西岡力の記事一覧
【第1205回】無能な大統領が反日政権を誕生させる
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 「韓国の保守派は落ちるところまで落ちなければならない。それで初めて再生できる」。尹錫悦韓国大統領の戒厳発動騒動を受けて、保守派のリーダー趙甲済氏はこう語った。 4月の総選挙で与党が大敗した結果、尹政権は巨大野党が支配する国会に足を引っ張られていた。尹大統領は、自分が国のために尽くしているのに野党に妨害され、その背後には北...
【第1202回】ウクライナ戦争で北朝鮮の将軍が死亡
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 ロシア西部のクルスク州で11月20日、同州の一部を占領しているウクライナ軍の攻撃により、将軍1人を含む北朝鮮軍約500人が死亡した。私の情報源が明らかにした。ウクライナ戦争に参戦した北朝鮮の将軍の死亡が確認されたのは初めてだ。攻撃には英国に提供された巡航ミサイル「ストームシャドー」が使われた。この攻撃による北朝鮮軍の死傷者は...
【第1199回】トランプ氏当選を拉致解決のチャンスとせよ
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 トランプ第2期政権の登場は、北朝鮮による拉致被害者救出のチャンスになり得る。 トランプ氏は第1期政権時代、日本人拉致問題に精力的に取り組んだ。2017年の国連演説で「13歳のかわいい少女」が拉致されたとして横田めぐみさん拉致に言及し、北朝鮮を糾弾した。拉致被害者の家族会とは2回もじっくり面談して訴えを聞き、その場で被害者...
【第1195回】国連の内政干渉にどう対処すべきか
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 国連の女子差別撤廃委員会は10月29日、皇位を男系男子に限る日本の皇室典範について、女子差別撤廃条約と「相いれない」と改正を勧告した。委員会の審議に参加したNGO「なでしこアクション」の山本優美子代表は、怒りを込めて次のように主張している。「リベラルフェミニスト思想の委員と日本の左派が意気投合した内容がそのまま反映されたもの...
【第1192回】北朝鮮軍のウクライナ参戦の実態
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 北朝鮮軍がロシアによるウクライナ侵略戦争に参戦していることが、ウクライナと韓国の両国政府によって確認された。ウクライナのゼレンスキー大統領は10月17日、「ロシア軍は1万人の北朝鮮兵士を動員する準備を進めている」と発言した。ウクライナ文化情報省傘下の戦略コミュニケーション・情報安全保障センターは18日、北朝鮮兵がロシア極東の...
【第1191回】石破内閣は歴史認識問題に取り組むのか
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 国基研は繰り返し、歴史認識問題に政府として取り組めという政策提言を行ってきた。それを受けて安倍晋三政権で、首相官邸の官房副長官補室が歴史認識問題に取り組む体制ができ、菅義偉、岸田文雄政権でもそれが維持されてきた。具体的には、政治家である首相補佐官が担当に任命され、事務方として副長官補室が補佐官と連携しつつ、政府全体を統括する...
【第1189回】「北に連絡事務所」に反対する理由
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさんの弟の横田拓也さんが会長を務める「家族会」と私が会長を務める「救う会」は、石破茂首相が自民党総裁選で主張した平壌と東京に連絡事務所を設置する案に反対してきた。その理由は、①北朝鮮は拉致被害者を含む全住民に公民証を持たせ厳しく管理しているので、新たに調査をするということ自体が時間稼ぎに過ぎ...
「高市氏は靖国参拝を公言して負けた」論に思う 西岡力(麗澤大学特任教授)
「高市早苗氏が首相になれば靖国参拝をするだろうから、中国でまたひどい反日騒ぎが起き、せっかく落ち着いてきた日韓関係がまた悪化する。このような懸念が自民党総裁選の最終盤に党所属国会議員の中に広がったことが、1回目の投票で1位だった高市氏が決選投票で逆転された大きな理由だ」と、政治評論家らが口々に語った。 私はそれを新聞で読んで心の底から悔しかった。私が人生をかけて戦っている歴史認識問題が原因で...
