13日(火)の夜、沖縄県名護市の海岸に米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイが不時着した。これに対し、在沖縄米軍トップのニコルソン四軍調整官(海兵隊中将)が、抗議に訪れた沖縄県の安慶田副知事に対し、パイロットは住宅地を避けて海上に不時着させたと説明し、県民や住宅に被害がなかったことは「感謝されるべきだ」と述べたと報じられ、批判を浴びている。
ニコルソン調整官の発言は誤訳された可能性が指摘されている。調整官はその後の記者会見でも、市街地を避けようとしたパイロットの判断を高く評価したが、NHKはじめ一連の報道では、不時着した場所がどれだけ民家と近かったかにもっぱら焦点を当てるなど、批判一点張りの姿勢が目立った。
沖縄県の翁長知事は、普天間飛行場の辺野古移設を巡る最高裁判決が県の敗訴に終わることが確実になったことで、この事件を政治的に利用しようとしているように思われる。安慶田副知事は、ニコルソン調整官が「机を叩いて反論した」と語り、「植民地意識丸出しだった」とも語っているが、副知事自身の発言ぶりについては不明な点も多い。
1999年11月に航空自衛隊の練習機がエンジントラブルから埼玉県狭山市の入間川河川敷に墜落、パイロット2名が殉職した。彼らは住宅地を避けるためギリギリまで機を誘導したことで脱出が遅れた。翌年の殉職隊員追悼式には、現職であった筆者も参列したがパイロット未亡人の挨拶には、私も含め多くの参列者が涙すると同時に、パイロットの責任感の強さに改めて感動した。
航空法75条は「機長は、航空機の航行中、その航空機に急迫した危難が生じた場合には、旅客の救助及び地上又は水上の人又は物件に対する危難の防止に必要な手段を尽くさなければならない」と定めている。社会貢献支援財団は殉職したパイロット2人を表彰している。2014年3月の防衛大学校卒業式でも安倍総理大臣は、このパイロットの使命感と責任感の強さを讃えた。
この話と今回の米軍パイロットの行動はどこが違うのだろうか。2015年8月17日付の直言「米軍事故死傷者への思いやりはないのか?」でも書いたが、事故を絶対に起こしてはならないというなら、訓練を行わないのが究極の策だ。
しかし、それではいざという時に役に立たない。スポーツ選手が怪我を恐れて練習しなかったら、晴れの舞台で良い結果が出せないのと同じである。
16日に名護市議会はオスプレイの配備撤回などを求める抗議決議を採択したが、日本の安全保障にとって何が必要で、そのためには何をなさなければいけないかを冷静に議論すべきである。米国のラムズフェルド元国防長官は現職当時、「受け入れに反対している所に米軍基地は置かない」と語っていたが、トランプ次期大統領も、そのような決断を下す可能性がある。そうなれば南西諸島の安全保障はどうなってしまうのだろうか。
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