルを発射し、うち1発が日本の排他的経済水域である秋田沖に着弾した。今回の発射は、発射台からの発射ではなく、輸送起立発射機(TEL、16輪のTELは中国が北朝鮮に輸出)から発射されたためか、事前の兆候察知ができなかった模様である。 また北朝鮮は、これまでの液体燃料から即応性に優れた固体燃料の弾道ミサイル、トクサを開発しており、益々事前の兆候察知は難しくなる。さらに5...
【第392回】防衛白書に感じた物足りなさ
国基研企画委員 太田文雄 今年の防衛白書を読んで、かつて昭和62年(1987年)に白書の第1部「世界の軍事情勢」の執筆を担当した者として所見を述べたい。今回の白書では、中国の軍事力の具体的な増勢予測について記述がなく、単に「今後の動向が注目される」といった表現が多く目についた。また、今日的なトピックに関しては、読者に分かりやすいように、軍事技術的な比較が必要ではなかろうか。...
ウクライナは虐められているだけの国か? 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
最近のウクライナ情勢に関する報道を見ていると、ウクライナはロシアから虐められている被害者であるかのような内容が多い。だが、果たしてそうであろうか? 現在、中国海軍が保有している唯一の空母「遼寧」は、ウクライナから輸入した嘗ての「ヴァリヤーグ」である。また空母艦載機であるSu-33は、ロシアが中国への売却に応じなかったことから、ウクライナが試作機を中国に売却し、中国はそれを基に国産艦載機J-1...
対中ODAの効果を検証し責任質せ 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
この1カ月間に中国は日本の接続水域や領海を侵犯し、今月発表された今年第2四半期の対中国軍機に対する緊急発進(スクランブル)で飛び上がった航空自衛隊の戦闘機は、四半期ベースで過去最多の199回に上った。 日本側の抗議に対して、中国は逆に「軍の行動は正当、日本が挑発」などと日本を悪者扱いしている。また、中国国内では、いまだに戦争中の旧日本軍の軍人を悪者に仕立てたドラマばかり放映され、さらに199...
「ならず者超大国」中国に対処するには 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
中国はならず者超大国。この表現は、今回の南シナ海に関する仲裁裁判所の裁定を無視する中国のことを表現した言葉ではない。2010年に海上保安庁の巡視船に体当たりした中国漁船の船長を拿捕した際、日本へのレアアース(希土類)輸出を制限した中国に対して、ノーベル賞経済学賞を受賞したポール・クルーグマン博士が米紙ニューヨーク・タイムズに寄稿した中で述べている言葉である。 法によって行動しようとしない中国...
【第381回】中国軍艦の尖閣接近を常態化させるな
国基研企画委員 太田文雄 6月9日未明に中国海軍のフリゲート艦が尖閣諸島の接続水域(領海の外側12カイリの水域)に進入した。1992年に中国が設定した領海及び接続水域法第2条第2項は尖閣諸島を中国の領土と規定しており、さらに同法第13条は「中華人民共和国は接続水域内において(中略)管轄権行使の権限を有する」としている。従って、今回のようにロシア海軍艦艇3隻が「中国の領土...
【第362回】日本は太平洋・インド洋安全保障の要に
国基研企画委員 太田文雄 1月末の米国出張に続き、2月末には英国での国際会議に参加した。両方の出張を通じて感じるのは、国際社会の対中認識が極めて厳しくなりつつあるという潮目の変化である。具体的に言えば、誰もが中国の「言葉の戦い」(War of Words)に基づくプロパガンダを相手にしなくなり、中国指導者の発言と実際の行動に大きな乖離があることを認識し始めた。大きな流れ...
【第359回】 南シナ海での中国軍ミサイル配備の意味
国基研企画委員 太田文雄 南シナ海パラセル(西沙)諸島のウッディ―(永興)島に、中国人民解放軍が高性能の地対空ミサイルHQ9(紅旗9)を配備した。先月、米国に出張した際、米国の専門家は人民解放軍が昨年10月に第4世代戦闘機であるJ11(殲11)を同島に飛来させたと言っていた。 習近平中国国家主席は昨年9月にオバマ米大統領と会談した際、「(南シナ海の)軍事化を追求する...
