公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

髙池勝彦の記事一覧

 東京地裁で11月7日、4年前に成立した安全保障関連法(以下、安保法)が憲法に違反するとして、左翼の学者など1500人余りが国に賠償を求めていた事件の判決が出た。当然のことながら、訴へは認められなかつたのである。  原告グループは、この種の訴訟を全国各地の裁判所に多数起こしてをり、すでに札幌で請求棄却の判決が出てゐる。  私はこの東京地裁の判決についてではなく、この判決について11月26日付の...

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 安倍晋三首相が、自民党総裁としてぜひとも憲法改正を実現したいとの決意であることはよく知られてをり、私もぜひ安倍内閣の間に憲法改正が実現されることを期待してゐる。私は本欄でも何度か主張してきたやうに、安倍さんの加憲案に反対であるが、某自民党有力議員のやうに、憲法改正の動きに水を差すために反対してゐるのではない。  その関連で、最近安倍さんは、自分の案に固執するつもりはなく、対案があつたらどんどん...

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 愛知県で3年に1度開催される「あいちトリエンナーレ2019」が14日、名古屋で75日間の会期を終へて閉幕した。現代アートの祭典だとのことであるが、その一環の企画展として「表現の不自由展・その後」といふものが開催されたが、「放火を示唆する内容のファクスやテロ予告のメールを含む抗議が県などに殺到し、通常業務への支障や観覧者の安全確保などを理由に開始から3日で中止に追い込まれた」(朝日新聞10月9日付...

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 7月16日付「ろんだん」の荒木和博さんの「『専守防衛』の虚構に決別を」に賛成です。  専守防衛とは、辞書によると、「他国へ攻撃をしかけることなく、攻撃を受けたときにのみ武力を行使して、自国を防衛すること。武力行使を禁じた日本国憲法下での自衛隊の主任務、性格についていう語。」とあります(デジタル大辞泉)。グーグルで調べますと、「『相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し,その防衛力行使の...

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 御代替りに伴つて、新しい年号が「令和」と決つた。新しい時代を予感させる清々しい年号である。年号発表については、新天皇即位の5月1日ではなかつたことなどの批判がなされた。  年号発表ばかりではなく、今回の御代替りに関連して、妙な憲法の解釈が横行した。たとへば、今回の御代替りは、平成28年8月4日の今上陛下の「お言葉」がきつかけであることは間違ひないのに、譲位といふ言葉を使ふと、憲法違反となるから...

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 テレビを視聴できるワンセグ機能付きの携帯電話を持つとNHKと受信料契約を結ばなければならないかどうかが争われた4件の上告審で、最高裁は3月12日付で、契約義務はないと訴えた原告側の上告をいずれも退ける決定を下した(産経新聞3月14日付)。  このワンセグ訴訟は、地裁レベルでは、さいたま地裁、水戸地裁、千葉地裁松戸支部、大阪地裁、東京地裁の5件の訴訟があり、最初の平成28年8月26日のさいたま地...

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 政府は、1月下旬に召集される通常国会で、放送法改正案を提出することを確認したといふ(産経新聞1月11日付)。これは、NHKがテレビと同じ番組を24時間インターネットで流す、いはゆる常時同時配信を可能にすることが目的のひとつである。この常時同時配信は、NHKが長年狙つてきた目標のひとつである。放送法では、NHKの業務の内容を限定してゐるため、放送法を改正する必要があるからである。  ●民放や...

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 ゴーン前日産会長逮捕について、新聞や週刊誌で様々なことが報道されてゐる。海外でも高い関心を呼んだらしく、いくつかの論評がある。その中で、ゴーン容疑者の逮捕拘留などに対して批判的な論評があるので、それについて述べたい。  代表的なものは、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の11月27日付の社説であるが、これは日本の刑事司法に対する公平な論評とは思へない。  社説は次のように述べる。...

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 この10月30日、韓国大法院(最高裁)は戦前のいはゆる「元徴用工」に対して、計4億ウォン(約4000万円)の支払を命じる判決を出した。この判決が法を無視したものであることについて我が国では珍しく与野党や全マスコミが一致してゐる。  判決に対して日本政府は、国際司法裁判所(ICJ)に訴へることを検討してゐるといふ。政府は、この判決があまりに不当であるから、ICJでの勝訴は当然であるかのやうにいつ...

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 この8月2日、警察庁は、運転免許証の有効期限を来春から西暦表記にする方針を決めたとのことである。パブリックコメント(意見募集)を経て道路交通法施行規則を正式に改正するというが、私は大反対である。  我が国の政治行政において、速やかに対応すべき問題はなかなか実行せず、変更してはならないことは変更して取り返しのつかないことがあるが、これもその一つである。  ●何の不自由もない現状  警察庁...

