北朝鮮は、本年6月22日に中距離弾道ミサイル、ムスダンの発射に初めて成功、しかも上部に打ち上げるロフテッド軌道という難しい発射であった。その約2カ月後の8月24日には潜水艦からの弾道ミサイル発射を成功させている。ところが、10月に入ってからは15日と20日に連続してムスダンを発射し、いずれも失敗している。これらの一連の発射結果は一体何を意味するのであろうか?
筆者は一切秘密情報に接していないため、以下の視点は推測の域を出ないが、限られた情報から予測を試みてみたい。
北朝鮮の弾道ミサイル開発は、西側の兵器開発の常識に反して、過去には一度発射に成功すると即実戦配備してきている。それが今回は成功後も発射を繰り返している。この謎を解く鍵は、潜水艦から発射した弾道ミサイルが、これまでとは異なり、固体燃料を使用していたことに注目すべきであろう。
固体燃料の弾道ミサイルは液体燃料の弾道ミサイルに比し、格段に即応性が高まる。潜水艦から発射して成功した固体燃料の弾道ミサイル技術を、陸上発射型の弾道ミサイルにも適用したいと考えるのは、核・弾道ミサイルの開発に血道を上げている金正恩としては当然だろう。しかし、固体燃料は燃料内部の均一性を保たなければならず、製造技術が難しい。北朝鮮は、そのための試行錯誤を重ねているように思われる。
我が国としては、ムスダン発射が2回も「失敗」したのではなく、今後急速に北朝鮮が弾道ミサイル発射の即応性を高めていく過程と捉えるべきで、しかるべき対策をとっていかなければなるまい。
イージス艦を日本海に展開するには、乗組員の緊急召集から出港まで数時間かかる。18日付の本欄でも筆者は、海上発射型弾道ミサイル防衛システムを陸上に配備することについて提案した。同システムは将来的には巡航ミサイルにも対応でき、策源地攻撃ができるトマホークの発射も可能となる。防護範囲も、長野県の松本付近に配備すれば東京と名古屋がカバーできる。
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