公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

島田洋一の記事一覧

国基研企画委員兼研究員・福井県立大学教授 島田洋一    安倍政権は、欧州連合(EU)と共同で11年間続けてきた、国連人権理事会への北朝鮮非難決議案の提出に今年は加わらない方針を表明した。  拉致問題解決に向けた交渉の環境づくりという意図があるのだろう。理念に疑念を生じさせても敢えてこの行動を取ったことによって、日朝首脳会談の可能性は高まるかも知れない。しかし、それは北朝鮮の金...

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 2月27日の産経新聞朝刊に、アメリカの元朝鮮半島和平担当大使ジョセフ・デトラニ氏のインタビュー記事が載った。ちょうどベトナム・ハノイで2回目の米朝首脳会談が始まったタイミングであり、米国の北朝鮮問題「専門家」の平均的思考を知る上で興味深い。  デトラニ氏は20数年の米中央情報局(CIA)勤務を経て、六者協議担当特使、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)米国代表などとして北朝鮮の核問題に関わっ...

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 2月19日、トランプ米大統領と文在寅・韓国大統領が電話会談を行い、韓国大統領府によれば、その中で文氏は、北朝鮮の非核化措置を引き出すため、南北の鉄道・道路連結や経済協力事業を活用して欲しい、それが「米国の負担を減らせる道だ」などと強調したという(産経、2月20日)。核兵器を温存しつつ周辺的措置で制裁緩和を勝ち取っていくという北の作戦をバックアップする立場を改めて示したわけである。  ●日米...

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国基研企画委員兼研究員・福井県立大学教授 島田洋一    トランプ大統領の一般教書演説を日本から見ていて改めて感じたのは、アメリカのリーダーシップの重要性である。  外政分野でトランプ氏が最初に触れたのは、知的財産窃取など中国の国家ぐるみの不正行為をやめさせるとの決意だった。日本も長年被害を受けてきた当事者である。しかし日本政府は手をこまねくばかりだった。「中国共産党のスパイ機...

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 ベネズエラ情勢が緊迫している。  反米を声高に掲げたポピュリスト左翼のチャベスの死後、大統領職を継いだマドゥロは、経済が混乱し社会が不安定化する中、野党連合が多数を占める国会の権限を奪う反憲法的措置を次々打ち出してきた。  これに対し今年1月23日、グアイド国会議長(35)が自ら暫定大統領に就任すると宣言、米国やカナダ、中南米諸国の大半が直ちにこれを承認した。一方、あくまでマドゥロ支持を打ち...

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 NHKのアメリカ報道の不見識と偽善性については、これまでの「ろんだん」でもしばしば指摘してきたが、2018年12月16日夜の「7時のニュース」がトップで扱った「移民の7歳少女 アメリカで拘束後に死亡」も呆れざるを得ない内容だった。まるで米当局が殺したと言わんばかりの構成で、何でもトランプ批判に結びつける姿勢も幼稚なほどの安易さであった。  ●少女の死をトランプ批判に  悪しき見本として文...

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 日本企業に戦時朝鮮人労働者への賠償支払いを命ずる判決が韓国で相次いでいる。これに対し、国際裁判に訴えるべきであり、日本の勝利は間違いないとの声が政府内外で聞かれる。しかし、国際司法の場に持ち出す上では慎重な検討も必要だ。  外務省からは、政治家に対し次のようなレクチャーも行われているらしい。  ≪2014年にオーストラリアが日本を国際捕鯨取締条約違反で訴えた裁判で、国際司法裁判所(ICJ)は...

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 朝鮮人の戦時労働問題で、日本企業に賠償を命じた韓国大法院の判決を受け、政府は韓国側を国際司法裁判所(ICJ)に提訴する方針だという。  日本の勝訴は「100%確実」といった楽観論が政府内外から聞こえてくるが、猪突猛進は危ない。現に日本が合理的な主張をしたにも拘わらず敗訴した、わずか4年半前の事例がある。  2014年3月31日、オーストラリアが日本を国際捕鯨取締条約違反で訴えた裁判で、ICJ...

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 11月5日付の「今週の直言」で、西岡力氏が、朝鮮人の戦時労働を「日本企業の反人道的不法行為」だとした韓国最高裁の判決を批判した上、「ところが日本では、政府も、多くのマスコミや識者も、その事実認識が間違っていることを批判しない」と指摘している。  ●議論が本筋逸れていないか  そして「このままでは、『過酷な強制労働をさせたことは事実だが、日韓はそれへの補償が1965年の協定で終わっているの...

