公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

西岡力の記事一覧

国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    私は10月1日付の本欄で、11月1日から発効する南北軍事合意書の危険性を指摘した。そこで書いたように、一方的な武装解除とも言える合意書に対して、韓国内では退役軍人や保守派から批判の声が高まっている。しかし、驚くべきことに、現役の軍人や国防省幹部の中で辞表を出して抗議する者が1人も出てこない。それどころか、公然と危険性を指摘する者もい...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    9月の平壌での南北首脳会談の際、韓国の国防相と北朝鮮の人民武力相(国防相に相当)の名前で出された軍事合意文書に対し、韓国軍関係者から批判が高まっている。  「歴史的な『板門店宣言』履行のための軍事分野合意書」と銘打たれた同文書では、2018年11月1日より、①地上では、南北の軍事境界線より5キロ以内で砲兵射撃訓練および連隊規模以上...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    韓国大法院(最高裁判所)は8月23日、韓国人の元徴用工らが新日鉄住金に損害賠償を求めた裁判の審理を始めた。同裁判の確定判決が5年以上も下されなかったことが朴槿恵政権時代の「積弊」として捜査対象になっているから、文在寅大統領に任命された金命洙大法院長(最高裁長官)の下、早ければ年内にも新日鉄住金の敗訴が確定するはずだ。それに続いて三菱...

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https://www.sankei.com/column/news/180808/clm1808080004-n1.html...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    米朝首脳会談で拉致問題が取り上げられた後も、北朝鮮公式メディアは「拉致問題は解決済み」という主張を続けている。しかし、注意深くその論旨を読み解くと、この機会に日本と協議して、多額の過去清算資金を得たいという本音が透けてくる。  すでに北朝鮮はそのための準備を始めている。彼らは拉致についてゼロ回答では日本から金を取れないことを理解し...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    ポンペオ米国務長官が平壌からお土産を何も持たず、むしろ「強盗」扱いされて戻ってきた。トランプ大統領は、このままではシンガポールの米朝首脳会談で約束した安全の保証はなくなると北朝鮮を脅さなければならない。北朝鮮の非核化なしに拉致問題を解決できないわが国にとっても、絶望的な状況になりかねない。安倍晋三首相は米韓合同軍事演習を再開せよとト...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    私は6月12日の米朝首脳会談の結果を肯定的に見ている。共同声明でトランプは北朝鮮に「安全の保証」を与え、金正恩は「朝鮮半島の完全な非核化」を約束するという取引が成立したとみるからだ。私なりにこの取引を解説すれば、トランプは金正恩に対する斬首作戦(軍事攻撃)を、金正恩が完全な非核化を実行する間は控えるということだ。  金正恩は昨年1...

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 米朝首脳会談は決裂せず、共同声明を出して終了した。会談への評価は様々だが、拉致問題に関する安倍晋三総理の考えをトランプ大統領が独裁者金正恩に直接伝えてくれたことは、大きな成果だった。  金正恩政権内部からは、「米朝会談は成功した」「次は日朝会談だ」などという話が多数聞こえてくる。北朝鮮はトランプ氏から斬首作戦の停止を取り付け、安倍首相から100億ドル以上のカネを取ろうと考えて、今年の対話攻勢を...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    米朝首脳会談により、北朝鮮による拉致被害者の救出問題は大きな進展を得た。トランプ米大統領は北朝鮮の金正恩労働党委員長に拉致問題を提起したと会見で話した。安倍晋三首相は「この問題についての私の考えは、トランプ大統領から金正恩委員長に明確に伝えてもらった」と語っている。日本政府関係者は「トランプ氏は正恩氏に、日本に経済協力をしてもらいた...

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 トランプ政権は金正恩に対して、すべての大量破壊兵器を短期間で全面廃棄するよう求めている。トランプ大統領はボルトン安全保障担当補佐官らが主唱していた「リビア方式」を否定した。すなわち、カダフィは大量破壊兵器廃棄を実行したが内乱により殺されたが、金正恩が大量破壊兵器廃棄を実行すれば安全と繁栄を保証するとしたのである。しかし、もし廃棄を実行しなければリビアのように金正恩も滅ぼされる、との警告でもある。...

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 6月12日にシンガポールで開くとしている米朝首脳会談をめぐり、両国の激しい駆け引きが続いている。5月24日、トランプ大統領が中止を宣言する書簡を出してからは、主導権は米国が握っている。  あわてた金正恩は翌25日に金桂冠第1外務次官名で談話を出し、会談を止めないでくれとトランプ大統領に泣きついた。26日には金正恩側から呼びかけて2度目の南北首脳会談を急遽持って韓国の文在寅大統領に助けを求めた。...

