政府は、1月下旬に召集される通常国会で、放送法改正案を提出することを確認したといふ(産経新聞1月11日付)。これは、NHKがテレビと同じ番組を24時間インターネットで流す、いはゆる常時同時配信を可能にすることが目的のひとつである。この常時同時配信は、NHKが長年狙つてきた目標のひとつである。放送法では、NHKの業務の内容を限定してゐるため、放送法を改正する必要があるからである。
●民放やメディアは反対論
昨年の7月、総務省の有識者検討会が、実施を容認する報告書案を公表したころから、ほとんどすべての新聞が同時配信問題を報じ、しかもそれに対して警戒感を示してゐる。しかし、事態はNHKの希望する方向に着々と進んで、つひに放送法改正案が提出されることになつた。
当初、NHKが常時同時配信をやるについては、テレビを持たないネット利用者からも受信料を徴収する方向を示してゐたが、あまりに反対が大きかつたので、それは取りやめた。巨額の投資費用が掛かるので、民業圧迫などの批判もあり、日本民間放送連盟は、平成30年10月、インターネット活用業務の受信料収入の2.5%上限を維持すること、常時同時配信の地域制御、ネット配信事業における民放業者とNHKの連携、受信料体系・水準等の受信料のあり方の見直しなど8項目の要望を出してゐる。
●放送内容の公平担保が先だ
特に、マスコミなどは、「常時同時配信には巨額の設備投資がいる。安易な導入は、受信料収入に支えられるNHKの一人勝ち状態を招き、民放との二元体制は崩れ、言論や表現の多様性が失われかねない」と批判する(朝日新聞平成30年9月18日付社説)。
どうもこれまでの批判は、NHKのネット独占に対する危惧ばかりが強調され、NHKの偏向した放送内容に対する批判があまり見られない。私は、NHKの放送内容の公平さを担保する組織の必要性がもつと強調されてよいと思ふ。
(仮名遣いは原文のまま)