公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

佐藤伸行の記事一覧

 新型コロナウイルス感染拡大のなかで悪化した国のイメージを糊塗するため、中国の王毅外相が8月下旬に行った欧州5 カ国歴訪は、惨憺たる結果だった。 王毅外相は、「一帯一路」に参加しているイタリアを皮切りとし、中国との蜜月を保ってきたメルケル首相率いるドイツを歴訪の締めくくりに選んだが、いずれの国でも香港、台湾、ウイグル問題などで厳しい批判にさらされ、欧州との良好な関係を世界に喧伝しようとした中...

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 あまりに遅きに失した感があるが、中国への過剰なまでの配慮が目についていたドイツのメルケル政権内で、対中政策の見直しを求める声がようやく高まってきている。 やや旧聞に属するが、メルケル内閣を支える連立与党・社会民主党(SPD)の連邦議会議員団が、新たな対中政策のポジションペーパーをまとめたことは注目していいだろう。中国に対して寛容すぎる態度を改め、中国に変容を促していく決意を宣言する内容であ...

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追手門学院大学教授 佐藤伸行    新型コロナウイルスが猛威を振るっていた4月、ドイツ最大の日刊大衆紙ビルトの編集局長が習近平中国国家主席に公開書簡を送り、話題になった。公開書簡は、ウイルスの全世界への拡大は中国に責任があると追及する内容で、「習主席よ、あなたは監視することで国民を統治しているが、なぜあれほど危険な武漢の海鮮市場を監視できなかったのか」「コロナが漏出した疑いのある...

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 新型コロナウイルス禍が猖獗を極める欧州から、統合の理念の尊さを説く声を聞くことはまず、なくなった。14世紀の黒死病(ペスト)が欧州社会を激変させたように、コロナ危機収束後の欧州が以前と同じ姿を保っているとは思えない。「欧州連合(EU)はコロナ危機を生き延びることができるのか」と問う声もかまびすしくなってきた。  5年前、百万人に近い難民を受け入れるという大胆な政策を決断し、保守政党の党首であり...

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 第5世代移動通信システム(5G)構築に中国の華為技術(ファーウェイ)を参入させるか否か、欧州で議論が続いている。こうした中、英国のジョンソン政権は華為の部分的参入を容認する方針を打ち出し、華為排除を求めている米国やこれに同調している日本を驚かせた。欧州連合(EU)から離脱し、これから苦難の道を歩む英国にしてみれば、経済上、今の時点で中国との関係悪化の引き金を引くのは得策ではないと判断したのだろう...

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 2020年1月末をもって、英国は遂に欧州連合(EU)から離脱する。英国が持つ「歴史の運動法則」からすれば、それは本来の姿への回帰であり、欧州共同体(EC)時代も含めれば、過去ざっと半世紀に及ぶ英国の欧州大陸への帰属は、むしろ例外的な一時期だったと言える。  ブレグジット(英国のEU離脱)は、欧州大陸の主導権を握る独仏枢軸の重力圏から脱した英国が、伝統的なバランス・オブ・パワー(勢力均衡)戦略へ...

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