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 トランプ米大統領が5月24日、金正恩に「現時点では会談を行うのは不適切だ」とする書簡を送り、6月12日に予定されていた米朝首脳会談を拒否することを通告した。一方で、会談の下交渉は続いており、会談の開催についてはなお予断を許さない状況が続いている。  同書簡でトランプ大統領は、会談拒否の理由として、北朝鮮が最近、米国に対して「猛烈な怒りと露骨な敵意を示してきた」と書いた。  これは直接的には、...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    「両首脳は、朝鮮半島にもはや戦争はなく、新たな平和の時代が開かれたことを8000万のわが同胞と全世界に厳粛に宣言した」。4月27日、韓国の文在寅大統領と北朝鮮の独裁者金正恩委員長が発表したいわゆる板門店宣言の冒頭部分だ。私はこの宣言に強烈な違和感を覚えたのだが、その理由の第一がこの部分だった。  韓国を含む国際社会は、北朝鮮の...

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 3月26日午前11時、私の携帯電話が鳴った。「金正恩が訪中したという噂が丹東で広まっている。正恩専用の一号列車が今朝早く、丹東駅で目撃され、北京に向かった」。正恩訪中の第一報だった。何人かの知り合いにすぐ伝えたが、ある関係者から後日、「先生が日本で一番早かった」と誉められた。  金正恩は26日午後、北京で習近平と会談し、その後、習との夕食会に臨んだ。翌27日、正恩一行は午前中、中国科学院と天壇...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    私は昨年9月、北朝鮮が6回目の核実験を成功させた直後から、米国の軍事圧力と国連安保理決議に基づく経済制裁は効果を上げてくるから、「金正恩は自分の命を守るために中身のある交渉に応じるはずだ」(9月4日付「今週の直言」)と書いてきた。ついに、それが実現した。  しかし、私は同時に、北朝鮮は制裁や圧力で苦しくなったら対話に応じるが、...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    「文在寅政権は大局的見地で金英哲訪問を受け入れてほしいと言った。しかし、46人も殺しておいて、その犯行を認めもしない殺人者を文政権が歓迎するなら、韓国のために犠牲になった者の名誉は踏みにじられる」―。2010年に韓国海軍の軍艦「天安」への攻撃で犠牲になった乗員の遺族の言葉だ。  ●一行に軍用道路開放  2月25日午前9時...

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 2月9日、韓国・平昌で行われた五輪開会式の公式レセプションでのあいさつで、文在寅大統領は、自分は韓国の思想家、申栄福を尊敬しているとして、申の言葉を引用した。また、翌10日、北朝鮮の独裁者、金正恩の妹、金与正が文大統領の官邸を訪問したとき、大統領と与正は申栄福が書いた「通」という墨字の前で記念撮影をした. (http://m.unn.net/news/articleView.html?idxn...

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 最近、ある国際政治学者がテレビのワイドショー番組で北朝鮮の潜伏工作員「スリーパーセル」について発言し、批判を受けているという。私は北朝鮮問題専門家として、1980年代から北朝鮮工作員の日本での活動について関心を持ち情報を集めてきた。1991年、私が日本人学者として初めて北朝鮮による日本人拉致について論文を書いたのもその成果の一部だった。  以下、私が知っている潜伏工作員に関する情報を書いておく...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    安倍晋三首相が2月9日の平昌五輪開会式に出席するため訪韓すると発表した。文在寅韓国大統領との首脳会談も同日持たれるという。北朝鮮は、経済制裁と軍事圧力が効いてきたから文政権に接近してきた。これは想定内で、安倍首相は文政権が北の「逃げ道」を提供しないようにすることが大切だ、訪韓前に、まず東京へ来るペンス米副大統領と対北朝鮮圧力強化...

