西岡力の記事一覧
米国によるアフガン民主化失敗の文明論的意味 西岡力(モラロジー道徳教育財団教授・国基研企画委員)
「我々はアフガンに1兆ドル以上を使って彼らが必要とする全ての道具を提供したが、未来のために戦うという意志まで提供することはできなかった。アフガン軍が自ら戦おうとしない戦争で米軍が戦うこともできず、戦ってもいけない」。バイデン米大統領が8月16日にホワイトハウスで演説した内容だ。 島田洋一福井県立大教授は「アフガン政府軍が戦わずしてタリバンに降伏したという言い方は正確ではない。この5年間に約...
【韓国情勢】韓国ネットメディアもMBC報道を批判 西岡力(モラロジー道徳教育財団教授・国基研企画委員)
8月10日韓国のMBCテレビが国家基本問題研究所の名誉を毀損する事実無根のひどい内容を調査報道番組として放映した。 それに対して国基研は11日に抗議声明を公表しているが、同じ11日に、韓国保守派リーダーの趙甲済氏が主宰するネットメディア「趙甲済ドットコム」(조갑제닷컴)もMBC報道について「不当取引を立証する客観的な証拠は提示されず、事実上「伝聞話」だけに終わった」と厳しく批判する会員コラ...
【韓国情勢】東京五輪での自国の非常識さを反省する韓国人コラム 西岡力(モラロジー道徳教育財団教授・国基研企画委員)
選手村に反日垂れ幕を掲げたり、福島産食材を放射能に汚染されているとして自前の食事提供を行ったり、東京オリンピックにおける韓国選手団の行動や韓国マスコミの報道に対し、多くの日本人が嫌韓感情を強めている。そのような中、韓国の良識的保守リーダーである趙甲済氏が主宰するネットメディア「趙甲済ドットコム」(조갑제닷컴)に、韓国の反日的態度を批判する会員コラムが掲載された。それを全訳して紹介する。 過...
北の核ミサイルと戦後日本の安保不感症 西岡力(モラロジー道徳教育財団教授・国基研企画委員)
北朝鮮は核ミサイルでわが国を攻撃する能力を既に保有している―。7月に公表された令和3年版防衛白書はそう書いた。衝撃的なこの内容について、マスコミはほとんど報じず、国会でも論じられなかった。危機を危機と感じられないこの安保不感症に戦後日本の病理をみる。 防衛白書も随所で危機指摘 日本を狙う北の核ミサイルについて白書は、4カ所で繰り返し書いている。まずそれを確認する。 白書は、第1...
深刻化する北朝鮮の食糧事情 西岡力(モラロジー道徳教育財団教授・国基研企画委員)
6月15日から18日の4日間、朝鮮労働党中央委員会総会が開かれた。1月、2月にひきつづいて今年3回目の開催だ。半年に3回の開催自体が異例だが、そこで議論された内容も驚くべきものだった。全国規模で大規模な食糧危機が発生しているため、それに対する緊急対策が主要議題だったからだ。 会議冒頭で総書記の金正恩は「農業部門で昨年の台風の被害のため穀物生産計画を未達成したことによって現在、人民の食糧状況...
【第802回】戦時労働者問題で画期的判決
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 6月7日、韓国ソウル地裁が朝鮮人戦時労働者問題で正当な判決を下した。元労働者ら85人が日本企業16社を相手取り、慰謝料1億ウォン(約1000万円)ずつを求めた訴訟で、訴えを却下したのだ。 43ページにわたる判決全文を読み、裁判長を務めた金亮澔キムヤンホ部長判事のバランス感覚と愛国心に心を打たれた。 ●「最終的解決...
【韓国情勢】「よくわかる慰安婦問題」の韓国語版出版 西岡力(モラロジー道徳教育財団教授・国基研企画委員)
韓国の自由保守派ネットメディア「メデイア・ウォッチ」は4月16日に拙著「よくわかる慰安婦問題」(草思社)の韓国語版を出版し、それを記念して5月24日、私との長文のインタビュー記事をネット上で発信した(한국어)。 インタビューはメデイア・ウォッチが比較的長文の質問を10、西岡に送付し、それに書面で答える形式で実施された。質問が長いため、インタビューというより、韓国保守ジャーナリストと西岡の慰...
