髙池勝彦の記事一覧
【第1179回】小泉氏の夫婦別姓案に反対する
国基研副理事長・弁護士 髙池勝彦 小泉進次郎氏は9月6日、次期首相を事実上決める自民党総裁選挙への出馬を宣言した中で、選択的夫婦別姓制度を導入する法案の提出を公約に掲げた。選択的夫婦別姓制度とは、夫婦が婚姻に際して同姓とするか別姓とするかを選択できるといふものである。小泉氏は、若さを売り物に、その公約も新鮮さを打ち出したいのであらうが、十分な議論もなくこのやうな重大な問題を...
裁判官主導の社会変革は司法権の逸脱だ 髙池勝彦(国基研副理事長・弁護士)
最近の最高裁判所や下級審の判決が話題になることが少なくない。同性婚、夫婦別姓、戸籍上の性の変更などをめぐり、現行の民法その他の法律の規定が憲法違反であるとか、違憲状態にあるなどの判決が出た。 それらの判決理由には、私が賛成できないものが多い。一部の世論に迎合してゐるのではないかと思はれるからである。同性婚を認めないのは憲法違反であるとした高裁判決の問題点は3月19日の「国基研ろんだん」で、同...
【第1146回】同性婚を法制化する民法改正案に反対する
国基研副理事長・弁護士 髙池勝彦 立憲民主党は昨年3月6日、同性婚を法制化するための民法改正案(婚姻平等法案)を衆院に提出した。この法案の審議はなされず、棚ざらしとなつてゐるやうであるが、本年3月14日、民法や戸籍法が同性婚を認めないのは憲法違反であるといふ札幌高裁の判決が出たことで、同党は色めき立つてゐるかもしれない。そこで、同性婚容認反対の意見を改めて表明しておきたい。...
同性婚訴訟、高裁の違憲判決に二重の問題点 髙池勝彦(国基研副理事長・弁護士)
3月14日、札幌高裁において、いはゆる同性婚について初めての高裁判決があつた(これまでの地裁の判決については、2023年6月19日の私の「ろんだん」参照)。 いづれの訴訟も、同性のカップル(以下、原告らといふ)は、民法や戸籍法が同性婚を認めないのは憲法違反であるとして(同性婚を認める規定を設けないことが国の立法不作為・義務違反に当たるとして)、国家賠償法に基づき、国に損害賠償(慰謝料)を求め...
【第1107回】自衛官の靖国参拝を制限するな
国基研副理事長・弁護士 髙池勝彦 1月9日、陸上幕僚副長ら自衛官数十人が靖国神社を参拝した。多くのマスコミや共産党はじめ左翼政党はこの参拝を、昭和49年11月19日の防衛事務次官通達に違反する可能性があり、憲法20条及び89条の政教分離の規定に違反するのではないかと批判してゐる。 次官通達には、「神祠、仏堂、その他宗教上の礼拝所に対して部隊参拝すること及び隊員に参加を強...
【第1090回】最高裁裁判官の選任方法を再考せよ
国基研副理事長・弁護士 髙池勝彦 性別変更に関する最近の最高裁判所の判断など、その内容に国民の意識とかけ離れてゐると感じられるものが少なくなく、最高裁裁判官の資質や意識について疑問が感じられる。そこで、最高裁裁判官の選任について再考する必要がある。 ●形骸化する内閣の指名・任命権 最高裁裁判官は、長官とその他の裁判官14人で構成されてゐる(裁判所法5条)。うち、...
「同性婚判決」について 髙池勝彦(国基研副理事長・弁護士)
6月8日、福岡地裁において、いはゆる同性婚についての判決があつた。これまで同種の裁判は5地裁に係属し、これで全ての判決が出揃つたことになる。 今までの判決を一覧すると次のとほり。札幌地裁:令和3年3月17日、大阪地裁:令和4年6月20日、東京地裁:令和4年11月30日、名古屋地裁:令和5年5月30日、福岡地裁:令和5年6月8日 福岡地裁を除いて、他は事件番号の年(訴訟を受け付けた年)が...
憲法は全面改正であるべきだ 髙池勝彦(国基研副理事長・弁護士)
先日の衆議院選挙で、憲法改正に消極的な立憲民主党が共産党と提携したことも一因で、議席数を減らし、所謂改憲勢力が衆議院の3分の2以上の議席を得たことは御同慶の至りである。その結果、開店休業状態で国費を無駄に使つてゐると非難されてゐた衆院憲法調査会が国会開会と同時に、12月16日、早速討議を始めたことは喜ばしい。 当然あるべき規定も欠く現憲法 私は何度も「ろんだん」で主張したやうに(201...
