2025年1月の記事一覧
【第1217回】石破首相の「バランス外交」を憂慮する
国基研理事長 櫻井よしこ 1月11日、インドネシアで石破茂首相の語った外交政策に深刻な懸念を抱く。首相は「日本とインドネシアは共に島国だ。米中間でバランスに配慮しながら外交を進めていく点において非常に似ている」と語った。 東南アジア諸国連合(ASEAN)最大の人口と経済規模を有するインドネシアは非同盟中立を外交の基本路線とするが、実際には対中傾斜を強め、パレスチナ自治区...
【第1216回】不正選挙陰謀論を信じる尹氏と支持者
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 韓国の尹錫悦大統領支持派は昨年12月31日に大統領への逮捕状が出てから連日、数千から数万人を集めて路上集会と大規模デモを行ってきた。その一部が1月19日未明、勾留令状発付を決めたソウル西部地裁を一時占拠し器物破壊を行った。 尹大統領支持派は白地に赤い文字で「STOP THE STEAL」と書かれた紙のビラを持っている。こ...
【第1215回】日銀は利上げを急ぐな
国基研理事兼企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗 日本銀行は23,24の両日、金融政策決定会合を開く。現在0.25%の政策金利(金融政策の主要手段となっている「翌日物銀行間コール・レート」)の引き上げが行われるかどうかが焦点で、行われる場合には0.5%への引き上げとなろう。一般に、政策金利が引き上げられれば、住宅ローンの金利上昇、円高、株安、物価の下押しなど、広範囲に影響を及...
【第1214回】石破首相は安倍氏に学べ
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 石破茂首相は2月前半に訪米し、トランプ次期大統領と初会談する方向で調整している。石破首相は昨年11月に当選したばかりのトランプ氏との会談を模索したが、本欄では「慌てて会う必要はない」と反対した。だが、バイデン大統領が日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収計画の禁止命令を出したことを覆せるのはトランプ氏である。説得を試みる価値はあ...
【第1213回】日中韓FTAに前のめりになる危うさ
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 石破茂政権の「中国寄り」姿勢の危うさがさらに高まっている。2月に中国の王毅共産党政治局員兼外相を日本に招待し、その際、日中韓の外相会談も開催する予定だ。日中韓の首脳会談も春以降に開催を見込む。そこで浮上しているのが日中韓の自由貿易協定(FTA)だ。 ●構造問題避けた交渉狙う中国 中国は日中韓FTAの本格交渉入りを日本に迫っ...
【第1212回】自由統一を阻害する韓国の陰謀論者たち
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 私の研究対象である朝鮮半島は昨年、大激動を迎えた。北朝鮮世襲独裁政権の3代目である金正恩総書記が2023年12月の労働党中央委員会総会と2024年1月の最高人民会議(国会)で、「韓国は統一すべき同じ民族ではなく敵対する外国だ」と宣言し、故金日成主席と故金正日総書記の民族統一戦略を否定した。 祖父と父の否定は統一戦略だけに...
【第1211回】年初に危ぶむ石破政権の媚中政策
国基研理事長 櫻井よしこ 方向は異なるが、米中両国は揃って戦後の国際秩序の抜本的変革を目指している。令和7(2025)年、世界が大きな変化をよりはっきりした形で体験するのは必然だろう。中華帝国の復活を目指す習近平中国国家主席と、同盟国は米国を頼るのではなく各々が基本的責任(primary responsibility)を果たす強い国であるべきだと主張するトランプ次期米大統領...