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 米サンフランシスコの慰安婦像は、これまでのチマチョゴリを来た朝鮮人少女像でなく、朝鮮人、中国人、フィリピン人の慰安婦像が3体並び、それを韓国人老婆(最初に名乗り出た元慰安婦がモデル)が横で見つめるという特異なものだった。それを設置したのは韓国系でなく中国系の反日団体だった。また、マニラでフィリピン人の慰安婦像を設置したのもフィリピン人でなく中国系団体だった。中国が慰安婦問題で前面に出てきた表れだ...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    2月9日から韓国の平昌で開催される冬季五輪に北朝鮮が参加することが決まった。韓国の文在寅政権が主催国の特権で北朝鮮へのえこひいきを押し通した結果だ。アイスホッケー、スキー、スケートの3競技10種目に北朝鮮選手22人の参加が認められたが、フィギュアスケートのペア以外は出場資格を獲得していなかった選手ばかりだ。日本を含む競技関係者か...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    12月27日、韓国外相直属の「慰安婦合意検証タスクフォース」が、慰安婦問題に関する日韓合意(平成27年12月28日)の検証結果を記載した報告書を発表した。韓国語の全文を通読したが、一言で言うと、国内の政争を外交に持ち込んだ、日本としてははた迷惑な内容だった。  ●政争の具に外交を使う  報告書は合意に対して4つの否定的評...

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 ロシアや中国、中東などに派遣されている北朝鮮労働者は約10万人といわれるが、給与の9割以上が天引きなどで搾取されている。そこから北朝鮮は年間5億ドル程度の外貨を得ているが、今回の制裁で、2年以内にすべての北朝鮮労働者を帰国させることが決まった。当初の制裁案では「1年以内」だったが、多数の北朝鮮労働者を使っているロシアが最後まで反対して猶予期間が延長された。  ただ、全体としてみれば、今回の制裁...

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 国連安全保障理事会は12月23日、北朝鮮に対する新たな制裁決議(第2397号)を全会一致で採択した。11月29日に発射された大陸間弾道ミサイル「火星15」に対するもので、8月と9月に続く今年3度目の制裁となる。  北朝鮮の貿易額の9割を占める中国が、決議を忠実に履行するなら、来年、金正恩政権は相当な打撃を受けるはずだ。具体的には、2016年度との比較で、北朝鮮は輸出で得られる外貨の9割に当たる...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    私は最近、北朝鮮軍人による中国少数民族ウイグル人の武装勢力への武器密輸未遂事件があったという情報を中国筋から入手した。中朝関係が悪化の一途をたどっているのはこの事件の影響も少なからずあるという。事件の詳細は以下の通りだ。  ●大量の銃砲と弾を押収  9月8日午前1時20分ごろ、中国吉林省長白県で朝鮮人民軍の武器を積んだト...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    「韓国人として恥ずかしい」「外交儀礼も知らないのか」「北朝鮮の核武装を阻止するため韓米日の連携が今くらい必要な時はないのに、逆をしている」。11月中旬に私と会った韓国保守派のリーダーらは、韓国の文在寅政権がトランプ米大統領訪問時に晩餐会で、「独島エビ」をメニューに加え、元慰安婦をトランプ大統領と抱擁させたことを口々に批判した。  ...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    11月6日、来日中のトランプ米大統領が北朝鮮による拉致被害者家族会メンバーと面会した。大統領は、愛する肉親を北朝鮮に奪われて40年も会うことができない拉致の深刻さについて、当事者の説明を真剣に聞いて深く理解し、「安倍晋三首相と協力して被害者が家族の元に帰れるよう努力する」と明言した。  早ければ年末から来年にかけて軍事衝突さえも想...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    朝鮮労働党創建記念日である10月10日に、北朝鮮はミサイル発射や核実験など軍事挑発を行わなかった。しかし、金正恩政権は米本土まで届く核ミサイル保有に向けて邁進する姿勢を変えていないので、米朝の軍事的緊張が一層高まっていくことは間違いない。記念日に先立つ党幹部人事で明らかになったのは、北朝鮮内部で対米強硬路線に対する不安、動揺が出てお...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    9月11日、国連安全保障理事会が北朝鮮に対する新たな制裁決議を採択した。北朝鮮の6回目の核実験からわずか1週間後という異例の早さだ。安保理は8月5日にも制裁決議を採択しているから、1カ月も経たずに再び決議を採択したことになる。  中ロとの協議の結果、米国の原案より制裁内容が緩くなったが、8月の制裁に今回の制裁が加わると、北朝鮮は多...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    9月3日、北朝鮮が6回目の核実験を強行した。私はその前日に北朝鮮内部とつながる情報源とソウルで会って、次のような話を聞いていた。  「金正恩が7月か8月に、人民軍作戦部に『米国に最大限の圧力をかけよ。核実験もせよ。ミサイルももっと発射せよ。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)も撃て。SLBMを搭載できる大型潜水艦(まだ原子力潜水艦の...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    8月25日、私は米カリフォルニア州グレンデール市のバルタン・ガルペティアン市長と面会できた。ロサンゼルスに近いグレンデール市では2013年7月30日に旧日本軍の慰安婦像が市立中央図書館前の市有地の公園に建てられた。ソウルの日本大使館前に不法に建てられたのと同じ像だ。しかもグレンデールの像の横には、ソウルと違い、「性奴隷」「強制連行」...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    韓国の文在寅大統領が8月17日の記者会見でいわゆる徴用工問題について「強制徴用された者個人が、三菱などをはじめとする相手の会社に対して持つ民事上の権利はそのまま残っている」として、従来の韓国政府の日韓請求権協定(1965年)で解決済みという見解を覆した。これに対して日本政府は即時に抗議し、歴史問題で韓国に同情的な朝日新聞を含む日本の...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    私が繰り返し指摘してきたように、文在寅韓国大統領とその支持勢力は戦前日本に協力した親日派が処断されず、反共・親米派に化けて主流勢力となったという「反韓自虐史観」に立ち、主流勢力を全部交代させると公言している。それが彼らの言う「ロウソク革命」だ。映画「軍艦島」も同じ歴史観に立っており、「人民裁判」や「武装蜂起」など暴力による革命を肯定...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    韓国で封切られた映画「軍艦島」をソウル市内で見た。上下2回に分けて報告するが、本稿では、多くの歴史的事実が歪曲されていることを示す。  ●事実の歪曲と捏造  第一に、朝鮮人徴用工の待遇である。映画では、奴隷のように船底や貨物列車で移送され、財産を没収され、乏しい食事とひどい寮をあてがわれ、殴打されながら重労働をさせられる。坑...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    文在寅韓国大統領がワシントンを訪問し、トランプ米大統領と2日間にわたり首脳会談を行った。私は6月中旬、米軍関係者から今回の首脳会談についてこう聞いた。  「トランプ大統領が一番先に尋ねるのは、『北朝鮮の核ミサイル開発をやめさせる船が出航しようとしている。あなたはそれに乗るか』だ。当然、文大統領はイエスと言うだろう。そうしたらトラン...