「裁判員年齢、18歳以上に引き下げ」について 髙池勝彦(国基研副理事長・弁護士)
平成30(2018)年の民法改正により、成年年齢が18歳に引き下げられ、令和4(2022)年4月1日から施行される。これにともない刑事裁判の裁判員の年齢も現在の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられる。 裁判員法13条で、裁判員は衆議院議員の選挙権を有する者の中から選ばれることになつてゐる。ところが、選挙権は公職選挙法の改正により平成28年から18歳に引き下げられたものの、その際、選...
【第807回】夫婦同氏制は女性差別でない
国基研副理事長・弁護士 髙池勝彦 6月23日、最高裁大法廷は、「夫婦は、結婚の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称する」と規定した民法750条は憲法に違反しないと判断した。夫婦が望む場合には結婚後もそれぞれ結婚前の氏を戸籍上選べる選択的夫婦別氏制を排斥したのである。 多数意見は、平成27(2015)年12月16日の大法廷判決を踏襲し、「夫婦の氏についてどのような制...
【第777回】同性婚訴訟の地裁判決について
国基研副理事長・弁護士 髙池勝彦 3月17日、札幌地裁である判決が出た。3組の男性カップルと1組の女性カップルが婚姻届を出したが、民法や戸籍法の規定で同性婚が認められてゐないとして受理されなかつた。そこで、民法や戸籍法の規定は憲法で保障された「婚姻の自由」や「法の下の平等」に反するとして、平成31年(2019年)2月、札幌地裁に、民法や戸籍法の規定を変更しない国の責任、即ち...
今の中国に戦前の日本を重ねる誤り 髙池勝彦(国基研副理事長・弁護士)
月刊誌『正論』の令和3年1月号(令和2年11月末発売)に、安倍内閣で内閣官房副長官補を務めた兼原信克氏が「日本が主導すべき西側の対中大戦略」といふ論文を書いてゐる。 論旨は、中国の台頭について我が国は「自由で開かれたインド太平洋構想」を掲げ、主導権をもつて米国のバイデン新政権と向き合ふべきであるといふことで、異論はない。 世界制覇へ独走する中国 しかし論文の中に、「今の中国は、...
ブルーリボンを法廷で禁じる不可解 髙池勝彦(国基研副理事長・弁護士)
令和2年11月17日、私どもは、法務大臣を被告とするある訴状を大阪地裁に提出した。私共はこれを「ブルーリボン訴訟」と呼んでゐる。 ブルーリボンとはいふまでもなく、北朝鮮による拉致被害者の生存と救出を願ふ意思表示として身に付ける青いリボンのことである。当初は布製であつたが、今は小さな金属製の青いバッジが多い。テレビを見ればわかるが、安倍晋三前首相や菅義偉首相をはじめ、閣僚や与党議員にとどまらず...
名誉毀損と表現の自由 植村裁判について(下) 髙池勝彦(国基研副理事長・弁護士)
前回に続いて、植村裁判の問題点を述べる。第2の論点は、名誉毀損と表現の自由に関する問題である。 植村氏は、櫻井氏や西岡氏から、捏造記事を書いたと批判されたのである。新聞記者(でなくとも)が、捏造記事を書いたといふことになれば、その社会的評価は下がるであらう。人の社会的評価を下げる行為を名誉毀損といふ。これは人格権に対する侵害である。通常は、損害賠償や、訂正記事、謝罪広告などを求める民事事件...
名誉毀損と表現の自由 植村裁判について(上) 髙池勝彦(国基研副理事長・弁護士)
植村隆元朝日新聞記者が、国家基本問題研究所理事長の櫻井よしこ氏に対して、名誉毀損を理由として損害賠償などを求めて起こした民事訴訟が決着したので、この訴訟の内容や問題点などをまとめておきたい。 植村氏は、平成27年2月10日、札幌地裁に訴状を提出した。同氏の代理人は106名の弁護士である。理由は、櫻井氏が、月刊誌『WiLL』、『週刊新潮』、『週刊ダイヤモンド』、及び櫻井氏のオフィシャルサイト...
