この8月2日、警察庁は、運転免許証の有効期限を来春から西暦表記にする方針を決めたとのことである。パブリックコメント(意見募集)を経て道路交通法施行規則を正式に改正するというが、私は大反対である。
我が国の政治行政において、速やかに対応すべき問題はなかなか実行せず、変更してはならないことは変更して取り返しのつかないことがあるが、これもその一つである。
●何の不自由もない現状
警察庁の説明では、外国人の免許保持者が増加しているためだとのことであるが、こんなものは説明にならない。運転免許証は、当然のことながら全部日本語表記である。本籍とか住所とか、すべて日本語である。日本に居住していて今年が元号で何年であるかは当然知っているはずである。外国人が元号とは何かということがわからないはずがない。
まして、免許証の有効期限は3年か5年である。しかも、自治体によっては、免許更新の時期が来たら通知が来る。何の不自由もない。毎日のように車を運転しなくても、しばしば有効期限を確かめることもない。何よりも、現行制度で、何十年も問題がなく行われてきたのである。
警察庁は、システムの改修などで時間がかかるから、実施は来春以降になるとのことである。システムの改修がなければすぐにでもという勢いである。システムの改修にも相当な費用がかかる。無駄な費用である。
●元号は日本独特の制度だ
元号は、我が国独特の制度だ。1500年近くの歴史があり、残すべきである。残すということは、特にひどい弊害がなければ、なるべく広い範囲で使用することを意味する。
来年は御代替わりで、元号が変わるので、平成33年など実際にない表記が生ずるから元号をやめるべきだとの主張が出てくる恐れもあるが、これも読み替えれば何の問題もない。
私は、どんな場合でも元号を使うべきであると主張しているのではない。免許証の有効期限を西暦に改めることについて意味がないと主張しているのである。
免許証の有効期限は西暦に変更する必要はない。「静かなるものは動かすな」ということわざがある。