脅かされる韓国の言論の自由 西岡力(麗澤大学特任教授)
拙著『でっち上げの徴用工問題』の韓国語訳出版によって2021年に本研究所の日本研究特別賞を受賞した韓国のメディアウォッチ代表の黃意元氏が、言論活動を理由に検察に起訴され、一審で実刑判決が出て身柄を拘束され、今、二審で闘っている。 記事を理由に記者を逮捕 メディアウォッチはネット上でニュースを発信するメディアであると同時に、単行本を出版する出版社でもある。そのメディアウォッチは2016年...
【第1184回】中国人の反日感情は人工的につくられた
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 9月18日、中国の深圳で日本人小学生が中国人暴漢に刺されて殺された。反日教育を政策として行って、日本人になら何をしても良いと思わせる雰囲気をつくった中国政府と、それに対して反論せずに謝罪を繰り返してきた日本政府への怒りを禁じ得ない。 ●共産党独裁の正当化に利用 事件の背景には中国人の間に拡散している反日感情、より...
【第1182回】韓国医療危機で保守派が大統領離れも
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 「連休中に事故に遭ったり急病になったりしても、救急医療体制が崩壊しているので治療を受けられず生命の危険がある。なるべく出掛けるな。お墓参りもやめた方が良い」。今年1月まで韓国の小児専門救急医療センターで勤務し、4月の総選挙で当選して保守野党・改革新党の国会議員となった李妵鍈氏が旧暦お盆の連休(9月16~18日)を前に家族や友...
【第1169回】ぎりぎり事実を曲げなかった佐渡金山の展示
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 佐渡の金山が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録された。韓国も賛成した。 登録決定直前まで日韓両国は水面下で折衝を進めていた。日本政府は当時の国際法に違反するような「強制労働」はなかったという立場を固守し、韓国側は「強制労働被害の現場」だったことを展示せよと迫った。その結果、①登録決定直後に現地の相川郷土博物...
【第1166回】米大統領選が拉致問題に与える大きな影響
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 米国のトランプ前大統領は7月18日、共和党大会での大統領候補指名受諾演説で、「北朝鮮の金正恩委員長と仲良く過ごした。核兵器を持つ者と仲良く過ごすことは良いことだ」と語った。23日、北朝鮮国営の朝鮮中央通信は論評を出し、「国家の対外政策と個人的感情は厳然と区別すべきである」として、トランプ氏に距離を置く立場を表明した。 金...
北で秘密資金持ち逃げ事件 西岡力(モラロジー道徳教育財団教授)
6月、朝鮮人民軍の政治警察である保衛局(保衛司令部から改称)の幹部が北朝鮮の独裁者、金正恩委員長の秘密資金3000万ドル(約48億円)を持ち逃げする事件が発生し、大騒ぎが起きている。 軍の外貨管理者が3000万ドル 今年春頃、北朝鮮は自国で生産する兵器の質を向上させるため、コンピューター制御で動かすCNC旋盤などの精密機械を中国から密輸することを計画した。そのために1億ドルをひそかに北...
【第1157回】北朝鮮がウクライナ戦争に工兵派遣
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 6月19日、ロシアのプーチン大統領が24年ぶりに北朝鮮を訪問し、金正恩委員長と首脳会談を行った。両氏は「どちらか一方が、武力侵攻を受け、戦争状態になった場合、遅滞なく、保有するすべての手段で軍事的およびその他の援助を提供する」という規定を含む「包括的戦略パートナーシップに関する条約」を締結した。 この規定に従って、北朝鮮...
なぜ北は韓国にゴミを送るのか 西岡力(モラロジー道徳教育財団教授)
韓国政府は、北朝鮮が風船でゴミを繰り返し送り付け、全地球測位システム(GPS)利用を妨害するなど有害行為をしていることに対して、「北朝鮮が耐え難い措置を取る」として6月9日午後、対北拡声器放送を6年ぶりに再開した。対する北朝鮮は同日夜にまたゴミ風船を飛ばすとともに、10日朝、「強力な対応を取る」と金与正副部長談話で脅した。 韓国内の左派は、北朝鮮が拡声器の銃撃など軍事挑発を仕掛ける可能性があ...