検察官の定年延長は暴挙なのか 髙池勝彦(国基研副理事長・弁護士)
国家公務員法改正に伴ふ検察庁法の改正について政府は、検察庁法ばかりではなく、公務員法までも今国会での改正を断念したといふ。5月18日付の「今週の直言」で、これは大問題でもなく、三権分立を揺るがせるものでもないといふ意見を述べたが、検事を他の公務員と同じ扱ひにするといふ案を将来に持ち越すことでよいのか。 ●針小棒大でコジツケが過ぎる 5月12日付の朝日新聞社説は、この改正を「国民を愚弄...
【第680回】検察庁法改正反対論に反対
国基研副理事長・弁護士 髙池勝彦 検察官の定年延長を可能とする検察庁法の改正案が国会に提出されたことについて、反対意見がネットで拡散し、多くの芸能人なども反対し、ネットが炎上したと伝へられてゐる。全国38の弁護士会が会長声明で反対し、5月11日には日本弁護士連合会(日弁連)が反対の会長声明を出した。 今回の改正案は、「三権分立を揺るがすおそれがある」(日弁連会長)とか、...
やはり憲法に緊急事態条項が必要だ 髙池勝彦(国基研副理事長・弁護士)
武漢ウィルスによる感染症の拡大により、政府は4月7日、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下特措法)32条1項により、期間を5月6日まで、適用区域を埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県及び福岡県とする「新型インフルエンザ等緊急事態宣言」を出し、4月16日には適用区域を全都道府県とした。しかし、依然として発症が収まらず、5月4日、期間を5月31日まで延長した。 この緊急事態宣...
ロックダウン(都市封鎖)はできるのか 髙池勝彦(弁護士)
小池百合子東京都知事は、武漢ウィルスによる感染症がこのまま拡大すればロックダウンをしなければならない旨、テレビなどで度々述べてゐる。ロックダウンとは何か。3月19日、政府の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」による状況分析・提言の中に、爆発的な患者急増が起きた場合、「数週間の間、都市を封鎖したり、強制的な外出禁止の措置や生活必需品以外の店舗閉鎖などを行う、いわゆる『ロックダウン』と呼ばれる...
【第659回】教科書検定の透明性を高めよ
国基研副理事長・弁護士 髙池勝彦 昨年12月25日、「新しい歴史教科書をつくる会」(会長筆者)が関与した自由社版の中学校用歴史教科書が、最終的に検定不合格となつた。この20年間、5回の検定合格を得てきた「つくる会」系の教科書が不合格となつたことは、何とかして「つくる会」系の教科書を抹殺したいといふ文部科学省担当者の不当な意図によるものと考へざるを得ない。 ●「つくる...
「安保法違憲訴訟」支持する朝日への反論 髙池勝彦(弁護士)
東京地裁で11月7日、4年前に成立した安全保障関連法(以下、安保法)が憲法に違反するとして、左翼の学者など1500人余りが国に賠償を求めていた事件の判決が出た。当然のことながら、訴へは認められなかつたのである。 原告グループは、この種の訴訟を全国各地の裁判所に多数起こしてをり、すでに札幌で請求棄却の判決が出てゐる。 私はこの東京地裁の判決についてではなく、この判決について11月26日付の...
現行憲法は「占領基本法」だと再確認を 髙池勝彦(弁護士)
安倍晋三首相が、自民党総裁としてぜひとも憲法改正を実現したいとの決意であることはよく知られてをり、私もぜひ安倍内閣の間に憲法改正が実現されることを期待してゐる。私は本欄でも何度か主張してきたやうに、安倍さんの加憲案に反対であるが、某自民党有力議員のやうに、憲法改正の動きに水を差すために反対してゐるのではない。 その関連で、最近安倍さんは、自分の案に固執するつもりはなく、対案があつたらどんどん...
「表現の不自由展」と表現の自由 髙池勝彦(弁護士)
愛知県で3年に1度開催される「あいちトリエンナーレ2019」が14日、名古屋で75日間の会期を終へて閉幕した。現代アートの祭典だとのことであるが、その一環の企画展として「表現の不自由展・その後」といふものが開催されたが、「放火を示唆する内容のファクスやテロ予告のメールを含む抗議が県などに殺到し、通常業務への支障や観覧者の安全確保などを理由に開始から3日で中止に追い込まれた」(朝日新聞10月9日付...
「『専守防衛』の虚構に決別を」に賛成 髙池勝彦(弁護士)
7月16日付「ろんだん」の荒木和博さんの「『専守防衛』の虚構に決別を」に賛成です。 専守防衛とは、辞書によると、「他国へ攻撃をしかけることなく、攻撃を受けたときにのみ武力を行使して、自国を防衛すること。武力行使を禁じた日本国憲法下での自衛隊の主任務、性格についていう語。」とあります(デジタル大辞泉)。グーグルで調べますと、「『相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し,その防衛力行使の...
