西岡力の記事一覧
【第457回・特別版】映画「軍艦島」の恐ろしさ(上)
国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力 韓国で封切られた映画「軍艦島」をソウル市内で見た。上下2回に分けて報告するが、本稿では、多くの歴史的事実が歪曲されていることを示す。 ●事実の歪曲と捏造 第一に、朝鮮人徴用工の待遇である。映画では、奴隷のように船底や貨物列車で移送され、財産を没収され、乏しい食事とひどい寮をあてがわれ、殴打されながら重労働をさせられる。坑...
【第450回】米韓友好演出の裏に対北認識の差
国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力 文在寅韓国大統領がワシントンを訪問し、トランプ米大統領と2日間にわたり首脳会談を行った。私は6月中旬、米軍関係者から今回の首脳会談についてこう聞いた。 「トランプ大統領が一番先に尋ねるのは、『北朝鮮の核ミサイル開発をやめさせる船が出航しようとしている。あなたはそれに乗るか』だ。当然、文大統領はイエスと言うだろう。そうしたらトラン...
主体思想派が側近固める文政権の危険性(上) 西岡力(麗澤大学客員教授・モラロジー研究所歴史研究室長)
韓国の文在寅政権が発足して40日が経った。予想通り、主体思想派の運動家による革命政権という性格が少しずつ明らかになってきた。 政権がスタートした5月10日、文大統領は首相、国家情報院長、秘書室長の3人の核心幹部を指名した。首相には李洛淵・前全羅南道知事、国情院長には徐薫・前国家情報院第3次長、秘書室長には任鍾晳・元国会議員を選んだ。この3人の言動から文政権の性格を分析しよう。 ●革命...
主体思想派が側近固める文政権の危険性(下) 西岡力(麗澤大学客員教授・モラロジー研究所歴史研究室長)
徐薫国家情報院長は国情院に長く勤めてきた対北専門家だ。盧武鉉政権時代、対北秘密交渉を担当し、北朝鮮に多くの人脈を持つ人物として知られている。その徐院長に文在寅大統領は国情院の改革を命じた。文大統領は国情院について2つの公約をしていた。 ●スパイと従北勢力の跋扈を放置 第1は、国内における情報収集を止め、海外でのみ情報収集を行う。2番目は北朝鮮スパイや従北活動家に対する捜査を警察に移す...
【第438回・特別版】保守中道連合失敗で韓国が最悪の選択
国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力 5月9日、韓国で大統領選挙が行われ、左派「共に民主党」の文在寅候補が41.1%の得票率で圧勝した(開票率99%現在、以下同)。2位の保守派「自由韓国党」の洪準杓候補が24%、3位の中道派「国民の党」の安哲秀候補が21.4%だった。 4月初めには安氏が保守票を集めて1位の文氏と並んだが、その後、テレビ討論の失敗などで急速に支持を失...
【第435回】韓国大統領選は「最悪」と「次悪」の選択か?
国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力 韓国で5月9日に大統領選挙の投票が行われる。朴槿恵大統領の罷免決定を受け、12月に予定されていた選挙が7カ月前倒しされた。 大統領直接選挙制を定めた現憲法が1987年に制定されて以来、韓国の政治は常に北朝鮮からの政治工作という強い磁場の中で、反共保守派の自由民主主義陣営と従北左派陣営の間で激しい戦いが繰り広げられてきた。韓国の政...
マレーシアはテロ支援国に成り下がったか 西岡力(麗澤大学客員教授・モラロジー研究所歴史研究室長)
3月30日、マレーシア政府が金正男暗殺事件の政治決着を行った。金正男の遺体と駐マレーシア大使館に逃げ込んでいた容疑者2名を北朝鮮に引き渡し、その代わり北朝鮮に抑留されていたマレーシア大使館員ら9人の身柄を受けとるという内容だった。 マレーシアは自国の空港で化学兵器(VXガス)を使ったテロを行われ、その容疑者を捜査しようとしたところ、事件とまったく関係のない在北朝鮮マレーシア人を不当に抑留され...
駐韓大使帰任、「条件付き」で支持する 西岡力(麗澤大学客員教授・モラロジー研究所歴史研究室長)
長嶺安政・駐韓大使と森本康敬・釜山総領事が4日夜、韓国に帰任した。ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像が撤去されない中、昨年末には釜山の総領事館前に慰安婦像が設置された。このことに抗議して1月9日に両氏を一時帰国させて以来、約80日ぶりのことだ。私はこの帰任措置を条件付きで支持する。その理由を書く前に国内の反応を概観しよう。 ●朝日は一時帰国そのものを批判 慰安婦像撤去という結果...
