公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

田村秀男の記事一覧

国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    衆院選での与党惨敗は図らずも、わが国のバラマキ偏重の財政政策の是正を促す好機をもたらした。石破茂政権と自民党は所得税などの減税を掲げて若い勤労世代の支持を集めた国民民主党を取り込まないことには、政権維持が危うくなったためである。  ●「年収の壁」見直しに緊縮財政派が抵抗  減税抵抗勢力は緊縮財政主義の財務省に寄り添う与党幹...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    中国の不動産バブル崩壊不況の底が見えない。共産党が市場経済を操縦する特異な経済システムが機能不全に陥り、習近平党政権が国内向けに打つ手はことごとく失敗している。その代わり強めるのは、ダンピング輸出、部品や材料のサプライチェーン独占力を武器にした対外威圧、日本企業など外資の技術奪取である。どれも国際ルールを無視し、世界経済をかく乱す...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    「反アベノミクス」が売り物だったはずの石破茂氏が先の自民党総裁選を機に「脱デフレ」を唱え、直ちに衆院解散、総選挙に打って出た。石破首相は自身の豹変が単なる付け焼き刃でないことを選挙戦以降、証明すべきだ。  石破首相は「デフレからの脱却を完全なものにする」「物価上昇を上回る賃金上昇を」と強調する。日銀の金融政策について「追加利上げ...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    日銀は7月31日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%に引き上げると同時に、国債の新規買い入れの減額を決めた。消費が停滞している中で金利と通貨発行量の両面で金融を引き締める。これでは、ようやく迎えた30年デフレからの脱出のチャンスを潰しかねない。  ●円安是正優先でタブー失念  植田和男日銀総裁は記者会見で利上げについ...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    中国共産党が5年に一度、経済の基本路線を決める第20期党中央委員会第3回全体会議(3中全会)は7月18日、国有企業を柱に経済を成長させる方針を打ち出して閉幕した。内需不振の中、国有企業を軸にサプライチェーン(供給網)と生産能力を増強し、安値輸出攻勢をさらに強める。反発する西側各国には重要原材料の供給力を武器に脅す。  ●GD...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    ロシアは西側からの金融制裁をかわしている。ロシアの消費者物価上昇率は7%台だが、ウクライナ戦争前の8%台よりも低い。背景には中国からの支援がある。  中国の対露輸出、輸入とも戦争前に比べて6割以上増だ。長大な中露国境を越え、あるいは第三国経由で、生活物資のみならず、半導体など軍民両用ハイテク製品や軍事関連機材、塹壕ざんごう掘削機...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席が先週、北京で会談し、戦略的協力の強化で一致した。米国の世界覇権切り崩しを図る「中露枢軸」の結成だが、実相は中国が「主」、ロシアが「従」である。  協力分野は、先端技術、主要部品・材料の供給網(サプライチェーン)から安全保障全般と幅広い。  ●武器弾薬関連の対露輸出、戦争前の2....

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    日銀は18、19日開催の金融政策決定会合でのマイナス金利政策解除に向け、著しく前のめりだ。連合集計の春季労使交渉賃上げ率が5.28%と33年ぶりの高水準で、2%の物価上昇目標達成のメドが立ったとの判断によるが、現実には国内需要の回復は弱々しい。利上げ決定以前に、デフレを再発させない確固とした決意と十分な説明を日銀に問いたい。 ...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者  田村秀男    3月11日に閉幕する中国の全国人民代表大会(共産党主導の疑似国会)で、習近平政権は不動産バブル崩壊不況に対し、根拠に乏しい高経済成長見通し以外に有効な政策を示せなかったが、警戒すべきは別にある。経済衰退の焦燥が習氏を対外膨張路線へと駆り立てることだ。  ●ウォール街に見放された  本欄1月22日付で論じた通り、中国の国内...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    中国の習近平政権は、2023年の国内総生産(GDP)の成長率が名目4.6%、実質5.2%で、実質5%の目標を達成したと発表したが、信憑性はどうか。  中国のGDP統計はかなり前から、各地方の党幹部が党中央の掲げる成長率目標に合わせようとして、データを改ざんするという疑惑が消えない。そこで、GDPに大きく影響する不動産投資、純輸出...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    植田和男総裁体制の日本銀行は外国人投資家を中心とする市場の投機勢力に押されている。このまま市場の後追いを続けると、急激な円安や金利高で回復基調の経済の失速を招きかねない。植田日銀は市場の思惑に動じない姿勢を示すべきだ。  ●足元を見透かす投機筋  投機勢力が目をつけるのが2016年9月に始めた長短金利操作(イールドカーブ・...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    自民党の若手議員グループ「責任ある積極財政を推進する議員連盟」は近く、時限付きでの消費税減税を提案する。岸田文雄首相は実現に向け指導力を発揮すべきだ。  1997年以降、3回の消費税増税こそは四半世紀以上もの間の慢性デフレをもたらしてきた元凶である。平成バブル崩壊不況の余波でデフレ圧力が高まった中、橋本龍太郎政権は1997年4月...