【第796回】価値観外交を拒否した文政権の韓国
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 文在寅政権の韓国は、価値観外交を拒否した。21日の米韓首脳会談を見ると、そう結論せざるを得ない。 ●中国の名指し非難避ける まず、米韓共同声明には中国という言葉が一度も出てこない。菅義偉首相の訪米時の日米共同声明(4月16日)では、中国という言葉が5回登場し、そのうち2回で「威圧の行使を含む、ルールに基づく国際秩...
【第794回】入管法改正を実現せよ
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 私は5月17日付の本欄で、送還忌避者(退去命令を受けながら送還に応じない外国人)の処遇などに関する出入国管理法改正案に関する論議に国益への目配りが不足しているとの問題提起をした。しかし、政府・与党は18日、今国会での改正案成立を断念した。その結果、送還忌避者の増加による収容長期化や仮放免者逃亡などの懸案が解決できず、収容者の...
【第793回】入管法改正議論に欠ける国益への目配り
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 今、国会では、送還忌避者(退去命令を受けながら送還に応じない外国人)の処遇などに関する出入国管理法改正案をめぐり、与野党が激しく対立している。 国基研は平成30年12月、外国人労働者の受け入れを拡大する前回の入管法改正の際、中国人永住者が急増していることに危機感を持ち、永住許可条件の厳格化を求める提言を行い、参議院はその...
【第788回】閣議決定「『従軍慰安婦』使わない」を評価する
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 4月27日、菅内閣が慰安婦問題と朝鮮人戦時労働者問題で重要な閣議決定を行った。「従軍慰安婦」という用語はたとえ「いわゆる」が付いても不適切であり、また朝鮮人戦時労働者について「強制連行」や「強制労働」という用語も不適切だと決定したのだ。 ●「いわゆる」も排除 昨年、文部科学省の検定に合格した山川出版の中学歴史教科...
【第784回】野党圧勝でも遠い韓国政治の正常化
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 4月7日、韓国でソウル市長と釜山市長の補欠選挙があった。セクハラが問題になり、釜山市長は辞任、ソウル市長は自殺したことを受けて、残余の任期1年を勤める新市長を選ぶ選挙だった。 ソウルでは第1野党「国民の力」の呉世勲候補(元ソウル市長)が得票率58%、与党「共に民主党」の朴映宣候補(前中小ベンチャー企業相)が39%だった。...
【第769回】米教授「慰安婦」論文への批判に問題あり
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 ハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授が書いた戦時中の慰安婦に関する学術論文「太平洋戦争における性サービスの契約」が批判されている。同論文はオランダの出版社エルゼビアが発行する国際学術誌インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクスのインターネット版で公開され、3月に出版される印刷版にも掲載が予定されていた...
【第768回】韓国国防白書の驚くべき「親中反日」
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 韓国は中国に引き寄せられ、大陸国家に回帰するのか。建国以来、韓国は自由民主国家として米国との軍事同盟で安全保障を強固にし、日本との友好関係を拡大しつつ、経済成長を遂げた。北朝鮮という存在が大陸との関係を遮断したため、海洋国家の一員となって発展したと言える。ところが、文在寅政権になって、韓国の立ち位置が変わった。 バイデ...
警護部隊すら信じられぬ金正恩の不安 西岡力(モラロジー研究所教授・国基研企画委員)
私は昨年9月24日付の本欄を含む様々な媒体で、米軍が北朝鮮を攻撃する可能性、具体的には金正恩を暗殺する斬首作戦を実行する可能性が2017年秋には高まっていたと書いてきた。その根拠の一つが、複数の米軍筋が当時、自分たちは金正恩の位置情報を持っているとリークしていたことだった。 この話が正しいなら、位置情報を流す米軍のスパイが北朝鮮内部にいるということを意味する。ここにきて少しずつ真相が明らか...
金正恩が錯乱の責任転嫁発言 西岡力(モラロジー研究所教授・国基研企画委員)
「頭がおかしくなったのではないか」。平壌の党、軍、経済部署の最高幹部らが最近の金正恩の言動に対して、こうささやき合っているという。 1月上旬、5年ぶりに朝鮮労働党の党大会が開かれ、昨年に終わった北朝鮮の経済五カ年計画は、目標に達しなかったと総括した。経済責任者を入れ替え、現実的な目標設定を命じて新たな経済計画を決めた。 ところが金正恩は、それから1カ月しか経っていない2月8日から4日...