【第430回・特別版】拉致被害者救出運動20年に想う
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 家族会と救う会が北朝鮮による拉致被害者の救出運動を始めて20年が経った。政府認定被害者が最初に拉致されてからでは40年が経っている。しかし、認定被害者17人のうちたった5人しか助けられていないし、認定された人以外にも確実に被害者は存在する。被害者が全部で何人なのかさえ、いまだに明らかにできていない。なぜ、このように惨めな状況なのか...
【第426回】大統領弾劾成立で孤立する韓国保守派
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 3月10日、韓国の憲法裁判所は朴槿恵大統領の弾劾を決めた。8人の判事全員一致の決定だった。ずさんな事実認定と法解釈に言葉も出なかった。 そもそも、大統領直選制をとる韓国憲法では、国会は大統領の政治責任を問うことができない。ただ、大統領が重大な憲法違反や法令違反を犯した場合に限り、国会は総議席の3分の2の賛成をもって「弾劾訴追」...
【第424回・特別版】韓国で左派を圧倒した保守派の集会
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 3月1日午後、ソウルの中心街は韓国の国旗を掲げる太極旗集会の人波であふれた。今年に入り保守派の集会が左派集会を超える参加者を集めるようになってから、警察は左派の圧力を受け人数の公表を中止しているので正確な数は不明だ。しかし、左派が最高に参加者を集めた昨年12月の集会が警察発表で27万人であり、1日はその時よりも広い面積にほとん...
論争で明らかになった2人の意見違い 西岡力(東京基督教大学教授)
富坂氏との論争で氏と私の間にかなり考え方の違いがあることが分かりました。そのことがわかったことで、色々な論点が見えてきました。その意味で富坂氏に感謝します。その上で富坂氏に短くお答えします。 富坂氏は2月13日付「ろんだん」欄で次のようにご批判くださいました。 〈「日韓合意で韓国の約束違反を問題にしない富坂氏が」との記述ですが、私は「問題にしない」と発言・記述したことはありません。品位のな...
富坂氏の反論に再度反論する 西岡力(東京基督教大学教授)
本研究所企画委員を私とともに務めている富坂聰(拓殖大学教授)氏が、2月1日付本欄に「慰安婦像撤去を最終目的にするな‐西岡氏への反論」を寄稿し、私の批判(1月24日付「大使召還は効果あり。富坂氏への反論に代えて」)に回答くださった。言論による論争は問題の本質に迫る重要な手段だと常に考えている私としてはとてもうれしいことだった。そこで回答に対して再反論して論争を続けたい。 富坂氏の挙げた論点にそ...
敢えて朴裕河氏の『帝国の慰安婦』を批判する 西岡力(東京基督教大学教授)
朴裕河氏の著書『帝国の慰安婦』を批判したい。私はすでに昨年、月刊誌『歴史通』2016年9月号に拙文「韓国で名誉毀損 朴裕河『帝国の慰安婦』をあえて批判する」を寄せて本格的に批判を行った。今回、朴氏が刑事裁判で無罪判決を得たので、日本では彼女の評価が高まった。しかし、著書が名所毀損に当たるかどうかという問題と、その主張が正しいかという問題はまったく別だ。 彼女は同書の記述によって、韓国の元慰安...
大使召還は効果あり。富坂氏への反論に代えて 西岡力(東京基督教大学教授)
私は昨年10月、本研究所理事で明星大学特別教授の髙橋史朗氏らと「歴史認識問題研究会」を発足させた。「歴史認識問題」とは、単純に他国とわが国の歴史認識が異なっていることではない。そのようなことは多くの近隣国同士で起きる通常の現象だ。むしろ、国や民族が異なるからこそ歴史認識が異なるのだ。同じになることはあり得ない。したがって、歴史認識が異なることそれ自体は「解決すべき課題」ではない。 それでは、...
真の日韓友好は健全な相互批判にしかない 西岡力(東京基督教大学教授)
北朝鮮の労働党機関紙「労働新聞」と、韓国の左派系「ハンギョレ新聞」、保守系「朝鮮日報」「東亜日報」「中央日報」が、朴槿恵大統領たたきで全く同じ報道をしている。だから11月23日の労働新聞社説は韓国の新聞・テレビを激賛した。 ●「朴たたき」と「日本たたき」 韓国保守を代表する知識人、趙甲済氏は次のように語っている。 「保守新聞を含むマスコミがあまりにも多くの誤報をしたため、お互いか...