【第357回・特別版】国際情報戦で遅れをとるな
国基研企画委員 太田文雄 1月下旬、米国各地で「中国の海洋拡張」を発表テーマとして講演旅行をしてきた。日本政府の国際情報発信が不十分であり、海外にいる日本人はそれを不満に思っていることを痛感した。 ●誹謗中傷に直ちに反論を ペンシルベニア大学では、約30名の聴衆に対して発表を約20分間行い、質疑応答に入った。聴衆の中にフィラデルフィア在住の日本人技術者がおり...
【第343回・特別版】自衛隊員・予算増加で持続的な南シナ海監視を
国基研企画委員 太田文雄 オーストラリア空軍がこのほど、南シナ海で哨戒機P3による監視飛行を行った。同国のペイン国防相は12月17日、中国が人工島の軍事化を進める南シナ海での監視飛行をやめるつもりはないと表明。同日付のジャパン・タイムズは今後「日本に注目が集まる」と書いた。 他方で、10月下旬に米海軍のイージス艦ラッセンが人工島から12カイリ以内を通過する「航行の自...
【第341回】同時テロが東京で発生したら…
国基研企画委員 太田文雄 パリの同時テロを受けて、政府は海外のテロ関連情報を収集する「国際テロ情報収集ユニット」を約半年前倒しして立ち上げた。しかし、同組織で関連情報を入手したとしても、適切な対応ができるであろうか。 ●法制上の不備 まず、11月のパリ同時テロの直後、フランスのオランド大統領は非常事態を宣言したが、日本国憲法には緊急事態条項がないので、国家の...
【第337回】着実に進む中国の東シナ海軍事化
国基研企画委員 太田文雄 「11月11日と12日に中国海軍のドンディアオ(東調)級情報収集艦が尖閣諸島南方海域を東西に反復航行した」と防衛省が公表した。今年7月に政府は東シナ海で中国が建設中の多くの海上プラットフォームの写真を公表したが(第317回「今週の直言」平成27年7月27日)、昨年末には中国が東シナ海に面する浙江省の南麂(なんき)列島を軍事基地化しているとの報道...
【第335回】南シナ海「航行の自由」作戦に日本も参加を
国基研企画委員 太田文雄 南シナ海の中国人工島12カイリ以内に米海軍のイージス艦ラッセンが進入した。中国は反発しており、米艦艇の行動を口実に人工島の軍事化加速を要求する官製メディアもある。しかし、米艦艇の行動如何に拘らず、中国が南シナ海に主権を及ばせて防空識別圏を設定し、人工島を軍事利用することは既定路線であると考えられる。国際社会がそれを放置すれば、中国の南シナ海領有...
【第330回】ロシア新型弾道ミサイル原潜の太平洋配備の意味
国基研企画委員 太田文雄 9月30日にロシアのボレイ級戦略弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN)「アレクサンドル・ネフスキー」がカムチャツカ半島東部に到着したと同日の米有力インターネット新聞インターナショナル・ビジネス・タイムズがロシアのイタル・タス通信を引用して報じた。 これまで、ロシアの北海艦隊には新型弾道ミサイルのブラバを搭載するボレイ級SSBNが配備されていた...
【第327回】中国製通信機器・ソフト使用の危険性
国基研企画委員 太田文雄 私も一時使用していたイー・モバイル(移動中でもインターネットができる通信サービスで、端末機器の多くは中国のファーウェイ=華為=社製)や、米マイクロソフト社のオフィス製品(ワードやエクセル等)に似せた中国キングソフト社の安価なソフト、あるいは中国製の安いウイルス対策ソフトは、使用するとパソコン内の情報が中国当局に筒抜けになる危険性がある。 2...
【第326回・特別版】抗日戦勝70周年軍事パレードのまやかし
国基研企画委員 太田文雄 第二次大戦で日本が戦ったのは中華民国であり、共産党が支配する中華人民共和国ではない。従って中華人民共和国は戦勝国のメンバーではなく、抗日戦勝70年パレードを行うのは歴史の捏造である。中華人民共和国の成立は戦後の1949年で、国際的に最初に行ったことは朝鮮戦争への介入で韓国に侵攻し国連軍と干戈を交えて挑戦したことである。その韓国の大統領と国連の事...