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ウクライナ戦争勃発後、先進7カ国(G7)による対ロシア制裁にくみしない発展途上国が「グローバルサウス」と称されるようになり、存在感を増している。G7とロシアの対立で中立を装う中国はこの機に乗じて、中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカの新興5カ国で構成するBRICSを踏み台に、人民元決済のグローバルサウスへの浸透を狙う。 中国の策略が部分的にせよ結実したのが、8月24日、南アフリカのヨハ...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    中国の金融界が揺らいでいる。ノンバンク(非銀行系)の大手信託会社が支払い不能に陥ったからだ。習近平政権は危機深刻化を防ぐ手だてを持たない。最悪の場合、リーマン・ショック級の金融危機を引き起こしかねない。  中国の中央銀行、中国人民銀行はすべての金融機関が手がける投融資を「社会融資総量」として分類している。日本円に換算すると、ノン...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    日本銀行は7月28日の金融政策決定会合で、長期金利の許容上限を1%に事実上引き上げた。4月に就任した植田和男総裁は、黒田東彦前総裁時代に始めた長短金利操作(YCC)の修正に着手したわけだが、国債や外国為替の投機を勢いづかせかねない。  ●金利上昇の負の効果  日本経済は異次元金融緩和などアベノミクスの遺産のおかげで今、着実...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    中国経済にかつてないデフレ圧力がかかっている。不動産バブル崩壊のために需要が回復しないためだが、習近平政権は財政、金融両面での本格的な景気てこ入れに踏み切れないでいる。外資に依存する中国特有の金融制度が外国の企業や投資家による脱中国に直面し、大きな制約を受けているからだ。昨年2月下旬のロシアのウクライナ侵攻以来、高まる台湾関連を含...

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中国の全国人民代表大会(全人代=共産党主導の国会)が13日に閉幕、習近平党総書記・国家主席の3期目の政権が正式に発足する。習氏腹心の李強氏を首相に据え、経済政策を党直轄に置く。先進7カ国(G7)は米国を中心に、中国の脅威に対しハイテク規制を軸に対抗する構えだが、習政権の泣きどころである外資頼みの金融にも着目すべきだ。 中国経済を支えた土地関連収入 中国共産党が主導する異形の市場経済の土...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    岸田文雄首相は黒田東彦日本銀行総裁の後任に経済学者の植田和男氏を起用する人事案を14日、国会に提示する。政府、日銀は異次元金融緩和政策の軌道修正を学者総裁の手腕に委ねることになるが、国家と国民にとっての最大の懸案は日本経済再生である。そのカギになる脱デフレは、金融政策一本やりでは達成できないことが過去10年間を見ても歴然としている...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    日銀は12月20日、長期金利の変動許容幅を従来の0.25%程度から0.5%程度に広げた。円安の行き過ぎを直すためだが、アベノミクスの主柱である異次元金融緩和解体の始まりで来年には利上げに転じるとの憶測を招いた。財政の方は、岸田文雄政権が2年後以降の防衛増税を企図している。利上げと増税は、民間の景気回復期待を萎えさせ、来春闘での賃上...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    年末の来年度予算案編成最大の焦点は防衛力増強の財源で、優先すべきは故安倍晋三元首相が言及した「防衛国債」の発行論議である。防衛国債は経済、防衛を含む国力挽回の決め手になり得る。ところが、岸田文雄首相に対する「有識者会議」提言は国債発行を否定し、増税を求めている。国民から需要を奪い、経済及び防衛力のゼロ成長を招いてきた緊縮財政路線の...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    円安がぶり返されるたびに「悪い円安」論が盛り上がる。それに押された鈴木俊一財務相は、円買い・ドル売りの市場介入を匂わせるのが関の山だ。岸田文雄政権に今求められるのは、円安を日本再生の好機にする強固な意志と戦略である。  ●企業の弱い設備投資・賃上げ意欲  9月8日時点の円の対ドル相場は143円台で、1月末に比べた下落率は2...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    先週は欧州で先進7カ国首脳会議(G7サミット)がドイツで、続いて北大西洋条約機構(NATO)拡大首脳会議がスペインで開かれ、岸田文雄首相が出席した。最大の懸案はウクライナへの侵略を続けるロシア対策だが、一連の首脳声明は威力に欠ける。プーチン・ロシア大統領の盟友でロシアの外貨確保に協力する習近平中国国家主席(共産党総書記)を押さえ込...

