吉岡秀之の記事一覧
防衛装備品のコスト削減要求に物申す 吉岡秀之(元航空自衛隊補給本部長)
報道によれば、財務相の諮問機関である財政制度等審議会(財政審)の歳出改革部会が10月23、防衛関係費の調達コスト削減を徹底するよう求めた。 防衛省が8月末に提出した令和2年度予算の概算要求では航空機関連で「まとめ買い」がみられるが、財務省は「徹底した単価削減を行うことが大前提」とし、安易にまとめ買いに走らないよう要求したともいう。 しかし筆者の考えでは、これらの指摘等は価格決定のプロセス...
「将来戦闘機」事業は飛び立てるのか 吉岡秀之(元航空自衛隊補給本部長)
令和2年度概算要求にF-2戦闘機の後継機である「将来戦闘機の開発事業」が事項要求されている。事項要求とは、概算要求を財務省に出す際、個別政策の金額を明示せず項目だけ記載することである。どんな内容になるか、楽しみである。 しかし、1つ大きな懸念がある。それは、航空自衛隊の輸送機C-2の主翼や後胴などを製造している製造分担企業(SUBARUや三菱重工業など)に関わる主契約企業(川崎重工業)の総利...
日本の防衛産業衰退が意味すること(下) 吉岡秀之(元航空自衛隊補給本部長)
31中期防では、防衛産業に対する施策として、研究開発を含む装備品のプロジェクト管理の強化と費用対効果の向上、部品等の国際市場からの調達、重要技術について研究開発ビジョン策定、コスト管理の厳格化、企業間の競争環境の創出に向けた契約制度の見直しなどを上げている。 大手ならまだしも、中小企業にこれらの施策をそのまま適用した場合、撤退、廃業等がより顕在化するのではないだろうか。これらの実状を踏まえて...
日本の防衛産業衰退が意味すること(上) 吉岡秀之(元航空自衛隊補給本部長)
米軍事専門誌Defense Newsが7月、世界の防衛企業「トップ100」を発表した。わが国企業では、昨年まで三菱重工業、IHI、三菱電機などが名を連ねていたが、今回は98位に石油元売り大手JXTGエネルギー、99位に伊藤忠、100位に川崎重工が入っただけだ。JXTG社は燃料、伊藤忠は一般輸入装備品等を扱っており、製造業は川崎重工だけである。同リストは、外国政府・企業に「日本は自国の防衛産業に見...
F-35事故が突きつける国産戦闘機の存亡 吉岡秀之(元航空自衛隊補給本部長)
航空自衛隊三沢基地所属の最新鋭ステルス戦闘機F-35A1機が、太平洋上で夜間戦闘訓練中の4月9日、同基地の東約135キロで突然消息を絶った。付近海域で左右の尾翼の一部が見つかったことから、防衛省は10日、この戦闘機が墜落したと断定した。日米が連携して捜索を続けている。 F-35Aは米ロッキード・マーティン社を中心に、英国、イタリア、カナダなどが開発に加わった世界最新鋭の戦闘機である。今後B型...