文政権の狙いは東京五輪の政治利用 西岡力(モラロジー研究所教授・国基研企画委員)
なぜ、韓国の文在寅大統領が日本にすり寄ろうとしているのか。最近、繰り返し聞かれる質問だ。たしかに、年頭の会見などで文大統領は、戦時労働者問題で日本企業の資産が現金化されることに憂慮し、慰安婦問題で韓国ソウル地裁が日本国に慰謝料支払いを命じた判決にも「困惑」したと語った。司法への介入はできないから日本側が韓国の判決に従えという姿勢だった昨年までの反日姿勢から比べると一定の変化があったことは事実だ。...
【第757回】北朝鮮党大会、金与正氏降格の背景
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 北朝鮮の平壌で1月5~12日に朝鮮労働党第8回大会が開かれた。大会では初日から3日間をかけて金正恩委員長が活動報告を行い、「国家核武力」を完成させたことを自身の業績として強調し、今後も核兵器を開発すると明言した。多弾頭核ミサイル、固体燃料の大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発を続け、原子力...
【第754回】韓国の不当判決に事実に基づき反論せよ
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 また韓国の裁判所がひどい判決を下した。1月8日、ソウル地裁は日本国に対して、元慰安婦12人に、1人あたり1億ウォン(約950万円)の慰謝料を払えと命じた。 国際法には、国家は他国の裁判の被告にならないという「主権免除」の原則がある。国家が互いの主権を尊重する外交関係の基本だ。ところがソウル地裁は、慰安婦制度を「主権免除」...
【第750回・特別版】今の韓国がG7に招かれる資格はない
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 文在寅政権下の韓国は、自由民主主義国連合に入る資格があるのか。 来年の先進7カ国(G7)議長国である英国のジョンソン首相は、インド、オーストラリア、韓国をG7サミットにゲストとして招くと発表した。英政府は声明で「共有する利益を推進し共通の課題に取り組むため、志を同じくする民主主義国家と協力していく」と説明した。英政府は中...
【第747回・特別版】韓国の民主主義は死んでしまうのか
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 12月10日、韓国国会で高位公職者犯罪捜査処(公捜処)法の改正案が与党民主党の強行採決により成立した。公捜処は高位公職者だけを捜査対象にする大統領直属の捜査機関だ。野党「国民の力」党議員らは喪服を着て、韓国の民主主義が死んだと激しく抗議した。 改正のポイントは公捜処長候補の推薦にあたり野党の拒否権を廃止することだった。昨...
【第745回・特別版】中国の人権侵害を制裁する枠組みを作れ
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 香港の民主化運動リーダーが次々逮捕され、実刑判決を受けている。これに対して日本で批判の声が高まり、朝日新聞までもが12月3日社説で「国際社会は共同行動を強めるべきだ」と書いた。 それでは国際社会はどのような共同行動を取るべきなのか。都合が悪くなれば国際的な約束や評判など無視する独裁政権に人権侵害をやめさせるためには、それ...
【韓国情勢】韓国で盛り上がる「アンチ反日」運動 西岡力(モラロジー研究所教授・国基研企画委員)
本欄でも、これまで何回か紹介してきたように、韓国で慰安婦問題、戦時労働者問題について、歴史の真実を知り、それを広く韓国社会に広める活動が活発化している。 「反日銅像真実糾明共同対策委員会」という団体が中心になっている。同委員会は『反日種族主義』の著者のひとりである李宇衍氏、弁護士の金基洙氏が共同代表。彼らは昨年12月から毎週水曜日、ソウルの日本大使館前の慰安婦像の近くで、正義連(旧挺対協)...
トランプ大統領の拉致問題への取り組みに感謝する 西岡力(モラロジー研究所教授・国基研企画委員)
米国トランプ大統領に対して日本では「差別主義者」「人権無視」などと批判する一部専門家がいる。しかし、日本の抱える重大な人権問題である北朝鮮による日本人拉致問題について、歴代の米国大統領の中でトランプ氏ほど、親身になって家族の苦しみに耳を傾け、北朝鮮に対して直接、解決を迫った人はいなかった。その意味でトランプ大統領は、日本人にとって人権問題に誠実に取り組んでくれた恩人といえる。なぜ、そのことがもっ...