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米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅な第3次利上げに踏み切った。異次元金融緩和政策を続ける日本との金利差の拡大のために円安がさらに進行しかねない情勢だ。産業界やメディアの「悪い円安」論がさらに勢いづきそうだが、不毛な感情論である。円安は企業収益を嵩上げするし、国内生産を有利にする。産業界がそこで国内投資と大幅賃上げに動けば、日本経済再生の道が開けるはずだ。 内部留保だけがV字回復 円安...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    岸田文雄政権は5月末に発表した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)原案で、「基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の2025年度黒字化目標を堅持する」との記述を外した。  喫緊の課題である防衛費の倍増を考えても当然の選択だが、原案には財務省の企図が各所に散見された。例えば、全般的な財政支出抑制や消費増税による財源...

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米国の利上げが本格化した。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は5月4日に大幅利上げに踏み切ったが、年内は来月以降5回に分けて連続追加利上げに踏み切る構えである。これにより米国の高インフレが鎮まれば、わが国を含め、世界経済の安定につながるが、中国は別だ。 習近平総書記・国家主席によるプーチン・ロシア大統領との「盟約」、無理筋の「ゼロコロナ」政策への執着は西側資本ばかりか中国の富裕層、...

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日本を含む先進7カ国(G7)の首脳は5月8日の共同声明でロシア産石油の段階的輸入禁止を打ち出し、岸田文雄首相は声明を受けて「原則禁輸」を表明した。日本は米欧に追随するいつものパターンのようだが、今後試されるのはいわば日本としての国家意思だ。横暴きわまりないロシア・プーチン政権を追いつめるためには、日本もまた共に「返り血」を浴びるという決意があればこそ、ロシアと同じ専制主義中国の脅威への対抗で欧米へ...

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石油価格が高騰する中で円の対ドル相場下落が止まらないが、政府はうろたえ無用。円安は積極財政とセットで日本経済再生の好機に変えられるからだ。 円安は輸入コストを余計に押し上げ、家計や中小零細企業を苦しめる。そこでメディアでは「悪い円安」論が横行し、鈴木俊一財務相までもが同調する始末である。経済評論家の一部も日銀はただちに超金融緩和政策を打ちきり、金利を引き上げろと言い出しているが、需要拡大のた...

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ロシアのプーチン大統領は「非友好国」に対し、ロシア産天然ガス輸入代金をロシアのルーブル建てで払えと要求している。サハリンからの液化天然ガスを輸入する日本も例外ではない。 プーチン氏の狙いは米欧日の分断だが、ロシア産ガスのへの依存度が高いドイツなど欧州はルーブル払いを拒否し、従来通りのユーロ決済で通す態度を崩さない。プーチン氏は押し通せないようだと、一方的にガス供給を打ち切る挙に出かねないが、...

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国基研企画委員 田村秀男    新型コロナウイルス不況からの景気回復にウクライナ侵略の産油国ロシアへの経済制裁が重なって、エネルギー価格が高騰している。世界的にはインフレ局面だが、日本だけは違う。逆に物価が下がり、所得が減り続けるデフレ不況が深刻化している。にもかかわらず、岸田文雄政権は財務官僚の均衡財政主義に引きずられ、日銀審議委員人事では反金融緩和派を指名する始末である。 ...

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ウクライナ侵略のロシアに対する米欧日の大規模な金融制裁がロシア経済に衝撃を与えている中で、ロシア企業による中国の大手国有商業銀行のモスクワ支店への口座開設申し込みが殺到している。中国の銀行は中国人民銀行が仕切る国際銀行間決済ネット「CIPS」を抜け穴として提供できる。CIPSには日本のメガバンクも主要メンバーとして加盟している。対露制裁破りに加担する恐れはないのか。 人民元決済に期待するロシ...

