公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

冨山泰の記事一覧

国基研企画委員兼研究員 冨山泰    米中ロ、北朝鮮に、サウジアラビア、トルコ、イランなど諸国の動きが目まぐるしい。世界情勢を読むのは難しい。11月23日、国基研のシンポジウム「米中激突 日本の覚悟」でも、国際社会の展望をめぐって3時間以上にわたる議論が展開された。  年に一度の「会員の集い」のシンポジウムで、国基研を代表するパネリストの多くは米中対立が長期化するとの見方を示し...

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 トランプ米政権がロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約破棄を表明した問題では、条約破棄が、うまくいけば中国や北朝鮮の同種ミサイル全廃につながり、その結果、日本の安全を高め得るという視点で論ずることが必要である。  現INF全廃条約が廃棄の対象としたミサイルは、射程500~5500キロの地上発射の弾道ミサイルと巡航ミサイルの全部で、核弾頭だけでなく通常弾頭のミサイルも含む。仮に条約の廃棄により...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    中国は今、トランプ米政権に仕掛けられた貿易戦争で苦境に立ち、習近平国家主席の威信をかけた勢力圏拡大構想「一帯一路」も「債務のわな」に対する援助対象国の警戒で失速気味だ。少数民族ウイグル人への迫害で国際的非難も強まっている。その中で、日本の首相として7年ぶりに中国を公式訪問した安倍晋三首相は、日中関係を「競争から協調へ」押し上げたいと習主席に表...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    米政府のアジア政策立案・遂行の要となる東アジア・太平洋担当国務次官補に、デービッド・スティルウェル退役空軍准将の起用が決まった。軍人出身の戦略専門家だから当然なのだが、スティルウェル氏は対中タカ派、同盟重視論者として定評があり、日本政府にとって政策調整をしやすい米側の実務責任者になるかもしれない。  ●アジア通の次期国務次官補  ステ...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    中国の人権状況などを監視している米議会の超党派委員会が10日、中国の習近平政権によるウイグル人らイスラム教徒の抑圧を「人道に対する罪」と糾弾する年次報告書を公表した。4日にペンス副大統領が中国の内政、外交、経済、軍事政策を網羅的に批判する演説をしたのに続くもので、米国の政府と議会が中国に対する厳しい姿勢で歩調を合わせた。  ●「北朝鮮並...

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 中国の勢力圏拡大構想「一帯一路」に代わる日米主導のインド太平洋戦略に資金的裏付けを与える新たな動きがワシントン発で相次いだ。  一つは、開発途上国のインフラ整備に投資する米国企業に資金を貸し付ける政府系金融機関を新設する法律(BUILD ACT)が上下両院で超党派の支持により圧倒的多数で可決され、10月5日、トランプ大統領の署名を経て成立したことだ。  もう一つはリチャード・アーミテージ元国...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    世界は今、自由、民主主義、人権、市場経済、ルールに基づく国際秩序を重視する価値観を持つ陣営と、そうした価値観を持たない強権国家の陣営がしのぎを削っている。日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国はインド太平洋地域で前者の核を形成するが、その4カ国の有力研究機関が最近、後者の代表格である中国の主導で設立されたアジアインフラ投資銀行(AIIB)...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    6月12日にシンガポールで行われた史上初の米朝首脳会談は合意内容があいまいで、これが北朝鮮の核・ミサイル廃棄と北東アジア情勢の安定につながるかどうかは、まだ分からない。ポンペオ米国務長官と北朝鮮側による追加交渉を待たねばならない。しかし、首脳会談の評価とは別に違和感を覚えたのは、これまで北朝鮮の軍事行動を抑止してきた米韓合同軍事演習を「カネの...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    安倍晋三首相は、日中韓サミットのため東京を先週訪れた李克強中国首相の北海道視察に同行し、帰国する空港で当初の予定になかった見送りを行うという下にも置かない対応ぶりを最後まで見せた。  4年前、北京の国際会議で安倍首相と仏頂面で握手した中国のトップ、習近平国家主席の非礼さが冷たい日中関係を象徴したことを思えば、両国関係の様変わりには目を見...

