公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

平野聡の記事一覧

中国の新疆ウイグル自治区で2017年以後、強制収容所の大規模な設置などにより出現した人権・人道上の危機は、次第に外界に広く知られるようになり、西側諸国と中国との間の対立における一大争点となった。 このうち、米国がとりわけ厳格な対応に出ているのは、米国が中国の経済発展を後押しすれば中国の民主化を促し、文明の宥和・対話につながるというイメージが、中国共産党(以下中共と略す)の被害者ナショナリズム...

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東京大学法学部教授 平野聡    最近、東トルキスタン(中国の新疆ウイグル自治区)における強制収容所の問題や、南モンゴル(内モンゴル自治区)における学校教育華語化への抗議運動が注目を集めているが、これらの問題はチベット問題とつながっている。何故なら、これら3地域は歴史上独自の文化を築いていたにもかかわらず、近代以後「中国の一部分」とされ、「中国化」の対象とされているからである。 ...

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 香港の人々が近年掲げる独自の「人文価値」の論理が、西側世界とつながる一方、北京の方を向いていないことが徐々に大陸側で知られるにつれ、北京は普段中国共産党の厳格なイデオロギーの下で「祖国の統一」を信じる立場から、チベットや新疆、そして台湾の人々を「分裂主義者」と非難するのと同じく、香港の人々に対しても全く相容れない感情を強めつつあると思われる。  ●政権批判に転じることへの恐れ  そしても...

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 近代中国ナショナリズムの歴史は、列強による侵略や圧迫を打破しようとする悲壮感に満ちているのみならず、そのためにどのようなイデオロギーを選択するかによっても激しい分裂を経験してきた。そして孫文が嘆いたように、中国の人々は往々にして「バラバラな砂」であり、国家と社会よりも、個人を中心としたネットワークの方に重きを置いているため、ナショナリズムが速やかに共有されない問題があった。  かくして、外界か...

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 香港返還に向けた作業が進んでいた1990年代、そして中国経済が高度成長のさなかにあった2000年代、多くのメディアも研究者も、自由貿易と金融の中心として香港が有する地位は他の中国主要都市の台頭によっても揺るがず、特別行政区としての独自の地位を享有する香港が、中国という国家とうまく折り合いをつけつつ中長期的に繁栄して行くことに疑いを持たなかった。そして、香港の人々のアイデンティティは「香港人であり...

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