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 韓国の文在寅政権が発足して40日が経った。予想通り、主体思想派の運動家による革命政権という性格が少しずつ明らかになってきた。  政権がスタートした5月10日、文大統領は首相、国家情報院長、秘書室長の3人の核心幹部を指名した。首相には李洛淵・前全羅南道知事、国情院長には徐薫・前国家情報院第3次長、秘書室長には任鍾晳・元国会議員を選んだ。この3人の言動から文政権の性格を分析しよう。  ●革命...

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 徐薫国家情報院長は国情院に長く勤めてきた対北専門家だ。盧武鉉政権時代、対北秘密交渉を担当し、北朝鮮に多くの人脈を持つ人物として知られている。その徐院長に文在寅大統領は国情院の改革を命じた。文大統領は国情院について2つの公約をしていた。  ●スパイと従北勢力の跋扈を放置  第1は、国内における情報収集を止め、海外でのみ情報収集を行う。2番目は北朝鮮スパイや従北活動家に対する捜査を警察に移す...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    5月9日、韓国で大統領選挙が行われ、左派「共に民主党」の文在寅候補が41.1%の得票率で圧勝した(開票率99%現在、以下同)。2位の保守派「自由韓国党」の洪準杓候補が24%、3位の中道派「国民の党」の安哲秀候補が21.4%だった。  4月初めには安氏が保守票を集めて1位の文氏と並んだが、その後、テレビ討論の失敗などで急速に支持を失...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力    韓国で5月9日に大統領選挙の投票が行われる。朴槿恵大統領の罷免決定を受け、12月に予定されていた選挙が7カ月前倒しされた。  大統領直接選挙制を定めた現憲法が1987年に制定されて以来、韓国の政治は常に北朝鮮からの政治工作という強い磁場の中で、反共保守派の自由民主主義陣営と従北左派陣営の間で激しい戦いが繰り広げられてきた。韓国の政...

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 3月30日、マレーシア政府が金正男暗殺事件の政治決着を行った。金正男の遺体と駐マレーシア大使館に逃げ込んでいた容疑者2名を北朝鮮に引き渡し、その代わり北朝鮮に抑留されていたマレーシア大使館員ら9人の身柄を受けとるという内容だった。  マレーシアは自国の空港で化学兵器(VXガス)を使ったテロを行われ、その容疑者を捜査しようとしたところ、事件とまったく関係のない在北朝鮮マレーシア人を不当に抑留され...

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