石川弘修の記事一覧
朝日は日本を代表する〝保守新聞〟に 石川弘修(国家基本問題研究所理事・企画委員)
日刊紙の部数減が加速しているが、中でも朝日新聞の減少幅が大きく、今年8月の販売部数はついに500万部台を割り、499万部を記録した(月刊誌FACTAオンライン号外)。2009年まで維持していた800万部台から実に300万部を越す大幅減となったのは、単にネットメディアに押され、紙媒体が退潮したということだけでなく、立憲民主党などと共通した左寄りの、硬直化した偏向報道が読者離れを引き起こしたものとみ...
プロパガンダ化した米メディア報道 石川弘修(国家基本問題研究所理事・企画委員)
米大統領選挙は、民主党のバイデン前副大統領が現地時間7日夜、勝利宣言を行い、混戦に決着をつけたと米メディアは報じた。しかし、トランプ大統領はメディアの予測をはるかに上回る接戦を展開、敗北は認めていない。今回の選挙戦を通して浮き彫りになったのは、バイデン氏を強くバックアップした主要なテレビ、新聞がまるでリベラル民主党のプロパガンダ機関の様相を呈したことだ。 毎回、多くのメディアが支持する候補を...
日本より厳しい豪州の中国脅威認識 石川弘修(国家基本問題研究所理事・企画委員)
オーストラリアと中国の関係が一段と悪化している。中国国家安全部の追及を受け、出国禁止を求められていた豪メディアの特派員2人が9月8日、中国から急きょ出国し拘束を免れた。1973年、豪中関係が正常化され、オーストラリアの公共放送ABCが北京支局を開設して以来、正規の豪特派員がいなくなるという異例の事態となった。 2人は、ABC北京特派員のビル・バートルズ氏と豪紙オーストラリアン・フィナンシャ...
日本貶める英米系リベラルメディアの偏見 石川弘修(国基研理事・企画委員)
「(左派、リベラルは)なぜ日本を貶める発言を続けるのか」―5月19日、産経新聞の英文ウェブサイト「ジャパン・フォワード」に掲載されたアメリカ人学者の寄稿が外国人の間で反発を招いている。寄稿したのは、アール・キンモンス大正大学名誉教授で、外国人の、とりわけ英米系の左派、リベラルのエリートに、日本に対する“文化的偏見”があると指摘している。英文メディアということもあって、日本人の間ではまだその内容が...
日本のコロナ対応、海外の批判はお門違い 石川弘修(国家基本問題研究所理事・企画委員)
新型コロナウイルスの感染拡大に対し政府の緊急事態宣言の期間が延長されたが、朝日新聞などの左派、リベラル・メディアの報道によると、日本の対応に対する海外からの批判が相次いでいる。が、批判の中身には2つの点で違和感を覚える。 5月8日付けの朝日新聞は、感染の有無を調べるPCR検査について取り上げ、英紙ガーディアンや在日ドイツ大使館が「日本の検査数の少なさ」を指摘したと報じた。また、米紙ワシントン...
【第666回・特別版】ジャパン・タイムズの慰安婦表記再変更を憂える
国基研理事兼企画委員 石川弘修 日本の日刊英字紙ジャパン・タイムズが3月20日、半ページ大の社告を掲載、一昨年11月に変更した戦前、戦時中の慰安婦の英文説明を再変更すると発表した。異例の再変更は、慰安婦募集に強制性はなかった歴史的事実から一歩後退し、日本兵との性行為を強要されたという元の表現への実質的な回帰が懸念される。 ●「戦時労働者」は維持 新たな方針では、...
バランス欠く日本の英字紙報道 石川弘修(国基研理事)
10月から11月にかけて行われた天皇陛下の即位に伴う一連の儀式やローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇訪日行事についての日本の英文メディアには、リベラル、左寄りの見方を大きく扱うなどバランスに欠けた報道ぶりが目立った。またかという思いである。連日の日本語報道の陰に隠れているが、外国に与える影響が大きいだけに、看過できない。 ●即位礼では一方的な批判も とりわけ、リベラル左寄りの朝日...
米中合作映画に見る中国の野望 石川弘修(国基研理事・企画委員)
中国が南シナ海で自国の領有権を含む歴史的権利を主張する「九段線」が登場するアメリカとの合作映画「アボミナブル」が中国との間で領有権問題を抱える東南アジア諸国の反発を買っている。 ベトナムとフィリピンが13日から相次いで国内で上映を禁止し、次いでマレーシアも17日、上映条件として該当箇所の削除を命じた。中国の軍事的拡張だけでなく、映画などでバックアップする文化的攻勢は強まることはあっても弱まる...
「中国は敵ではない」への反論を支持する 石川弘修(国基研理事・企画委員)
米国の民主党系元政府高官や中国専門家ら100人が、7月4日付のワシントンポスト紙に「中国は敵ではない」と題する公開書簡を発表したが、今度はトランプ政権の厳しい対中政策を支持する国防総省関係を中心とする専門家ら130人が18日、「対中方針を堅持せよ」と題する反対書簡を、保守系の政治ウエブサイト「ワシントン・フリービーコン」に発表し、これに加勢する専門家が次々に名乗りを上げている。 ●起草者...
【第607回・特別版】「慰安婦」英訳本に日本研究特別賞
国基研理事・企画委員 石川弘修 国家基本問題研究所は、今年の日本研究賞の特別賞を現代史家の秦郁彦氏の英訳本 Comfort Women and Sex in the Battle Zone(慰安婦と戦場の性、米ハミルトンブックス)に授与した。奨励賞には、神戸大大学院法学研究科・簑原俊洋教授の「アメリカの排日運動と日米関係 『排日移民法』はなぜ成立したか」(朝日新聞出版)と、...
