山下一仁の記事一覧
令和コメ騒動の黒幕―農水省とJA農協 山下一仁(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
なぜコメがなくなり値段が高騰したのか 昨年夏スーパーの棚からコメが消え、その後その値段は2倍に高騰した。JA農協や大手卸売業者の民間在庫は昨年の5月頃から今年の2月現在まで、前年同月比で40万トン減少している。 3年前から農水省とJA農協は減反を強化して米価を上げようとしていた。2023年産米は作付け前から減反で前年比10万トン減少していた。さらに、猛暑の影響を受け白濁米などの被害が生...
台湾有事で生まれる日本の食料危機(下) 山下一仁(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
対策は平時のコメ増産と輸出 減反をやめてカリフォルニア米と同程度の面積当たりの収穫量(単収)の米を全水田に作付けすれば、米の生産は1900万トンとなる。一気にここまでできないとしても、1700万トンは生産できる。平時は700万トンを消費して1000万トンを輸出すればよい。危機の時は輸出していた米を食べるのだ。平時の米輸出は、危機時のための米備蓄の役割を果たす。平時の自由貿易が、危機時の食料確...
台湾有事で生まれる日本の食料危機(上) 山下一仁(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
ロシアの黒海閉鎖により、世界第5位の小麦輸出国ウクライナの輸出が減少し、中東やアフリカ地域では飢餓が生じている。 ウクライナはルーマニア等を経由して輸出を続けているが、船に比べ鉄道では大量の輸送が困難である。ロシア軍が6月30日、黒海のズメイヌイ島から撤退したことにより、オデーサ(オデッサ)港など黒海を通じた穀物輸出再開の可能性も出ている。ただし、ロシア軍は海上輸送を妨害できるし、黒海に仕掛...