2024年 8月の記事一覧
【第1173回】原子力の最大限活用こそ首相候補の条件
国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林 直 太陽光や風力発電は原子力に代わるクリーンなエネルギーとして世界的に持てはやされてきたが、今やこれら再生可能エネルギー(再エネ)の電力供給源としての力不足が認識される一方、原子力が地球温暖化対策の切り札として強力に推進され始めた。福島第一原子力発電所事故の教訓で世界中の原発の安全性は強化され、革新原子炉の建設も始まっている。 ...
【第1172回】候補者は「皇室の伝統」に敬意を―自民総裁選
国基研企画委員・麗澤大学客員教授 江崎道朗 自民党総裁選では多くの課題が議論されるが、ここで確認しておきたいことがある。それは現在、国会で議論されている皇族数確保策のことだ。 ●旧皇族復帰案に立憲・野田氏が抵抗 我が国は、天皇陛下を「国民統合の象徴」として戴く立憲君主国家だ。ところが天皇陛下をお支えする皇族がこのままだといらっしゃらなくなるかもしれない。そうした...
【第1171回】総裁選候補者は自らの安全保障観を語れ
国基研企画委員・麗澤大学特別教授・元空将 織田邦男 来月の自民党総裁選に、現時点で12名の議員が名乗りを上げている。総裁選は、自民党が政権与党である限り、首相を選ぶ選挙であり、同時に自衛隊最高指揮官を選ぶことを意味する。かつて自衛隊高級幹部会同で、「ここに来る前に六法全書を調べたら、私が最高指揮官だった」と述べた首相がいた。こういう人は総裁になる資格がない。 ●防衛...
【第1170回】国民の信頼失った首相の退陣は当然だ
国基研理事長 櫻井よしこ 再選の可能性を模索した岸田文雄首相が自民党総裁選出馬を断念した。評価すべき実績は少なくない。それでも不出馬の決断は正しいだろう。国民の信頼を回復できないまま、首相が低支持率に喘ぎ続けた理由は明らかだ。 2021年10月の政権発足以降、岸田氏は衆参両院の選挙で圧勝し、次なる選挙の心配をせずに、日本をまともな独立国家にするための憲法改正や皇位継承安...
【第1169回】ぎりぎり事実を曲げなかった佐渡金山の展示
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 佐渡の金山が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録された。韓国も賛成した。 登録決定直前まで日韓両国は水面下で折衝を進めていた。日本政府は当時の国際法に違反するような「強制労働」はなかったという立場を固守し、韓国側は「強制労働被害の現場」だったことを展示せよと迫った。その結果、①登録決定直後に現地の相川郷土博物...
【第1168回】非核ミサイルで戦術核攻撃を抑止せよ
国基研企画委員・元陸上幕僚長 岩田清文 拡大抑止に関する日米閣僚会合が7月28日、東京で開催された。核を含めた米国の拡大抑止に関して、これまで十数年にわたり事務レベルの会合が行われてきたが、閣僚である政治レベルで議論されたのは初めてである。 閣僚会合後の共同発表には、「閣僚は、米国の核政策及び核態勢並びに同盟における核及び非核の軍事的事項の間の関係性について緊密に協議す...
【第1167回】日銀は脱デフレのチャンスを潰すのか
国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男 日銀は7月31日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%に引き上げると同時に、国債の新規買い入れの減額を決めた。消費が停滞している中で金利と通貨発行量の両面で金融を引き締める。これでは、ようやく迎えた30年デフレからの脱出のチャンスを潰しかねない。 ●円安是正優先でタブー失念 植田和男日銀総裁は記者会見で利上げについ...