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 テレビのワイドショーで、コメンテーターと称する出演者が専門外の問題について知ったかぶりの無責任な発言をするのは、視聴者をばかにしている表れであり、日本の情報番組の質の低さを物語る。だが、この安直な番組づくりが米国の世論にまで影響を与えかねないとあっては、笑ってすまされなくなる。  ●タレント発言を無責任に引用  米紙ニューヨーク・タイムズは最近の日米首脳会談について、貿易問題や北朝鮮問題...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    米国のトランプ大統領が先週、ティラーソン国務長官を解任した。5月までに開かれそうな初の米朝首脳会談を控えて、米外交の要である国務長官の首をすげ替えることが対北朝鮮政策にどういう影響を与えるか予測し難く、4月に訪米を予定する安倍晋三首相がトランプ大統領と北朝鮮問題への対応を擦り合わせることが重要になってくる。  ●国務長官解任が示す不...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    トランプ米大統領は1月30日の一般教書演説の外交・安全保障部分で、米国に挑戦する存在として、北朝鮮やイランといった「無法国家」、過激組織「イスラム国」(IS)などの「テロ集団」、そして中国とロシアのような「ライバル国」の三つを挙げた。しかし、演説で中国の覇権主義的行動を具体的に批判することはなく、拍子抜けであった。  ●「ライバル国...

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 世界で最も権威あるニュース週刊誌の一つである英国のエコノミスト(1月13日発売号)が、今年150周年を迎える明治維新について、偏見に満ちた記事を掲載した。明治維新は日本を近代化し、欧米列強の植民地になることから救ったと美化されているものの、日本のアジア侵略の種をまいたことを忘れてはならない、と講釈を垂れている。  明治維新よりはるか前にアジアを侵略し、今日のインドから東南アジア、オーストラリア...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    2018年を迎えて、新年の国際情勢予想が欧米メディアをにぎわせている。焦点の一つは中国の影響力拡大であり、トランプ政権の米国第一主義によって生ずる世界秩序の空白を中国が埋めることを警戒する声が上がる一方で、中国の拡張主義への抵抗が世界各地で強まるという予測もあり、国際社会の先行きを不透明にしている。  ●地政学上の危機  中国への...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    ドイツのハンブルクで7月8日、米中首脳が会談した。トランプ米大統領が北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)実験など核・ミサイル開発の脅威拡大に対応する必要を強調したのに対し、習近平中国国家主席は「対話と協議」で問題を解決するよう改めて主張し、議論はかみ合わなかった。新聞報道によると、習主席は同日の安倍晋三首相との会談では、北朝鮮に対して各国が...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    6月3日、マティス米国防長官がシンガポールのアジア安全保障会議(シャングリラ対話)で行った演説は、トランプ政権が北朝鮮の核・ミサイル開発阻止のため中国に協力を求めても、南シナ海や台湾といった他の重要な地域問題で中国に対して米国の基本的立場を譲らないことを宣言したという点で重要な意味があった。  ●南シナ海での行動を批判  アジアの平和...

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 自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長が安倍晋三首相の憲法改正提案に関連し、「自衛隊の根拠規定が憲法に明記されるなら(一自衛官として)非常にありがたいと思う」と発言したことについて、朝日新聞や共産党、民進党が、またぞろこれを問題視している。  統幕長の発言について、朝日新聞は社説で「政治的な中立性を逸脱する」と批判し、「文民統制の観点からも見過ごせない」と書いた。共産党は、公務員の憲法尊重擁護義務に...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    北朝鮮の核問題で中国の協力取り付けを最優先するトランプ米政権のアジア外交で、中国への甘い対応が目に付く。米政府外においても、4月26日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙の社説に見られるように、北朝鮮が非核国家になるのであれば、金正恩体制に代わる親中政権の樹立を容認してもよいとの意見まで出てきた。中国の戦略に沿ったアジアの新秩序づくりを米国...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    4月6~7日、米フロリダ州の別荘に習近平中国国家主席を招いて開いた初の米中首脳会談で、トランプ米大統領は最大の懸案の北朝鮮問題と貿易不均衡問題で強い不満を伝え、中国に厳しい姿勢を取った。これはよいことだ。しかし、両首脳は「相互尊重」を基礎に意見の相違を管理することで合意したと米中双方から説明があったのは気に掛かった。  相互尊重という言葉は...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    2月16~17日、国基研の同僚3人と共にニューデリーへ出張し、インドのシンクタンク「ビベカナンダ国際財団」(VIF)との2者対話と、米ハドソン研究所の研究者を交えた3者対話に参加した。参加者の最大の関心事は当然ながらトランプ米新政権の動向だった。  2日間の会議を通じて、日本とインドの研究者はトランプ大統領への懸念を共有していた。私は、安倍...

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