【第1152回】レーダー照射の闇を暴けない尹政権を警戒せよ
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 6月1日、木原稔防衛相は韓国の申源湜国防相とシンガポールで会談し、韓国軍駆逐艦による自衛隊機へのレーダー照射問題を事実上棚上げし、日韓防衛交流・協力を活発化することで合意した。 2018年に起きた火器管制レーダーの照射は、一歩間違えれば自衛隊機が攻撃されかねない重大な敵対行為だ。韓国がそれを認めないままで日韓が防衛協力を...
北の核攻撃訓練への危機感が薄い 西岡力(モラロジー道徳教育財団教授)
5月13日の「今週の直言」(核の威嚇に動じない抑止戦略の構築を)で、織田邦男元空将は、ロシアによる新たな核の威嚇に対して米国防総省、北大西洋条約機構(NATO)、ウクライナ国防省が一斉に非難の声を上げたことを紹介した。そして、わが国も周辺国から核の脅威を受けているのだから、抑止戦略を構築せよと論じた。その意見に全面的に賛成する。 しかし筆者には、強い疑問を感じていることがある。ロシアが戦術核...
【第1140回】韓国与党惨敗で政権運営に厳しさ増す
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 4月10日、韓国で国会議員選挙があった。韓国の国会は300議席の1院制で、任期は4年で解散はない。1回の選挙でその後4年間の立法府の力関係が決まる。結果は与党「国民の力」が108議席しか取れず、惨敗した。第1野党の「共に民主党」が175議席、曺国・元法相が3月につくった祖国革新党が12議席、その他野党5議席で、野党の合計は1...
【第1133回】北の揺さぶりに日本は原則を曲げるな
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 北朝鮮の金正恩政権の対日姿勢が突然硬化した。岸田文雄政権はこれまでと全く変わらない原則的なことを言っているだけなのに、北朝鮮はそれを問題視し、いかなる接触も交渉も拒否すると高官が繰り返し表明している。 ●金与正氏が態度一変 3月25日、金正恩国務委員長の妹で実質的な権力ナンバー2の金与正朝鮮労働党副部長が談話を出...
【第1128回】岸田首相の訪朝あり得るか
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 私は2月19日の本欄で「近く、岸田(文雄)首相訪朝があり得る」と書いた。2月15日に北朝鮮の事実上の権力ナンバー2である金与正労働党副部長が訪朝の可能性に言及する談話を出したことを受けたものだった。ところが、マスコミと専門家の多くは、談話では拉致問題を障害物としない限り、という前提条件を付けているとして、訪朝の可能性を疑った...
【第1122回】韓国で露呈した法治の実情―尹大統領の「原罪」
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 韓国の尹錫悦大統領と与党「国民の力」トップの韓東勲非常対策委員長には「原罪」がある。2人とも政治家になる前は特捜部検事だった。著名なジャーナリスト趙甲済氏は2月上旬、私に「検事時代の2人は法と正義に基づいて巨悪に立ち向かった法律家ではなく、法を使って反対派を弾圧する法技術者だった。この2人を批判しない大多数の韓国の保守派は真...
【第1120回】「拉致」と「核」の分離が平壌を動かした
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 「(岸田文雄)首相が平壌を訪問する日もあり得るであろう」。2月15日、北朝鮮の事実上のナンバー2である金与正副部長が、談話でこう述べた。1月5日には、兄の金正恩委員長が岸田首相に閣下という敬称を付けて能登半島地震の見舞い電報を打っている。これらの動きは、拉致問題を核問題と切り離して先に交渉しようという岸田首相のメッセージが北...
【第1113回】対南政策転換の理由は北住民の韓国への憧れ
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 北朝鮮で重大な政策転換が起きている。「韓国は統一されるべき同じ民族ではなく、戦争で平定すべき敵国」だとされた。昨年末の朝鮮労働党中央委総会と今年1月15日の最高人民会議で金正恩委員長が行った二つの演説でそれが明確に示された。 特に驚かされたのは、後者の演説で、祖国統一3大憲章記念塔を「コルプルギョン」(見苦しい)と罵倒し...
