2025年6月の記事一覧
【第1262回】「本当の国難」が生じている
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 防衛相経験者4人が入っているとは思えないお粗末さだ。6月13日に行われた国家安全保障会議(NSC)のことだ。イスラエルによるイランの核関連施設などに対する攻撃について、石破茂首相は約35分間行われたNSCの場で、①情報収集②万全な在留邦人保護③事態の沈静化とイラン核問題の平和的解決に向けた関係各国との連携―の3点を関係閣僚に指示し...
【第1261回】第2列島線の対中拒否能力を強化せよ
国基研企画委員・麗澤大学特別教授・元空将 織田邦男 6月7日、中国海軍の空母「山東」を太平洋上で監視していた海上自衛隊P3C哨戒機に対し、山東から発艦したJ15戦闘機が水平距離約45メートルまで接近し、約40分間付きまとった。8日にも、山東を監視していたP3Cの進路前方約900メートルを横切るという危険飛行を繰り返した。日本政府は外交・防衛当局のルートを通じて中国側に強い懸...
【第1260回】反日感情の政治利用が心配―新韓国大統領
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 韓国大統領選挙で「共に民主党」の李在明氏が新大統領に選ばれた。得票率は49%だった。尹錫悦政権の与党だった「国民の力」の金文洙氏が41%、保守新党「改革新党」の李俊錫氏が8%だった。 今回の選挙は、昨年12月の尹錫悦大統領(当時)による戒厳宣布のため大統領弾劾が成立したことを受けて実施された。李在明氏と李俊錫氏は、戒厳宣...
【第1259回】日米交渉の情報リークが国益を損ねる
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 日米関税交渉で赤沢亮正経済財政・再生相が5回目の閣僚協議を行った。訪米は3週連続という異例のハイペースだ。異例さは頻度だけではない。米側は中国など他国との交渉も抱え、事務レベルも手薄でパンク状態だ。協議に臨む米国の閣僚3人もそれぞれ交渉スタンスに差がある。交渉の主導役は穏健派のベッセント財務長官とされるが、日本が重視する自動車の追加関...
【第1258回】日本を「真珠湾攻撃」から守れ
国基研企画委員・元陸上幕僚長 岩田清文 ウクライナは6月1日、小型の無人機(ドローン)による歴史的な奇襲作戦を実施し、多数のロシア空軍機に損害を与えた。ウクライナのゼレンスキー大統領は、この作戦でロシアの戦略航空機の約34%、41機を破壊したと述べており、今後のロシア軍の作戦のみならず、停戦交渉にも大きな影響を与えることになるだろう。 ●ロシアに大打撃を与えたドロー...
【第1257回】中国の侵攻能力強化に日本は目を覚ませ
国基研企画委員・元陸上幕僚長 岩田清文 防衛省によれば、5月25日から29日にかけて、空母「遼寧」を含む中国海軍艦艇数隻が東シナ海から沖縄本島と宮古島の間の海域を南東進し、太平洋へ向けて航行した。 この間、25、26の両日、尖閣諸島・久場島の北約240キロ及び久米島の北西約190キロの海域において、空母搭載の戦闘機による発着艦が約90回、ヘリコプターによる発着艦が約30回確...
【第1256回】日本は尖閣有効支配の本気度を示せ
国基研企画委員・元陸上幕僚長 岩田清文 5月3日12時21分ごろから約15分間、尖閣諸島周辺の日本領海内の中国海警船から発艦したヘリコプターが領空侵犯をした。航空自衛隊のF15戦闘機が那覇基地から緊急発進したが、約400キロ離れた尖閣諸島に到達する前に、中国ヘリは海警船に戻った。 中国による尖閣諸島領空への侵犯は3回目である。中国の態様がこれまでと異なるのは、日本の民間...