【第729回】学界正常化へ学術会議を解散せよ
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 日本学術会議の存在意義について議論が盛り上がっている。学術会議を設立した日本学術会議法は1948年に制定された。当時、連合国軍総司令部(GHQ)は日本を世界平和の敵と見て、2度と世界に立ち向かえない弱い国にすることを目標としていた。 GHQが草案を作成し、前年に施行された憲法の前文には「日本国民は、(略)政府の行為によつ...
安倍政権の対北朝鮮政策は成功だった 西岡力(モラロジー研究所教授・国基研企画委員)
安倍晋三首相の退陣前後に、その北朝鮮政策を批判的に総括する議論がいくつか出ている。北朝鮮問題を長く扱ってきた学者やジャーナリストが、トランプ政権とともに強い圧力をかける政策を実行してきたことを、そのために首脳会談に北朝鮮が応じず、拉致問題が進展しなかったなどと批判しているのだ。 しかし、安倍前首相の北朝鮮政策は成功している、その成功を土台に菅政権が拉致問題で大きな成果を上げる機会が来ている...
2017年秋、米朝は開戦直前だった 西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)
平成29年(2017年)秋、米朝関係は戦争直前だった。当時から私を含む少数の専門家が指摘してきた通りだが、米紙ワシントンポストのボブ・ウッドワード(Bob Woodward)副編集人の新著「Rage(怒り)」がその生々しい状況を明らかにしている。トランプ大統領との17回のインタビューをもとに出版された同書から当時の生々しい状況を知ると、当時の日本の総理大臣が安倍晋三氏で良かったと心から思う。 ...
石破氏の「拉致」公約に見る危険性 西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)
9月1日、石破茂・元自民党幹事長が党総裁選挙出馬にあたり、会見を開いて拉致問題について次のように語った。 東京、平壌で連絡事務所を開設する。それは政府として公式に、責任をもった立場で拉致問題をどのように解決するかということに対応していかねばならないからだ これは大変危険な公約だ。強く反対したい。 「被害者死亡」確認と同じ 石破氏は2018年9月の前回の総裁選挙でも同じこと...
【第710回】文政権下での日韓関係正常化は不可能
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 「日本に対話を呼びかけ」―。日本の多くのマスコミは8月15日の文在寅韓国大統領の演説にこのような見出しを付けた。しかし、その全文を読み、同じ式典でなされた光復会(独立運動家とその子孫の会)会長の祝辞を読むと、現政権下での日韓関係の正常化はほとんど不可能だと考えざるを得ない。 ●空疎な対話呼びかけ 文大統領はこう語...
救国の英雄を誹謗する歪んだ歴史観 西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)
7月10日、99歳の生涯を閉じた韓国の英雄、白善燁将軍に対する文在寅政権側の冷遇が自由世界の心ある人々を怒らせている。白将軍が逝去したのは10日の午後11時だが、同じ日の零時過ぎ、セクハラで告訴されて自殺した朴元淳ソウル市長の死体が山中で発見されている。つまり、ほぼ同じときに、韓国の国是である反共自由民主主義を守るために命がけで戦った英雄と、国是を崩すために左派市民運動家、人権弁護士、政治家とし...
【第704 回・特別版】北朝鮮のコロナ発生と危機深化
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 これまで新型コロナウイルス患者は1人もいないと主張してきた北朝鮮が、初めて感染者発生を認めた。韓国から軍事境界線を越えて北朝鮮の開城市に戻った元脱北者の感染の疑いが濃厚と判明したというのだ。 7月26日、朝鮮労働党機関紙・労働新聞は一面トップで、前日に党非常拡大政治局会議が開催されたと報じた。そこで金正恩委員長は「わが国に悪...
セクハラ疑惑のソウル市長自殺の背景 西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)
韓国の朴元淳ソウル市長が7月10日、市内の山中で遺体として発見され、自殺と断定された。朴市長は8日までは、不動産価格の暴騰を抑制する問題で、長年の左派運動の同志である与党「共に民主党」の李海瓚代表と会談するなど通常に業務をこなしていた。 ところが、9日に市庁に出勤せず全ての日程をキャンセルしていた。夕方、同居していた娘が(妻とは別居中)、「父が遺言めいたことを残して市庁官舎を出た後、携帯電...