憲法改正では明確に天皇を元首に 髙池勝彦(弁護士)
御代替りに伴つて、新しい年号が「令和」と決つた。新しい時代を予感させる清々しい年号である。年号発表については、新天皇即位の5月1日ではなかつたことなどの批判がなされた。 年号発表ばかりではなく、今回の御代替りに関連して、妙な憲法の解釈が横行した。たとへば、今回の御代替りは、平成28年8月4日の今上陛下の「お言葉」がきつかけであることは間違ひないのに、譲位といふ言葉を使ふと、憲法違反となるから...
疑問だらけのワンセグ訴訟判決 髙池勝彦(弁護士)
テレビを視聴できるワンセグ機能付きの携帯電話を持つとNHKと受信料契約を結ばなければならないかどうかが争われた4件の上告審で、最高裁は3月12日付で、契約義務はないと訴えた原告側の上告をいずれも退ける決定を下した(産経新聞3月14日付)。 このワンセグ訴訟は、地裁レベルでは、さいたま地裁、水戸地裁、千葉地裁松戸支部、大阪地裁、東京地裁の5件の訴訟があり、最初の平成28年8月26日のさいたま地...
常時同時配信に拘るNHKへの疑問 髙池勝彦(弁護士)
政府は、1月下旬に召集される通常国会で、放送法改正案を提出することを確認したといふ(産経新聞1月11日付)。これは、NHKがテレビと同じ番組を24時間インターネットで流す、いはゆる常時同時配信を可能にすることが目的のひとつである。この常時同時配信は、NHKが長年狙つてきた目標のひとつである。放送法では、NHKの業務の内容を限定してゐるため、放送法を改正する必要があるからである。 ●民放や...
WSJのゴーン取調べ批判は正しくない 髙池勝彦(弁護士)
ゴーン前日産会長逮捕について、新聞や週刊誌で様々なことが報道されてゐる。海外でも高い関心を呼んだらしく、いくつかの論評がある。その中で、ゴーン容疑者の逮捕拘留などに対して批判的な論評があるので、それについて述べたい。 代表的なものは、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の11月27日付の社説であるが、これは日本の刑事司法に対する公平な論評とは思へない。 社説は次のように述べる。...
「徴用工問題」での橋本発言に物申す 髙池勝彦(弁護士)
この10月30日、韓国大法院(最高裁)は戦前のいはゆる「元徴用工」に対して、計4億ウォン(約4000万円)の支払を命じる判決を出した。この判決が法を無視したものであることについて我が国では珍しく与野党や全マスコミが一致してゐる。 判決に対して日本政府は、国際司法裁判所(ICJ)に訴へることを検討してゐるといふ。政府は、この判決があまりに不当であるから、ICJでの勝訴は当然であるかのやうにいつ...
運転免許証の有効期限、西暦表記に反対 髙池勝彦(弁護士)
この8月2日、警察庁は、運転免許証の有効期限を来春から西暦表記にする方針を決めたとのことである。パブリックコメント(意見募集)を経て道路交通法施行規則を正式に改正するというが、私は大反対である。 我が国の政治行政において、速やかに対応すべき問題はなかなか実行せず、変更してはならないことは変更して取り返しのつかないことがあるが、これもその一つである。 ●何の不自由もない現状 警察庁...
運用実態の注視欠かせぬ司法取引 髙池勝彦(弁護士)
この6月1日から、刑事裁判において、司法取引制度が導入されたことが、新聞テレビなどで一斉に報道された。私は、刑事事件が専門ではないし、まだ経験はないが制度の狙いや見通しについて述べることにする。 今回の司法取引は、他人の犯罪を捜査機関に明かす見返りに、不起訴や求刑を軽くしてもらう制度である。アメリカでは、容疑者が自分の犯罪を認めて罰を軽くしてもらう「有罪答弁」の取引が中心であるが、今回の司法...
放送法の改正反対論への疑問 髙池勝彦(弁護士)
政府が、放送法を改正して第4条第1項の撤廃を検討しているとのことである。結論から言うと、私はこの条項は残しておくべきであると思うが、一部マスコミなどに見られる撤廃反対論とは一線を画しておきたい。以下その理由を述べる。 ●留意すべき占領下の法制定 まず、放送法4条1項の条文は次のとおりである。 放送事業者は、国内放送及び内外放送の放送番組の編集に当たっては、次の各号の定めるところ...