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 アメリカ政治に関するNHKのニュースは、民主党支持の米主流メディアの報道を受け売りしたものが大半である。これに依ってアメリカ認識を形成すると確実に事態を見誤ることになる。  いつも強調することだが、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、3大テレビネットワーク、CNNなどの主流メディアに加え、共和党主流派に近いウォールストリート・ジャーナル、共和党保守派に近いFOXニュース、草の根保守に強...

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 中国との事実上の「新冷戦」を宣言したペンス米副大統領演説(10月4日)の衝撃波が拡がる中、10月10日、米司法省が中国の政治警察兼情報機関である国家安全部の工作員を経済スパイ容疑で逮捕、起訴したと発表した。米政府当局が中国情報機関の正規職員を、実名を挙げた上で訴追したのは初めてである。  いずれにせよ米政府は、中国との「新冷戦」を戦い抜く決意を固め、戦いの手法の多様化にも乗り出したと言える。 ...

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 ポンペオ国務長官が新任のスティーブン・ビーガン北朝鮮担当特使を伴って会見し、「彼と私は来週、目的に向かってさらなる外交的進展を得るため、訪朝することになる」(He and I will be traveling to North Korea next week to make further diplomatic progress towards our objective. )と発表したのが8...

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 ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が8月19日放送の米ABCテレビのインタビューで、米国の選挙に干渉する恐れがある国としてロシア、中国、北朝鮮、イランの4カ国を名指しし、警戒態勢を取っていると語った。  ここで思い出すのは、「北朝鮮とシリアの化学兵器コネクション」と題したボルトンの一文である(ピッツバーグ・トリビューン・レビュー、3月11日付)。補佐官に就任する直前に書かれた。 ...

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http://www.sankei.com/column/news/180806/clm1808060005-n1.html...

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国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一    北朝鮮の独裁者が外交攻勢に出てきたのは、日米主導の「最大圧力」の結果、自身の生命の危険を実感したためである。今後、核爆弾の廃棄が完了するまで、制裁を緩めてはならない。日本の場合は加えて、拉致問題の解決がない限り、資金援助はもとより制裁解除もあり得ない。安倍晋三首相が主張する通りである。  ところが、拉致問題は「日朝合同調査委員会...

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 6月19日、米国務省内で、ポンペオ国務長官とヘイリー国連大使が並び立ち、国連人権理事会からの脱退を表明した。トランプ政権のかねてからの方針を実行に移したもので、特に驚きはない。  2006年に国連人権委員会が人権理事会に衣替えした際、当時のブッシュ政権(共和党)は改革が不十分として参加しなかった。2009年にオバマ政権(民主党)が参加手続きを取ったが、再び共和党政権になれば、脱退というのは十分...

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 6月5日の産経新聞「正論」欄に、古川勝久氏(国連安保理専門家パネル元委員)が次のように書いていた。  ≪米朝首脳会談が6月12日にシンガポールで開催されることが決まった。その議題をめぐる米朝実務レベル協議に、かつて対北朝鮮交渉の責務を担っていたソン・キム大使が米側交渉団の代表として参加した。現在、フィリピン大使の同氏は赴任先から急遽、北朝鮮との交渉のためソウルに呼び出されたようだ。  首脳会...

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国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一    4月30日から5月5日まで、北朝鮮による拉致被害者家族会、救う会、拉致議連が送った合同訪米団に、私も救う会副会長として参加した。  国際的な経済・軍事圧力の高まりで苦しくなった北朝鮮が、経済制裁の緩和を狙って微笑外交を仕掛け、韓国、中国などがそれを後押しする動きを見せ始めている。倫理感を欠くこれら勢力の動きにいかに対抗するか...

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 4月25日、訪米中の自民党の河井克行総裁外交特別補佐が現地シンクタンクで講演し、北朝鮮に対して「2020年まで」と期限を切って、「完全な核放棄」を迫るべきだと訴えた。期限については、「アメリカ大統領選挙と東京オリンピックが開かれる2020年までとすべきだ」と敷衍した。  ●なぜ「即時」でないのか  なぜ「即時」でないのか。これが最初に湧く疑問である。  米大統領選挙も東京五輪も、速やか...

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 拉致被害者、曽我ひとみさんの夫で、作年亡くなったチャールズ・ロバート・ジェンキンス氏の回想録『告白』(角川書店)に次の一節がある。夫妻には2人の娘がいる。  ≪1995年、幹部たちが何人かやってきて私たちに告げた——「金正日同氏の偉大なるお心遣いによって、あなたがたの子どもたち全員が平壌の外国語大学へ入学できることになった」。その時、「組織」が私たちの子どもたちを全員工作員に仕立て上げようとし...

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