十市勉の記事一覧
世界で強まる原子力復活の動き 十市勉(日本エネルギー経済研究所客員研究員)
岸田文雄首相は8月24日、原発再稼働の迅速化および次世代炉の開発・建設の検討を指示するなど、原子力の活用に向けて一歩踏み出した。すでに昨年来、欧米諸国は脱炭素と電力の安定供給を両立させるために、原発の稼働期間の延長や新増設に向けた取り組みを進めていた。現在のロシアによるウクライナ侵略で、クリーンエネルギー移行における原子力の重要性が一段と高まっている。しかし多くの先進国では電力自由化が進む中、経済...
【第946回】総合的な国家エネルギー戦略の再構築を
日本エネルギー経済研究所客員研究員 十市勉 世界は、ロシアによるウクライナ侵略を契機に、1970年代の石油ショック以来の深刻なエネルギー危機に直面している。燃料や食糧価格の高騰も相まって、約40年ぶりのインフレの加速と景気後退の瀬戸際に立たされている。 欧州連合(EU)は、先進7カ国(G7)と協調して対ロ制裁の一環として、ロシア産石油の輸入を年末までに9割削減することを...
【第620回】緊張高まる中東情勢と日本のエネルギー政策
日本エネルギー経済研究所参与 十市勉 9月14日、サウジアラビア東部の重要な石油施設2カ所が無人機(ドローン)と巡航ミサイルによる攻撃を受けて炎上、原油生産が半減したため世界のエネルギー市場に衝撃が走った。その数日後、サウジ政府が、9月末には生産が回復し11月末には破損した設備が復旧すると発表したことで、一時は急騰した原油価格は落ち着きを取り戻している。しかし、これまでサウ...