14日早朝、北朝鮮は北西部
亀城から北東方向に約800km飛翔したということから稲田朋美防衛大臣は、高度2000kmを超える新型弾道ミサイルで、意図的に飛距離を抑えるために高度を高くするロフテッド軌道をとったものと思われるとしている。高高度に達して落下する弾道ミサイルを迎撃することは、極めて高速となるため現在の弾道ミサイル防衛では難しくなってくる。
今回のミサイルは、通常の弾道ミサイルの飛翔高度に均した場合、約4000km以上でグアム島に軽く到達できる。米太平洋軍は「大陸間弾道弾(ICBM)ではない」としているが、ICBMの定義である5500km以上の射程に近いと推測される。
これまで米国は、ICBM発射と核実験を行った場合、軍事行動をもとる可能性を示唆して、「全ての選択肢がテーブルにある」と言ってきたことから、今回の弾道ミサイル発射により米朝間の軍事的緊張は新たな段階に入ったと見るべきであろう。
現在、日本海にはカール・ビンソン空母機動部隊が展開しているが、これでは北朝鮮西岸の弾道ミサイル発射源を攻撃することは難しい。このため、黄海側にも別の空母機動部隊を展開する可能性が出てきた。
●北の発射源基地攻撃の可能性も
横須賀を事実上の母港とする空母ロナルド・レーガンは今月7日に出港して艦載機の発着艦訓練を行い、12日に帰港、16日に再度出港した。現在日本海に展開中の空母カール・ビンソンと交代するのか、またもう1隻の空母は現在、米西岸で即応審査の最終段階にあるニミッツかもしれない。
さらに4月16日に北朝鮮はKN-17と呼ばれる対艦弾道ミサイルを日本海に向けて発射したものの、失敗して北朝鮮国内に落下したとの報道があった。失敗だったかどうかについては、5月2日に韓国の専門家が「KN-17は安定な上空にまで達しており、自爆の可能性が高い」と指摘、同日のJapan Timesにも「北朝鮮は弾道ミサイル破片を西側に調査されないよう自国内に落下させている」とする指摘がみられた。しかしこれが仮に成功して、今後米空母機動部隊の周辺に飛来した場合、米海軍としては自衛の措置として、こうした弾道ミサイルを迎撃するだけでなく、発射源となっている相手基地をも攻撃する可能性が出てきた。これがトリガーとなって米朝軍事衝突が起こる可能性もある。今、米朝間の軍事動向は片時も目が離せない状態となっている。