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2023.01.18 (水) 印刷する

米下院が中国問題特別委設置 島田洋一(福井県立大学教授)

米国で新議会がスタートし、下院議長も決まった直後の1月10日、下院に「米国と中国共産党の間の戦略的競争に関する特別委員会」が設置された。

民主党議員も多くが支持し、設置賛成が365票、反対が65票だった(反対は全て民主党議員)。ただし、民主党側の賛同を得るため、証人喚問の権限は付与しない形で発足した。議事運営で主導権を握る多数派の共和党が、バイデン政権の関係者を次々喚問し、つるし上げる事態を民主党側が懸念し、そうした特別委員会なら賛成しないとの意向を示したためである。

委員長に強硬派ギャラガー氏

ケビン・マッカーシー下院議長は、この委員会については超党派で中国に対峙する形が重要との認識から、民主党の要求を容れた。対決案件は既存の委員会で、あるいは別の特別委員会を設置して、との姿勢である。

例えば中国の投資会社とバイデン大統領の次男ハンター氏の不透明な関係などバイデン家疑惑については、司法委員会(保守強硬派のジム・ジョーダン委員長)で徹底追及する構えである。また、台湾に供給する兵器の選定や優先順位付けなどのテーマは外交委員会(マイケル・マッコール委員長)で扱う予定とされている。

中国問題特別委員会の委員長には、マッカーシー議長に近いマイク・ギャラガー議員が充てられた。まだ38歳と若いが、元海兵隊の情報将校で、数年来、対中強硬派として鳴らした存在である。

ギャラガー委員長は、個々の議員が毎年大量に出す(そして多くは埋もれていく)中国関連法案から重要部分をピックアップして取りまとめ、速やかに法制化していくことが委員会の仕事になると述べている。

当面のテーマに技術移転阻止や検閲排除

ギャラガー委員長は当面取り組むべきテーマとして、最先端テクノロジーの対中移転の阻止など経済安全保障分野の諸課題および米側におけるデータ管理の徹底、中国政府による「検閲」排除、米軍基地周辺の土地取得阻止(スパイ行為や電波妨害に使われるため)などを挙げている。

検閲に関しては、相互主義および公正をキーワードに追及を強めるという。例えばギャラガー委員長は、中国政府が一般国民にツイッターを使わせない一方、外務省報道官などが連日、ツイッターを用いてアメリカ政府を誹謗中傷している状態は不公正の極みと批判しており、SNS(インターネット交流サイト)事業体の幹部を参考人として招致する意向を示している。

中国ビジネスを人質に取られる形で検閲に屈してきた米国のプロバスケット協会(NBA)、ハリウッド映画界、ディズニー社の幹部らも追及(事情聴取)の対象になるとしている。

特別委員会の動きは日本にも様々に波及してこよう。注視したい。(了)
 
 

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第293回 米下院で超党派の中国特別委員会が設置

委員長は対中強硬派の共和党マイク・ギャラガー下院議員。中国との戦略的競争について集中審議する。日本の政治家は米政権与党の民主党議員だけでなく、米下院で多数をとった共和党議員とも連携を深め人脈を作るべし。中国特委はツイッターの利用、土地買収も取り上げる。