読者惑わす世界の幸福度ランキング 石川弘修(国基研理事)
3月下旬、国連が2019年版「世界の幸福度」ランキングを発表した。日本は156か国の内58位と、昨年より4つ順位を下げた。1位は2年連続でフィンランドが選ばれ、以下デンマーク、ノルウェーの順で、今回も北欧勢が上位を占めた。この調査は、文化の差異を無視し、調査対象者の主観だけで幸福感を数値化している。比較手法として無理がありはしないか。読者を惑わすランキングと言わざるをえない。 この調査報告は...
【第561回】ジャパン・タイムズの英断を支持する
国基研理事・企画委員 石川弘修 日本の日刊英字紙ジャパン・タイムズは11月30日、戦時中の「徴用工」や「慰安婦」について、表記を改めるとの異例の発表を行った。同日付の紙面から、徴用工は「戦時労働者」(wartime laborers)、慰安婦は「戦時の娼館で働き、日本兵に性行為を提供した女性で、その意思に反して働いた女性を含む」(women who worked in wa...
【第526回・特別版】明治150年にふさわしい日本研究賞受賞作
国基研理事・企画委員 石川弘修 国家基本問題研究所は7月4日、第5回日本研究賞をロバート・モートン中央大学教授、同特別賞を崔吉城・東亜大学教授に授与する。 モートン教授は受賞作「A. B. Mitford and the Birth of Japan As a Modern State: Letters Home」(ミットフォードと日本における近代国家の誕生―母国への手...
【第515回】日本の安保観に発想転換求める仏の知性
国基研理事・企画委員 石川弘修 国家基本問題研究所は5月17日、創立10周年を記念して「世界の近未来を予測する―日本は生き残れるのか?」と題するシンポジウムを開催した。ゲストスピーカーに招いたフランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏は、これまでにソ連崩壊、リーマン・ショック、アラブの春、ユーロ危機などを「予言」しているだけに、会場のイイノホール(東京・内幸町)には...
映画「ビハインド・ザ・コーヴ」を支持する 石川弘修(国基研企画委員)
捕鯨を肯定的に捉えたドキュメンタリー映画「ビハインド・ザ・コーヴ~捕鯨問題の謎に迫る」が2月下旬、ロンドンの「国際映画製作者祭」で最優秀監督賞を受賞し、八木景子監督の報告会を兼ねた上映会が23日、都内で開かれた。映画は、和歌山県太地町のイルカ追い込み漁を批判する映画「ザ・コーヴ(cove 入り江)」が2010年の米アカデミー賞を受賞したのに反発して、5年近くかけて製作された。米、英、豪を中心に展...
若い外国人居住者の急増に思う 石川弘修(国基研理事)
今年の成人式は例年より早い1月8日、大きな波乱もなく終わったが、報道によれば、東京23区で昨年4月2日から今年4月1日までに20歳となる新成人約8万3000人のうち、8人に1人にあたる1万800人余りが外国人だった。 ●新宿区では新成人の半数 中でも外国人の比率が高かったのが新宿区で、4004人の新成人のうち1837人と、ほぼ半数(45.8%)を占めた。次いで豊島区が38.3%、中野...
【第449回・特別版】偏った歴史観に立ち向かう「日本研究賞」受賞者
国基研理事兼企画委員 石川弘修 国家基本問題研究所は7月5日、今年の日本研究賞に決まった米マイアミ大学のジューン・ドレイヤー教授と、日本研究特別賞のヘンリー・ストークス元ニューヨーク・タイムズ紙東京支局長への授賞式を行う。ドレイヤー教授は、受賞作品となった「中華帝国と旭日帝国―日中関係の過去と現在」(オックスフォード大学出版、邦訳なし)について特別講演を行うが、先の大戦後、...
「ケイ報告」は第2の「クマラスワミ報告」の恐れ 石川弘修(国基研企画委員)
日本の報道は安倍政権の圧力で自由が一段と制限されている―とする事実誤認の報告書が米欧や国連で相次いでいる。 今年に入ってからだけでも、まず3月に米国務省が2016年版「人権報告書」を公表、この中で「日本のメディアへの圧力強化に懸念が強まっている」と指摘した。これは、昨年の国会で高市早苗総務相が、政治的公平性を欠く報道を重ねる放送局については電波停止を命じる可能性を否定しなかったことをとらえた...
【第425回】トランプ演説への高い評価は長続きしない
国基研理事兼企画委員 石川弘修 トランプ米大統領は2月28日の米上下両院合同会議で初の施政方針演説を行い、米国精神の再生をスローガンにテロ対策の強化や経済活性化を訴えた。それまでの過激な主張を抑制し、将来に希望を抱かせる楽観的なメッセージを発信したことで、一般国民から高い評価を得た。日ごろトランプ政権に批判的なCNNテレビが演説直後に行った緊急世論調査では、視聴者の78%が...
支持の深層見ないトランプ報道への違和感 石川弘修(ジャーナリスト)
ドナルド・トランプ米新大統領の報道が連日のようにテレビや新聞をにぎわしている。先日、訪日中の米保守派の歴史家、ジョージ・ナッシュ氏が「アメリカの保守主義とポピュリズム」と題して講演した。ナッシュ氏は、ハーバート・フーバー第31代米大統領の研究家として著名で、フランクリン・ルーズベルト第32代大統領と日米戦争の隠された歴史を追究した「Freedom Betrayed」(裏切られた自由)の編者として...