【第1100回】北朝鮮核脅威をなぜ直視しないのか
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 12月18日、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」の発射訓練を行った。火星18は固体燃料型で、4月と7月に試験発射が行われていた。私がこれまで繰り返し強調しているように、試験発射とされるのはまだ開発が終わっていない段階であり、開発が終わると実戦配備されて発射訓練が行われる。従って、ついに固体燃料型のICBMが実...
【第1091回】自衛隊明記の闘いから逃げてはならない
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 岸田文雄首相は、自身の任期内に憲法改正を実現すると繰り返し公言している。首相の自民党総裁としての任期は来年9月までだ。それまでに衆参両院の3分の2の賛成で憲法改正発議案を通し、国民投票を実施して過半数を得なければならない。残された時間は限られている。具体的にどの条文を改正するのか確定させるべき時が来ている。 自民党は、①...
【第1088回】「帝国の慰安婦」無罪判決の二つの意味
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 10月26日、韓国最高裁判所は朴裕河・世宗大学名誉教授の著書『帝国の慰安婦』の記述は「学問的主張ないし意見表明」であって名誉毀損罪で処罰される「事実の摘示」と見ることは困難だとして、罰金1000万ウォン(約110万円)を宣告した2審判決を無罪趣旨で破棄し、高裁に差し戻した。学問の自由の観点から歓迎したい。 ●学問の自...
【第1081回】なぜ今なのかが不可解な旧統一協会解散請求
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 ついに政府が世界平和家庭連合(旧統一協会)の解散命令を東京地裁に請求した。私は昨年10月31日付の本欄で、福音派キリスト教信者として「政府と国会が現在進めている旧統一協会への対応に恐怖を感じている。…なぜなら、信教の自由という憲法で保障されている大原則によってこれまでできないとされてきたことが、次々とできることにされているか...
露朝軍事技術移転は継続協議か 西岡力(モラロジー道徳教育財団教授)
9月13日、ロシア極東部の宇宙基地で北朝鮮の金正恩総書記とロシアのプーチン大統領が会談した。多くのマスコミは、この会談で北朝鮮からロシアへの武器提供が決まるかのように報じていた。しかし、すでに7月末のロシアのショイグ国防相訪朝時に、ロシア軍がウクライナ戦争で使う自動小銃、砲弾、ロケット砲弾、地雷、冬用軍服などの提供は合意が成立し、自動小銃10万丁をはじめとする引き渡しが実際に始まっていた。金総書記...
【第1071回】韓国で慰安婦強制連行否定のシンポ開催
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 9月5日、慰安婦強制連行・性奴隷説を否定する日韓両国の学者、活動家が集まり、ソウルで合同シンポジウムが開催された。この立場の日韓シンポが韓国で開かれるのは初めてだ。会場には両国の国旗が大きく描かれた横断幕が掲げられ、開会式では韓国の国歌斉唱の後に君が代斉唱があった。韓国人が大多数である約100人の聴衆の中には大きな声で君が代...
【第1068回】吸収統一への危機感が理由か―北の「大韓民国」使用
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 北朝鮮の金正恩委員長が韓国を初めて「大韓民国」という正式国号で呼んだ。北朝鮮は韓国のことを米国の植民地だと位置づけ、国として認めていないので、これまでは「南朝鮮」と呼んできた。だから、その意図を巡りさまざまな解釈が出ている。 ●住民に広がる戸惑い 金委員長は8月28日に海軍の司令部を訪れて演説し、「米国と日本、『...
プーチン大統領が朝鮮戦争参戦を認めた意図 西岡力(モラロジー道徳教育財団教授)
7月27日の北朝鮮の朝鮮戦争「戦勝」70周年記念閲兵式にあたり、ロシアのプーチン大統領が祝辞を寄せた。訪朝したショイグ国防相が持参した。その中でプーチン氏は「数万回の戦闘飛行を遂行した飛行士を含むソ連の軍人も、朝鮮の愛国者と共に肩を組んで戦いながら、敵の撃滅に重みのある寄与をした。この過程に結ばれた戦闘的友誼の歴史的経験は、高貴な価値を有しており、政治と経済、安全分野においてロシアと朝鮮民主主義人...
