公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

伊原吉之助の記事一覧

今年4月に亡くなった台湾独立派の長老、彭明敏先生の追悼集会が大阪であった。そこで容易ならぬ情報を得た。東京の一部では、安倍晋三元首相の通夜・葬儀に台湾の頼清德副総統の弔問を得たことが一大成果であったので、次は安倍氏の国葬(9月27日)に蔡英文総統の訪日を要請して台湾支援態勢を固めたいと考えているという。 これは由々しき事態である。彼らは台湾内政を十分理解せず、安易に考えて行動しているように見...

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 先頃亡くなられた台湾の李登輝さんと蔡英文総統のお2人には共通点があります。共に「台湾独立」を言わぬ点です。相違点は、言わぬ理由が違うことです。李登輝さんは、「時期尚早」でした。蔣家独裁を受け継ぎ、独裁期の外省人要人に取り巻かれているなか、それを切り崩して台湾人を登用し、独裁を多少とも民主化して行くのに精一杯で、台湾の自主独立まで飛躍する時間が足りませんでした。 蔡英文総統も米政権が中共を育...

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帝塚山大学名誉教授 伊原吉之助    台湾の蔡英文総統の2期目の就任式があった5月20日、米国が台湾に魚雷18発を売却した。MK48大型誘導魚雷だ。台湾が建造計画中の潛水艦に搭載され、駆逐艦なら一発で仕留められる強力なものだ。しかし、これで対中防衛力は一段と強化されるかといえば、必ずしもそうではない。実は、台湾の軍事機密は中国共産党(中共)に筒抜けと見られている。そのため、台湾へ...

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 昨年11月に中国武漢市で発症した新型コロナウイルスによる感染症が、今や世界中を席捲している。グローバリズムからナショナリズムへの揺り戻しと、産業構造の一大変革という人類史上の大転換が生起中だが、今回は中台関係に焦点を絞って考えてみたい。  コロナ騒動は、米中二大勢力の覇権争いの真っ只中で生じた。第二次世界大戦後、米ソ二大陣営が東西冷戦で覇権を争い、20世紀末のソ連崩壊後は米国一強体制になったか...

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 台湾人を漢族とする誤解は、識者の間でも少なくない。台湾人の多くもそう信じている人が少なからずいるからややこしい。でも誤解は正しておかねばならない。  私がそれを承知したのは、1980年代末か、晩くとも1990年代の初期である。彭明敏先生が林媽利医師を連れて私が泊っていたホテルに訪ねて来られて仰るには、「台湾人の大半は漢族ではなく、マレー・ポリネシア系の原住民の子孫ですよ。私は自分の中に原住民の...

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帝塚山大学名誉教授 伊原吉之助    新型コロナウイルスによる肺炎が中国湖北省武漢で発生し、1月27日朝現在、中国の発症者が2744人、死者80人となった。中国当局は、人口1100万人の巨大都市・武漢市とその周辺を封鎖した。武漢市民は逃げ出したいのに出て行けなくなった。  但し、幾ら封鎖しても人は動くから、この新型肺炎の発症者は既に、近隣地域を中心に各国へ拡散中である。香港、タ...

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