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ロシアのウクライナ軍事攻撃の激化を受け、米国と欧州が2月26日、銀行間の国際決済ネットワークである国際銀行間通信協会(SWIFT)からのロシアの主要銀行排除を打ち出した。ロシアはドル、ユーロなど外貨取引が大きく制限され、多方面にわたって経済が打撃を受け、プーチン大統領の足下を揺るがす。制裁の意義はそればかりではない。ロシアと緊密な関係を築く一方で、軍事力を使って台湾併合を狙う中国の習近平国家主席・...

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米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が政策金利の引き上げに動いている。基軸通貨ドルの金利上昇は、ドル金融に依存する世界を揺さぶる。米国との緊張関係にある中国とロシアはその代表格だ。中国はドル本位の通貨制度の脆弱さを衝かれ、産油国ロシアはドル建ての国際原油相場に翻弄されるのだ。 悪夢だった2015年の引き締め 中国の習近平共産党総書記・国家主席にとって、米金利の引き上げは「悪夢」...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    25年間にも及ぶ日本のデフレーション(収縮)は国内総生産(GDP)のみならず、防衛支出にも及ぶ。経済と軍事が二本柱である国力が衰退し続けている。対照的に全体主義中国の国力膨張はめざましく、日本を飲み込む勢いだ。日本が安全保障を確保するためには、経済・防衛デフレから脱出するしかない。  ●「戦後レジーム」の呪縛  ストックホ...

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ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻懸念が高まる中、米国のバイデン大統領はロシアのプーチン大統領との昨年末の電話会談で、軍事侵攻すれば厳しい制裁で応じると警告した。バイデン政権が検討中と伝えられる対ロ制裁の目玉は金融制裁で、ロシアの大手銀行などのドル決済を禁じる案が有力だが、ロシア側はすでに「脱ドル」の布石を打っている。バイデン政権は制裁効力を損なわないために、欧州のみならず日本にも同調を求める可...

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中国の習近平政権は不動産大手、恒大集団の巨額債務危機を封じ込めようと躍起になっている。米ウォール街を中心とする国際金融界も、中国債務バブル崩壊不安が世界に飛び火するのを恐れ、ことを荒立てないよう対中配慮が目立つ。平成バブル崩壊後の日本に容赦しなかったのとは大違いだ。 が、これで中国経済は軟着陸かというと、そうは問屋が卸さない。不動産を軸にした固定資産投資を土台とする中国式経済モデルの行き詰ま...

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米連邦準備制度理事会(FRB)はドル資金を大量発行する量的緩和を漸次縮小する「テーパリング」に踏み切った。対照的に日銀政策は無力化の危機に直面しそうだ。FRBの政策転換と日銀の異次元金融緩和の組み合わせは円安を助長し、石油価格の急上昇と重なって日本の家計や企業の所得が相当程度海外に流出してしまう。さりとて、日銀がFRBに追随して量的緩和の出口に向かうと円安圧力は緩和されるかわりに、脱デフレは遠のく...

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産経新聞特別記者 田村秀男    5日に開幕した中国の全国人民代表大会(全人代、共産党が仕切る擬似国会)の冒頭で、李克強首相は今年の国内総生産(GDP)の実質成長率目標を6%台前半に設定すると発表したが、真に受けてはならない。習近平党総書記・国家主席も李首相も、経済実態からすれば嘘であっても統計上は達成できると踏んでいるだけなのだ。  ●操作される統計数値  李氏は遼寧省...

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産経新聞特別記者・編集委員 田村秀男    安倍晋三首相は2019年10月へ消費税増税を先送りしたが、アベノミクスにとって残された期間は事実上あと2年余である。安倍氏の自民党総裁任期、2018年9月より前に脱デフレを達成できなければ、安倍政権が終わるばかりではない。最悪の場合、国政は再び迷走し、憲法改正の機運も消滅しよう。  そんな危機感をだれよりも強く持っているのは安倍首...

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産経新聞編集委員 田村秀男 「100年に一度の大津波」(グリーンスパン前米連邦準備制度理事会議長)から世界の金融市場が立ち直りかけていた矢先の「ギリシャ・ショック」である。世界金融危機はまだ収束には程遠い。 日本はここで何をすべきだろうか。ギリシャの問題は財政危機が発端なのだから、先進国中最高水準の政府債務を持つ日本は早く財政均衡化の道筋を示すのは当然としても、もっと喫緊の課題がある。...

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