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2017.04.17 (月) 印刷する

予想超えるペースで進む北のミサイル開発 太田文雄(元防衛庁情報本部長)

 米国との軍事緊張が高まる中、北朝鮮は15日、金日成生誕105年の記念日に合わせ、大規模な軍事パレードを行ったが、今回のパレードに登場した弾道ミサイルの新しい点として2つ(4つの変形)の大陸間弾道ミサイル(ICBM)が出現した点を指摘しておきたい。整理すると次の通りになる。

 ●液体燃料
 1.KN-08と呼ばれる三段ロケットの単一弾頭ICBMで中国製(中国航天科工集団-CASIC-)の16車両に搭載。これは2012年4月15日に既に現れている。
 2.KN-08から派生したKN-14で二段ロケット、複数弾頭搭載で、これもCASIC製の16車両に搭載。これは2015年10月10日のパレードで最初に現れている。

 ●固体燃料の可能性大(今回初めて出現)
 1.2〜3段ロケットでコールド・ランチ(ガス圧を用いて射出し、空中で第一段ロケットに点火する方式)、中国製か中朝が共同して製造したSinotrukのトラクター・トレイラー・トラックで中国のICBMであるDF-31(やはりSinotrukのトラクター・トレイラー・トラック4×6車両搭載)に類似。
 2.上記の派生型で2〜3段ロケット、コールド・ランチではあるが、古い中国のCASIC製16車両の輸送起立発射機(TEL)に搭載されている。
 なお、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)のKN-11もSinotruk車両に搭載されてパレードした。
 総括すると固体燃料技術は中国やイランから入手した可能性が高く、また搭載車両は中国製あるいは、その派生であり、引き続き中国が支援していることを物語っている。また北朝鮮のICBM技術は西側諸国インテリジェンス機関の予想を遥かに上回るペースで開発が進んでいる。ただ、エンジン燃焼テストや大気圏再突入技術は、地上試験は行われているものの実発射には成功はしていないので、ICBM完成という段階には至っていないと思われる。