「伊方」が浮き彫りにした日本司法の宿痾 髙池勝彦(弁護士)
四国電力伊方原発3号機をめぐって、住民が求めた運転差し止め仮処分の抗告審で、広島高裁は13日、運転を禁じる決定をした。 新聞報道によると、住民は、平成28年3月11日、広島地裁に、伊方原発の運転差し止めの本訴を提訴し、同時に仮処分を申し立てた。本訴については現在も審理中だが、仮処分については今年の3月30日、申し立て却下の決定が出た。住民は、この決定に対して広島高裁に即時抗告を申し立て、12...
【第484回】NHK訴訟の最高裁判決は不当
国基研副理事長・弁護士 髙池勝彦 12月6日、NHKの受信契約に関する最高裁大法廷の判決が出た。この事件は、テレビを設置した男性が、NHKから受信契約を締結して受信料を支払ふやう要求されて拒否したため、訴へられたものだ。平成23年のことである。私がこの男性の弁護を担当した。 放送法64条1項は、テレビを設置した者はNHKと「受信についての契約をしなければならない」と...
「嫡出否認」規定の合憲判決に思う 髙池勝彦(弁護士)
11月29日、神戸地方裁判所において、「嫡出否認」規定は合憲との判決が出たことは、すべての新聞やテレビで報道されたので御存じかと思います。「嫡出否認」規定の合憲性が裁判で争われたのは初めてだとのことです。 ただ、この事件は、無戸籍者の救済といった問題が論点であるかのように思っている人がいるかもしれませんが、それだけが問題ではありません。私の考えを述べて皆さんの感想を伺いたいと思います。まだ判...
政府解釈で誤解ありとする西先生への回答 髙池勝彦(弁護士)
10月26日付の本欄拙稿「『加憲』は改憲方法として、やはり誤りだ」について、11月9日付で西修先生から誤解があるとのご指摘をいただきました。 憲法9条2項の「陸海軍その他の戦力」についての政府解釈は、西先生の御指摘のとおりだと思います。つまり、憲法が禁止している「戦力」とは、自衛のための必要最小限度を超える実力であるということでしょうが、この政府解釈こそが「アクロバット的解釈」(井上達夫・東...
「加憲」は改憲方法として、やはり誤りだ 髙池勝彦(弁護士)
今回の総選挙の結果、安倍晋三内閣が信任を得て、広い意味での改憲勢力が4分の3以上の議席を得たことは御同慶の至りです。 私は、憲法改正を支持する立場から度々投稿してきましたが、安倍さんの「加憲」方式には反対してきました。これは安倍さんの憲法改正の動きに水を差すつもりではなく、むしろ後押しをするつもりだったのです。今もそのつもりです。 広い意味での改憲勢力と言いましたが、これはマスコミがそう...
「天皇は元首」と憲法で明文化も必要だ 髙池勝彦(弁護士)
安倍晋三総理がタイムスケジュールまで示して、憲法改正が加速するかに見えましたが、東京都議選で自民党が大敗して以後、この段取りが怪しくなってきました。 私は6月7日付と15日付の「ろんだん」欄で、繰り返し総理の「加憲」案には反対してきましたが、憲法改正を1日も早く実現してほしいという点では同じであり、安倍総理には何とかして態勢を立て直して改憲を実現してもらいたいと思っています。 ●「象徴...
加憲では根本問題解決せず、西教授への再反論 髙池勝彦(弁護士)
私の6月7日付寄稿に対して、西修先生から光栄にも反論(同12日付)をいただきました。それについて、さらに私の考えを述べたいと思います。 私は、西先生の憲法9条についての解釈には全面的に賛成です。というより、私の9条の解釈は、西先生や他の同様の解釈の先生方の教えを受けて、西説に立っているのですから当然です。66条2項についても私は西説に立ちます。9条2項の交戦権否認が、自衛権の放棄にはならない...
西教授の「ろんだん」に異論あり 髙池勝彦(弁護士)
比較憲法学の権威、西修教授による5月22日付の「改憲発議にウイング広げた総理の提案を評価す」について、私も意見を述べたい。 西教授は、安倍晋三総理が国会での改憲論議の低調さにしびれを切らして2020年を目標年に改憲すると言ったことを評価し、2020年ではなく、2019年でもよくはないかと述べる。賛成です。 また、総理が改憲の項目として自衛隊の存在と教育の無償化をあげたことについて、国家緊...