公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

2018.01.16 (火) 印刷する

若い外国人居住者の急増に思う 石川弘修(国基研理事)

 今年の成人式は例年より早い1月8日、大きな波乱もなく終わったが、報道によれば、東京23区で昨年4月2日から今年4月1日までに20歳となる新成人約8万3000人のうち、8人に1人にあたる1万800人余りが外国人だった。

 ●新宿区では新成人の半数
 中でも外国人の比率が高かったのが新宿区で、4004人の新成人のうち1837人と、ほぼ半数(45.8%)を占めた。次いで豊島区が38.3%、中野区27.0%と高い比率を占め、以下、外国人の比率では、荒川、台東、北、文京、隅田、板橋、杉並の各区が続いた。
 23区全体の外国人居住者が4.4%であるのに比して、若い外国人は3倍も多い。国籍別では、韓国人街のある大久保を抱える新宿区は韓国人が目立ち、池袋北口に中国人街が広がる豊島区は中国人が多く、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、ネパールなどからの若者も増えている。これらの地域のコンビニでは、夜間、日本人従業員に出会うのは難しい状況だという。

 ●増える技能実習と留学
 業種別では、建設、警備、運輸、生活関連サービス、娯楽業界などで外国人労働者が増えている。外国人の若者が急増している背景には、技能実習生や留学生の増加がある。技能実習生については、最近の4年間で6割も増えている。厚生労働省によると、2020年代には高齢者や女性の労働参加も限界に近づき、不足する労働力を外国人に頼らざるをえない見通しだ。加えて、若年人口の減少から学生の確保先として外国人留学生に頼る大学事情などもあり、外国人は増えることはあっても減る要因はない。
 教育産業を含め、産業界の要求にまかせて、野放図に外国人労働者の受け入れを増やすことには問題もある。就労、就学期間が過ぎた後の永住権、国籍取得などの申請がなされた場合、受け入れはどうするのかなど肝心の議論は生煮えのままだ。左派勢力を中心に外国人への地方参政権付与を求める声がある一方、不法滞在者の急増による治安の悪化を懸念する声もある。国の存立にかかわる問題は少なくない。早急な対応策が求められている。