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太田文雄

【第326回・特別版】抗日戦勝70周年軍事パレードのまやかし

太田文雄 / 2015.09.07 (月)


国基研企画委員 太田文雄

 

 第二次大戦で日本が戦ったのは中華民国であり、共産党が支配する中華人民共和国ではない。従って中華人民共和国は戦勝国のメンバーではなく、抗日戦勝70年パレードを行うのは歴史の捏造である。中華人民共和国の成立は戦後の1949年で、国際的に最初に行ったことは朝鮮戦争への介入で韓国に侵攻し国連軍と干戈を交えて挑戦したことである。その韓国の大統領と国連の事務総長が軍事パレードに参列することは中華人民共和国の侵略を是認する事になる。
 習近平の演説では、本年5月に公表された国防白書にもあった「中国は覇権や拡張を求めない」と言っていたが、南シナ海の埋め立て・基地建設は拡張ではないのか?

 ●習近平の30万兵力削減は単なる軍縮ではない
 このことは、米通信社ブルームバーグが9月1日に報じた人民解放軍の改編と関連させて考察すべきである。同報道によれば「陸海空軍と第二砲兵を統合運用する統合作戦司令部を新設し、現在7ある軍管区を4に削減する改編を今月中に発表、ロジを担当する総後勤部と装備を担当する総装備部の統合をも検討」という内容で、これが実現すれば戦力の遠方展開が可能になる。近年行われた兵力削減は1985年の100万削減(鄧小平)が毛沢東の人民戦争型から近代的に機械化された合成集団軍を目指し、1997年の50万削減(江沢民)は後方部隊のスリム化で、今回の30万削減も単なる軍縮ではなく、情報化時代に対応したパワープロジェクション能力向上のためと捉えるべきであろう。日米への脅威となることは明白である。

 ●軍事パレードに現れた最新兵器
 航空機で、軍事パレードに最初に現れたKJ-2000は、東シナ海防空識別圏のうち陸上レーダーでは探知できない空域を捜索するのに有効な早期警戒管制機である。空母艦載機のJ-15ジェット戦闘機も飛行した。
 顕著なのがミサイル部門で、大気圏の内外を飛ぶ弾道ミサイルに関して、射程の短いものから沖縄の基地を狙ったDF-16、日本近海で米空母や海上自衛隊の艦艇を標的とする対艦弾道ミサイルDF-21D、そしてグアム島キラーと呼ばれるDF-26、さらには米本土に到達する多弾頭搭載可能なDF-5B等が出現した。大気圏内のみを飛行する巡航ミサイルでも海面すれすれを飛行し、高性能爆薬を搭載、終末速度はマッハ2.2にも達して防御困難なYJ-12が公的に初めて姿を現した。
 以上の事実を考察すれば朝日新聞の9月3日夕刊見出しのように「兵力30万人削減、平和重視を強調」と、習近平演説を額面通り報じるのは余程お目出度いか背後に潜められた意図を疑わざるを得ない。(了)