公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

本田悦朗の記事一覧

10月の総選挙で躍進した国民民主党が掲げる「『年収の壁』を103万円から178万円に引き上げる」との提案について、活発な議論が行われている。「年収の壁」とは、年収が一定の金額(「壁」)を超えた場合に税や社会保険料の負担が増えることを言い、その結果、「壁」を超えないように労働者は働く時間を調整し、人手不足が増幅されることとなる。103万円、106万円、130万円、150万円等の「壁」があるが、このう...

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今回の自民党総裁選で小泉進次郎候補が提案した「解雇規制の緩和」は様々な方面で議論を呼んでいるが、誤解も多い。本稿ではまず、解雇規制の意味を明らかにする。次いで、公正な雇用関係と生産性向上を確保するためには、金銭による解雇を正面から認めるとともに、正規雇用のみを保護するのではなく、雇用条件を個別の契約ごとに具体的に定めることによって正規と非正規の区別をなくすことが有効であると提案する。 整理解...

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国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗    自民党総裁選挙で最有力候補の一人と目される小泉進次郎元環境相は9月6日の出馬会見で、労働市場の規制改革を1年の期間限定でやり遂げるという決意を表明した。しかし、労働市場の流動化はわが国経済の需要回復が前提でなければならず、優先順位を間違えると失業者を生む結果になりかねない。  他方、会見中の「インフレや金利があっても成長する経済を...

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国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗    自民党総裁選の日程が決まり、候補者の政策の輪郭が見えてきた。本稿では各候補者の掲げるマクロ経済政策に焦点を当て、その比較を試みる。財政・金融といったマクロ政策は、国家の経済基盤を決定する重要な柱であり、国民の経済活動に大きな影響を与えるものであるが、現時点で全貌が明らかになっているわけではない。そこで、主に財政政策に関し、立場を明ら...

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国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗    6月11日、政府は今後の経済財政政策の方向性を定めるいわゆる「骨太の方針2024」の原案を公表した。今回の骨太の方針では、様々な社会的課題に取り組むことによってデフレ脱却を確実なものとし、国民が豊かさを実感できる社会の実現を目指している。とりわけ、財政再建の指標に注目が集まった。政府は今回、プライマリーバランス(PB=国債費を除く歳...

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国基研企画委員・元駐スイス大使・元内閣官房参与 本田悦朗    我が国の国会議員31人が台湾の賴清徳新総統の就任式に出席したのを受け、中国の呉江浩駐日大使は5月20日、東京の中国大使館で開催された座談会で「日本が中国分裂を企てる戦車に縛られてしまえば、日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」と述べた。これに対し、林芳正官房長官は22日の記者会見で「在京大使の発言として、極めて...

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「我々は労働力が必要だったのだが、実際にやってきたのは生身の人間だった」。これはスイスの小説家マックス・フリッシュの言葉であるが、移民問題の本質を突いている。移民の受け入れは、モノやサービスを取引する国際貿易とは本質的に異なり、文化の接触を伴う複雑な課題である。 3月15日に出入国管理及び難民認定法の改正案が閣議決定され、今国会に提出された。それによると、従来、「技能実習」の名の下に外国人実...

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国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗    日銀は3月19日の金融政策決定会合で、金融政策の基準となる無担保オーバーナイト・コールレート(銀行間で資金を一晩融通する時の金利。以下「コールレート」)をマイナス金利(直前の平均はマイナス0.008%程度)から0~0.1%程度で推移するように改め、利上げに転じた。同時に、10年物国債の利回りの上限の目処を1.0%とする長短金利操作(...

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国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗    日本銀行は、長く我が国経済を停滞させてきたデフレから完全に脱却するため、粘り強く金融緩和を継続している。その枠組みは、日銀当座預金の金利や長期国債の買い入れ量を調節することによって短期の政策金利と長期金利を操作し、イールドカーブ(縦軸に利回り、横軸に残存期間を取って描いた利回り曲線)に下押し圧力を維持したまま、滑らかな右肩上がりとな...

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国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗    2023年に日本の名目GDP(国内総生産)がドルベースでドイツに抜かれ、世界4位になることが確実となった。しかし、国と国は競争しているわけではないので、経済規模の国別ランキング自体に意味がない。真の問題は、ドイツは着実に経済が成長しているのに対し、日本はバブル経済崩壊後、「失われた30年」と言われるように経済がほとんど成長せず、賃金...

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国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗    国の財政に関する基本法である財政法は第4条1項で、公債発行に依存しない「非募債主義」即ち「均衡財政主義」を定めているが、公共事業費等の財源については例外的に、国会の議決を経た金額の範囲内で公債の発行を容認している。これを「建設公債の原則」と呼ぶ。しかし、現実には、経常的な支出に充てるために毎年のように特例法を制定し、「特例公債」(赤...

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国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗    政府が近くまとめる新たな経済対策の原案はその柱として、「供給力の強化」と「国民への還元」を掲げている。前者は対策の軸足を需要拡大から供給力の拡大に移すことを意味する。確かに総需要が潜在的供給力に近づいており、需給ギャップは縮小しつつあるが、デフレの後遺症が続く中で依然として低成長が続いており、過去に実現した低い国内総生産(GDP)を...

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国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗    日銀は7月27~28日の政策決定会合で、アベノミクスの「第一の矢」である「大規模な金融緩和」の手段として実施している長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)の「柔軟化」を決定し、即日実施に移した。即ち、従来、10年物国債の利回りの上限が0.5%であったのに対し、これを1.0%に引き上げたのである。  この新しい運用は2...

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国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗    最近、1ドル=140円台の円安傾向が続いている。この円安が輸入品価格の上昇や、国内物価を外貨に換算した場合の「チープ・ジャパン」をもたらしているとの自虐的な批判も見受けられる。日銀の低金利政策が円安の一因になっているとして、低金利政策の修正や撤廃を主張する意見もある。  しかし、最近の円安の実態を見る限り、これらの批判や主張は的外...

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国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗    日本銀行は、新総裁に経済学者の植田和男氏、副総裁に前金融庁長官の氷見野良三氏及び日銀理事の内田真一氏を迎え、4月上旬に執行部を一新する。日銀総裁は戦後、大蔵省(現財務省)出身者と日銀出身者が交互に就任する人事が行われてきた。今回の総裁人事も財務省出身の黒田東彦氏の後任として日銀出身の雨宮正佳副総裁が指名されるのではないかとの見方が大...

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