【第1057回】北朝鮮で飢饉、死者続出
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 北朝鮮では今、すさまじい食糧難が発生し、首都平壌を含む全国で餓死者が続出している。軍将校、安全員(警察)、保衛員(政治警察)の家族への食糧配給が昨年11月頃から止まり、今年6月からは本人への配給も止まった。兵士も乏しい食事で飢えている。このような飢饉の状況を日本と韓国のマスコミはほとんど伝えていない。 韓国には北朝鮮内部...
【第1046回】なぜレーダー照射事件の棚上げに応じたのか
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 なぜ、言うべきことを言わないのか。国防の責任者である浜田靖一防衛相と海上自衛隊トップの酒井良海上幕僚長が、韓国海軍駆逐艦による海自哨戒機への火器管制レーダー照射問題を事実上棚上げにして日韓防衛協力を進めている。 浜田防衛相は6月4日シンガポールで行われた李鐘燮韓国国防相との会談で、同問題を棚上げにして再発防止のための実務...
【第1045回】動くか拉致問題、北が協議提案に即反応
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 拉致問題が動くかもしれない。岸田文雄首相は5月27日、拉致被害者の家族会などが主催した国民大集会で挨拶し、「首脳会談を早期に実現すべく、私直轄のハイレベルで協議を行っていきたい」と述べた。すると、僅か2日後の29日、北朝鮮はパク・サンギル外務次官の談話を出して「朝日両国が互いに会えない理由がない」と応えた。 ●「会え...
北朝鮮社会の崩壊が始まった 西岡力(モラロジー道徳教育財団教授)
北朝鮮で社会の末端の崩壊が始まっている。今年に入りひどい食糧難によって一部で餓死者が出ていることはすでに韓国政府も確認している。最近私が北朝鮮内部につながりを持つ韓国筋から聞いたところによると、反体制的な事件がかつてなく急増している。 4月の間に全国で確認された反体制事件は過去最高の1000件だという。これは北朝鮮の政治警察である国家保衛省に報告された件数だから、実際にはもっと多いはずだとい...
【第1037回】「人道支援てこに拉致被害者救出」方針を米は理解
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 5月初め、北朝鮮拉致被害者の「家族会」、支援組織「救う会」、超党派の「拉致議連」の訪米が4年ぶりに行われ、筆者も「救う会」会長として参加した。「親世代の家族が存命のうちに全拉致被害者の一括帰国が実現するなら、我が国が北朝鮮に人道支援を行うことに反対しない」とする家族会と救う会の新運動方針への理解と支援を求めるのが訪米の主目的...
【第1036回】韓国大統領の必死の国防決意に学べ
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 韓国の尹錫悦大統領が米国を国賓訪問し、4月26日、バイデン米大統領と共に、米国の拡大抑止強化を盛り込んだワシントン宣言を公表した。尹大統領は共同記者会見で「私たち2人の首脳は北朝鮮の核ミサイルの脅威に直面し、相手の善意に期待する偽物の平和ではなく、圧倒的な力の優位を通じた平和を達成するため、両国間の拡大抑止を画期的に強化する...
【第1030回】デマ政治と批判された韓国野党の福島訪問
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 韓国の左派野党「共に民主党」の議員団が福島原子力発電所処理水の海洋放出に反対するため4月6~8日に日本を訪問した。それに対して韓国内で強い批判の声が出た。特に、日頃、反日報道の先頭に立ってきた有力紙、朝鮮日報が「科学と事実を拒否、デマ政治の誘惑を捨てられない共に民主党」と題する6日付社説で、処理水放出を危険視する野党の主張に...
歴史の真実に向き合わない尹大統領 西岡力(モラロジー道徳教育財団教授)
韓国では尹錫悦政権が打ち出した戦時労働者問題解決策と尹大統領の訪日の結果に対して、野党、左派言論から「屈辱売国外交」という非難の声が上がっている。学界でもソウル大学、高麗大学、東国大学、歴史関連53学会などが糾弾声明を出した。一方、与党、保守言論からは評価する声が上がり、激しい論争が続いている。 それを意識して尹大統領は訪日直後の3月21日の閣議の冒頭、「韓日関係を放置することは大統領として...