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 この6月1日から、刑事裁判において、司法取引制度が導入されたことが、新聞テレビなどで一斉に報道された。私は、刑事事件が専門ではないし、まだ経験はないが制度の狙いや見通しについて述べることにする。  今回の司法取引は、他人の犯罪を捜査機関に明かす見返りに、不起訴や求刑を軽くしてもらう制度である。アメリカでは、容疑者が自分の犯罪を認めて罰を軽くしてもらう「有罪答弁」の取引が中心であるが、今回の司法...

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 政府が、放送法を改正して第4条第1項の撤廃を検討しているとのことである。結論から言うと、私はこの条項は残しておくべきであると思うが、一部マスコミなどに見られる撤廃反対論とは一線を画しておきたい。以下その理由を述べる。  ●留意すべき占領下の法制定  まず、放送法4条1項の条文は次のとおりである。 放送事業者は、国内放送及び内外放送の放送番組の編集に当たっては、次の各号の定めるところ...

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 四国電力伊方原発3号機をめぐって、住民が求めた運転差し止め仮処分の抗告審で、広島高裁は13日、運転を禁じる決定をした。  新聞報道によると、住民は、平成28年3月11日、広島地裁に、伊方原発の運転差し止めの本訴を提訴し、同時に仮処分を申し立てた。本訴については現在も審理中だが、仮処分については今年の3月30日、申し立て却下の決定が出た。住民は、この決定に対して広島高裁に即時抗告を申し立て、12...

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国基研副理事長・弁護士 髙池勝彦    12月6日、NHKの受信契約に関する最高裁大法廷の判決が出た。この事件は、テレビを設置した男性が、NHKから受信契約を締結して受信料を支払ふやう要求されて拒否したため、訴へられたものだ。平成23年のことである。私がこの男性の弁護を担当した。  放送法64条1項は、テレビを設置した者はNHKと「受信についての契約をしなければならない」と...

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 11月29日、神戸地方裁判所において、「嫡出否認」規定は合憲との判決が出たことは、すべての新聞やテレビで報道されたので御存じかと思います。「嫡出否認」規定の合憲性が裁判で争われたのは初めてだとのことです。  ただ、この事件は、無戸籍者の救済といった問題が論点であるかのように思っている人がいるかもしれませんが、それだけが問題ではありません。私の考えを述べて皆さんの感想を伺いたいと思います。まだ判...

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 10月26日付の本欄拙稿「『加憲』は改憲方法として、やはり誤りだ」について、11月9日付で西修先生から誤解があるとのご指摘をいただきました。  憲法9条2項の「陸海軍その他の戦力」についての政府解釈は、西先生の御指摘のとおりだと思います。つまり、憲法が禁止している「戦力」とは、自衛のための必要最小限度を超える実力であるということでしょうが、この政府解釈こそが「アクロバット的解釈」(井上達夫・東...

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 今回の総選挙の結果、安倍晋三内閣が信任を得て、広い意味での改憲勢力が4分の3以上の議席を得たことは御同慶の至りです。  私は、憲法改正を支持する立場から度々投稿してきましたが、安倍さんの「加憲」方式には反対してきました。これは安倍さんの憲法改正の動きに水を差すつもりではなく、むしろ後押しをするつもりだったのです。今もそのつもりです。  広い意味での改憲勢力と言いましたが、これはマスコミがそう...

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 安倍晋三総理がタイムスケジュールまで示して、憲法改正が加速するかに見えましたが、東京都議選で自民党が大敗して以後、この段取りが怪しくなってきました。 私は6月7日付と15日付の「ろんだん」欄で、繰り返し総理の「加憲」案には反対してきましたが、憲法改正を1日も早く実現してほしいという点では同じであり、安倍総理には何とかして態勢を立て直して改憲を実現してもらいたいと思っています。  ●「象徴...

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 私の6月7日付寄稿に対して、西修先生から光栄にも反論(同12日付)をいただきました。それについて、さらに私の考えを述べたいと思います。  私は、西先生の憲法9条についての解釈には全面的に賛成です。というより、私の9条の解釈は、西先生や他の同様の解釈の先生方の教えを受けて、西説に立っているのですから当然です。66条2項についても私は西説に立ちます。9条2項の交戦権否認が、自衛権の放棄にはならない...

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 比較憲法学の権威、西修教授による5月22日付の「改憲発議にウイング広げた総理の提案を評価す」について、私も意見を述べたい。  西教授は、安倍晋三総理が国会での改憲論議の低調さにしびれを切らして2020年を目標年に改憲すると言ったことを評価し、2020年ではなく、2019年でもよくはないかと述べる。賛成です。  また、総理が改憲の項目として自衛隊の存在と教育の無償化をあげたことについて、国家緊...

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