公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

江崎道朗の記事一覧

国基研企画委員・麗澤大学客員教授 江崎道朗    自民党総裁選では多くの課題が議論されるが、ここで確認しておきたいことがある。それは現在、国会で議論されている皇族数確保策のことだ。  ●旧皇族復帰案に立憲・野田氏が抵抗  我が国は、天皇陛下を「国民統合の象徴」として戴く立憲君主国家だ。ところが天皇陛下をお支えする皇族がこのままだといらっしゃらなくなるかもしれない。そうした...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 江崎道朗    「日本は米国と共にあります」。4月11日、岸田文雄首相は米連邦議会においてこう訴えた。自由と法の支配を尊重する国際秩序を守るため、日本は米国の「グローバル・パートナー」になっていくべきだという岸田首相の主張に強く賛同する。  問題は、本気で米国の「グローバル・パートナー」になるつもりがあるのか、ということだ。例えば、中東地域のテ...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 江崎道朗    立憲君主国家である日本にとって、今年は極めて重要な年になりそうだ。  現行の皇室典範のままだと皇族数が激減していくことになる。そうした危機感を背景に令和3年、菅義偉政権が「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等」に関する有識者会議を設置。有識者会議は令和4年1月に報告書をまとめた。この報告書において政府は「歴代...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 江崎道朗    今は亡き安倍晋三元首相は、政策本位の政治を目指していた。  そもそも自民党の中に派閥が生まれたのは、中選挙区制度に対応するという側面が強かった。中選挙区では、複数の自民党候補が同じ選挙区で戦うので、その違いを明らかにするのに派閥ごとに特色ある政策を打ち出す必要があった。そのため同じ自民党でありながら派閥によって政策は異なることに...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 江崎道朗    昨年12月、岸田文雄政権は国家安全保障戦略などを全面改定し、中国、ロシア、北朝鮮などの脅威に対抗すべく反撃能力の保持に踏み切るとともに、防衛費を5年間で43兆円とすることを閣議決定した。  国家安保戦略には「国民保護のための体制の強化」という項目が新設され、有事対応が始まったことはあまり知られていない。例えば3月17日、岸田政権...

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昨年12月、岸田文雄政権は、「国家安全保障戦略」など安保3文書を閣議決定し、防衛力の抜本強化に乗り出した。 今回の国家安全保障戦略の特徴は、防衛力を抜本強化するだけでなく、防衛力以外の方策も明確に打ち出していることだ。日本を守る力は防衛力だけでない。次の五つだと同戦略は指摘している。 日本を守る五つの力 第一に外交力。ロシアによるウクライナ侵略でも明らかなように、友好国、同志国を...

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警視庁は6月15日、国立研究開発法人の産業技術総合研究所(産総研)に所属する中国籍の研究員を不正競争防止法違反の疑いで逮捕した。各種報道を総合すると、事実関係は以下の通り。 ①容疑者は2018年4月、自身が研究に関わっていたフッ素化合物の合成技術情報データを北京の化学製品製造会社にメールで漏洩した。 ②中国のその会社はメール受信から1週間後、データを流用したとみられる技術を中国で特許出...

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3月29日から4月1日まで台湾を訪問し、台湾在住の邦人、具体的には台湾の人と結婚し、台湾で仕事をしている日本の民間人と台湾有事について話をした。 考えてみれば至極当然の反応だが、「台湾有事は日本有事」という安倍晋三元首相の言葉は、台湾在住邦人の心を大きく揺さぶっていた。 放置される不安 台湾在住邦人の反応は大別して三つだった。 一つ目は、安倍氏の発言のおかげで、日本と台湾の...

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中国の習近平国家主席は3月20、21の両日、モスクワでロシアのプーチン大統領と会談した。習氏の訪ロは昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻後で初めてだ。なぜ習氏は今回「中ロは結託している」と批判されることが分かりながら敢えて訪ロに踏み切ったのか。それも2日間で10時間以上、対面で話し合ったということから、よほど重要な案件があったと考えるべきだろう。 その重要な案件とは何か。 今回の首脳会...

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7月11日付産経新聞朝刊の「正論」欄に「日本再建に尽くした安倍元首相」と題して、以下の三つを第2次安倍政権の成果として挙げた。第一に、アベノミクスを推進したことだ。具体的にはデフレ脱却を掲げ、日本銀行による金融緩和を進めて雇用改善に努めたことだ。第二に、政権支持率が下がることを覚悟のうえ、特定秘密保護法や平和安全法制などを整備し、外交・安全保障とインテリジェンスの機能を強化したことだ。第三に、国家...

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