公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

荒木信子の記事一覧

韓国では4月10日投票の総選挙結果が判明し、2027年に予定される次の大統領選挙も視野に入ってきた。日本からすると、選挙ごとに左右に揺れる韓国の政治的ブレが気にかかるが、この現象をどのように見たらよいのだろうか。   一寸先は闇 韓国で政治的なブレはこれまでも激しいものがあった。韓国建国(1948年)以降に限っても、歴代大統領の末期あるいは退任後は平穏と言えなかった。 例えばよく知...

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国基研企画委員・韓国研究者 荒木信子    1月24日、韓国ソウル西部地裁は、戦時中の慰安婦は売春婦の一種だとの発言で訴えられていた元大学教授に無罪を言い渡した。この裁判は、2019年9月、柳錫春・元延世大学教授の講義の録音が外部に流出し、その発言が名誉毀損に当たるとして元慰安婦支援団体「挺身隊問題協議会」(挺対協=「正義記憶連帯」の前身)が訴えたものである。  裁判は次の三つ...

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国基研企画委員・韓国研究者 荒木信子    国際秩序に大きな変化が起きつつある。  ロシアの侵略によるウクライナ戦争勃発から来月で2年になるが、欧米の支援が先細り、ウクライナには厳しい情勢だ。昨年10月にはパレスチナ自治区ガザを支配するイスラム主義組織ハマスのテロをきっかけに、イスラエルによるガザ攻撃が始まった。  もしウクライナ戦争でロシアが「勝利」を収めれば、ロシアを支え...

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21日、東京都庁前の都民広場で「『お帰り』と言うために〜拉致被害者・特定失踪者家族の集い〜」(主催=特定失踪者問題調査会、後援=東京都・特定失踪者家族会)が開かれた。 集会の主要部分は、政府認定拉致被害者と特定失踪者の家族の訴えだった。39名の被害者と失踪者の家族約50名がスピーチをした。被害者、失踪者は写真の中で時が止まったように若いが、その親の世代はもう上京が難しく、きょうだいも高齢化し...

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5月7日、岸田文雄首相はソウルを訪れ、尹錫悦韓国大統領と首脳会談を行った。会談後の共同記者会見で、首相は朝鮮人戦時労働者に関して、「私自身、当時、厳しい環境の下で多数の方々が大変苦しい、そして悲しい思いをされたことに心が痛む思いです」と述べた。 禍根を残しかねない「心が痛む」 微妙な表現によって、先方から誤解されたり、後から持ち出されたりして、問題にならないかと心配になる。もし韓国に配...

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国基研企画委員・韓国研究者 荒木信子    長崎県対馬の観音寺から盗まれ韓国政府が保管している仏像をめぐり、韓国の浮石寺が所有権を主張して引き渡しを求めている裁判で、韓国の2審の大田高等裁判所は2月1日、浮石寺の所有権を認めた1審判決を破棄し、請求を退けた。  この仏像は長崎県有形文化財に指定されている「観世音菩薩坐像」で、 2012年10月、韓国人窃盗団によって盗まれた。翌年...

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国基研企画委員 荒木信子    戦時中の朝鮮人労働者による損害賠償請求訴訟で、被告とされた日本企業の支払いを韓国行政安全省傘下の公益法人「日帝強制動員被害者支援財団」が肩代わりするという案が今月、韓国側から発表された。  肩代わりの方法として「併存的債務引き受け」という形が提示されているが、結局は日本企業に債務があることを前提としており、肩代わりのための「契約」を企業が財団と結...

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11月13日、カンボジアのプノンペンで日米韓3国首脳会談が行われ、共同声明が発表された。声明は北朝鮮に対する3国の結束を確認するとともに、中国の一方的な現状変更の試みに反対し、台湾海峡の平和と安定を維持すべきことを強調し、半導体などにおける経済安全保障の重要性に詳しく言及した。 こうした声明に韓国が足並みを揃えることは文在寅政権の時には考えられなかった。日米韓の関係強化は東アジア情勢が緊張を...

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国基研企画委員 荒木信子    2002年9月17日、小泉純一郎首相(当時)が平壌を訪問、北朝鮮の金正日総書記(当時)は拉致を認め謝罪した。だが、北朝鮮側は5人生存、8人死亡と一方的に告げた。これは虚偽を含んでいる。同年10月、蓮池薫さんら5人が24年ぶりに帰国を果たして以来、拉致被害者は誰一人として帰国できていない。  小泉訪朝は画期的な出来事ではあったが、拉致問題の解決には...

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韓国で2025年から使われる中学、高校向け「2022年改訂韓国史教育課程」試案において、朝鮮戦争時の北朝鮮による南侵に触れていないなど、保守系メディアから批判が出ているようだ(9月1日付朝鮮日報電子版)。 そのような反応に対し、左派系メディアは「また左傾教科書云々、『自由』民主主義、『南侵』が抜けていると?」(同日付ハンギョレ電子版)と書いている。同記事によれば、1948年8月に樹立したのが...

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国基研企画委員・韓国研究者 荒木信子    韓国は政権交代をしたが、日韓関係の今後はどうなるだろうか。この70年余りを振り返ることで考えてみたい。  日韓関係において歴史認識問題が登場したのは1980年代であり、決定的に比重を増したのは慰安婦問題が浮上した1990年代からである。  認識の問題であるから妥協点を見つけるのは難しいが、ますます問題が複雑になる理由は、韓国が情緒的...

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