平川祐弘の記事一覧
2013.08.12 (月)
【第207回】戦死者の慰霊は善悪を超えて
国基研理事・東大名誉教授 平川祐弘 1945年の8月は多事だった。広島・長崎が原爆で壊滅、ソ連が侵攻、15日に終戦の玉音放送があった。このお盆の月にあらためて死者の慰霊について考えたい。 ●戦争認識の一致はあり得ぬ 世界世論の多数派は、太平洋戦争について日本を悪玉、米国を善玉としてきた。米国こそが悪玉だと言い張る日本人もいるが、国内的には声は大きくても、外に...
2013.04.08 (月)
【第188回】『竹山道雄と昭和の時代』を世に出して
国基研理事・東大名誉教授 平川祐弘 「ビルマの竪琴」の竹山道雄がいま「昭和の時代」の竹山道雄になった、と文芸評論家の高橋英夫が手紙をよこした。私が『竹山道雄と昭和の時代』と題した史伝を3月に藤原書店から出したのは、竹山道雄(1903~1984)は単なる文士や独文学の専門家ではなく、知識人として気骨のある人生を送った戦後論壇の雄だからである。 ●国家基本問題を考え...