【第701 回・特別版】『反日種族主義』著者らの戦い
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 7月2日、韓国与党「共に民主党」所属で国会の外交統一委員長である宋永吉議員が、元慰安婦や元戦時労働者の遺族らとともに国会内で記者会見を開き、日韓でベストセラーになった『反日種族主義』の編著者李栄薫氏と、講義中に『反日種族主義』を取り上げて大学当局から懲戒処分を受けた柳錫春・延世大教授らを「歴史歪曲があまりにも深刻で到底黙過で...
【第693回・特別版】北朝鮮の第2の首領になった金与正氏
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 北朝鮮は金正恩独裁政権から金正恩・与正兄妹独裁政権へ移行した。金正恩労働党委員長の健康状態がかなり悪いことを意味する。6月8日、本コラムでは、与正氏が4日に談話を出して、脱北者が北朝鮮へ風船ビラを送ったことを口汚く罵り、それを黙認した韓国政府に南北連絡事務所の閉鎖や南北軍事合意破棄もあり得ると脅したことを、権力委譲の兆候と指...
【第687回・特別版】進む金与正氏への権力委譲
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 北朝鮮による拉致被害者横田めぐみさんの父、横田滋さんが天に召された。被害者救出のため、1997年から共に戦ってきた。戦場の私のすぐ横で敵に向かっていた戦友が敵弾に当たって倒れた、という感覚だ。 ●北朝鮮のウソと戦った横田滋さん 滋さんの戦いを一言で表すなら、世論に訴えてウソを打ち破ることだった。平成9年、実名を出...
【韓国情勢】韓国でも暴かれ始めた慰安婦問題の虚構 西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)
元慰安婦の李容洙氏が30年間ともに運動をしてきた元慰安婦支援団体「正義記憶連帯」(正義連、旧称は挺対協=韓国挺身隊問題対策協議会)とそのリーダーの尹美香氏を批判した後、韓国では連日、尹氏らの不正、偽善、運動の政治利用が暴露され、検察が本格的な捜査に入った。 韓国の左派マスコミや与党内でも、検察の捜査で会計上の不正の証拠が出てくれば、尹氏を庇いきれないという雰囲気が広まっている。しかし、5月2...
【第683回・特別版】暴露された慰安婦支援団体の偽善
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 韓国で、元慰安婦の李容洙氏が支援団体の元代表、尹美香氏を寄付金使途不明などで激しく批判したことを契機に、不正会計、寄付金横領疑惑、活動の政治利用などが連日暴露され、ついに検察が本格的捜査に入った。 ●募金流用など疑惑続出 元慰安婦支援団体「正義記憶連帯」(旧称は挺対協=挺身隊問題対策協議会)の会計報告が収入額と支...
手術後も不安抱える金正恩 西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)
北朝鮮の独裁者、金正恩委員長が5月1日、20日ぶりに公の場に姿を現した。正確に言うと北朝鮮公式メディアが2日、前の日に平安南道順川で行われた肥料工場の竣工式に金正恩が出席した際の写真と動画を伝えた。 若干、左足が不便なようだったのと、顔にむくみがあったように見えた。たばこを吸う場面もあり、少なくとも重病人には見えなかった。 ただし、動画では金正恩の右腕に傷跡のような黒い点が見えた。心臓の...
【第677回・特別版】金正恩氏は心臓手術後、療養中か
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 北朝鮮の最高指導者、金正恩労働党委員長の健康状態について、様々な情報が飛び交っている。現段階で一番可能性が高いと思われるのは、最近信頼できる筋から入手した「4月12日に心臓の手術を受け、東部・元山の特閣(専用別荘)で療養している。元気な姿を公開できるほど回復してもいない」である。 ●「重篤」ではない 米情報機関は...
【第674回・特別版】左派独裁の道を選択した韓国民
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 15日の韓国総選挙で、文在寅政権の与党(共に民主党、共に市民党)が圧勝し、300議席のうち180議席、5分の3を占めた。それに左派小政党(正義党6議席、開かれた民主党3議席)を加えると、189議席になる。それに対して保守系の第1野党(未来統合党)は103議席、中道野党(国民の党)は3議席だった。 韓国の国会は1院制で、本...