朴槿恵大統領の弾劾訴追は人民裁判だ 西岡力(東京基督教大学教授)
韓国国会で朴槿恵大統領の弾劾訴追がなされた。しかし、これは弾劾という名の人民裁判だった。韓国国会は大統領を弾劾する権限を持っていない。すなわち、韓国憲法では「職務執行に際して、憲法又は法律に違背したとき」に弾劾訴追を議決でき、訴追を受けて憲法裁判所が弾劾にあたるとされている。したがって、第1に、憲法や法律に違背したと判断されるときだけに弾劾訴追ができるのであって、政治責任を問うことはできないのだ...
【第411回・特別版】元朝鮮大学校教授が追加制裁対象に
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 12月2日、わが国政府は9月に核実験を強行した北朝鮮に対する追加独自制裁措置を決め、在日の核ミサイル技術者と在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)幹部の再入国禁止対象を拡大した。新たな対象者の人数と名前は公表されなかったが、私の調べでは、核ミサイル技術者が1人、総連幹部が6人追加された。その核ミサイル技術者は朝鮮大学校の李時求元教授...
【第407回・特別版】過激左派が主導した韓国の反大統領集会
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 11月12日、ソウル中心部の車道は朴槿恵韓国大統領に抗議するために集まった人々で埋まっていた。警察発表で26万人。集会の主催者は、全国民主労働組合総連盟(民主労総)など多数労組と挺身隊問題対策協議会(挺対協)など運動組織その他の連合体だ。 ●並外れた資金力 まず驚いたのは彼らの資金力だ。車道のあちこちに大型スクリー...
最大の危機迎えた韓国の自由民主主義体制 西岡力(東京基督教大学教授)
「あんなくだらない人間らのために保守運動をしてきたのではない」。10月初め、ソウルで会った韓国の保守言論人が、崔順実氏らについて、はき捨てるように語った。 崔順実氏は、朴槿恵大統領の親友で、国政介入などの疑惑にからみ逮捕された人物だ。その時点ではまだ、崔氏の廃棄パソコンは言論の手に渡っておらず、機密文書持ち出しの疑いは表面化していなかった。 疑惑とは、今年初め、突然のようにスポーツと文化...
【第401回】 韓国学者が「慰安婦=性奴隷」説を否定
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 韓国ソウル大学の教授が「慰安婦は公娼であり、性奴隷説は間違い。韓国人慰安婦20万人説も根拠がなく、せいぜい5000人程度」という正論をインターネットの講義で展開した。この講義へのアクセスは多く、関心を集めているが、マスコミで袋だたきに遭うような状況は起きていない。 昨年末の日韓慰安婦合意後、韓国社会の対日認識が変わってきている...
憲法に自衛隊の存在明記を、国民運動にいまこそ 西岡力(東京基督教大学教授)
私は初めての憲法改正にあたり、憲法9条の一項と二項を分離し、二項のみを改正して自衛隊の存在を憲法に明記すべきという提案をしている。 すでに産経新聞の正論欄コラム(8月16日付)に「自衛隊を憲法に明記する発議を」と題する拙文を寄稿し、「憲法の平和主義と軍の保持が『並存』するのは世界の常識だ」と述べた。そこでは、憲法9条一項の平和主義規定は、実は日本国憲法の特徴ではなく、国連憲章と世界の多くの国...
中朝関係悪化で「拉致」先行解決の期待も 西岡力(東京基督教大学教授)
9月9日、北朝鮮が5回目の核実験を行った。金正恩政権になって3回目であり、今年だけでも1月に続き2回目だ。 筆者は、金正恩が5月の労働党大会に合わせて核実験を行う準備をしたが、中国共産党の強い反対を受け、延期したという以下のような情報を入手している。 「米国を協議に引き出すため、(北朝鮮は)もう1回、核実験をやろうとしたが、中国が核実験をこれ以上1回でもすれば、北朝鮮を米国が攻撃しても、...
HP改善の次は国連への慰安婦再調査要求だ 西岡力(東京基督教大学教授)
私たちはこの間「安倍政権下でも外務省は歴史問題での国際広報に真剣に取り組んでいない。その一番の証拠は、外務省のホームページ(HP)の歴史コーナーで、慰安婦問題で世界に広がる誹謗中傷、性奴隷20万人強制連行説への反論が掲載されていないことだ」と主張してきた。外務省関係者にはもちろん、政権中枢にも様々な機会に繰り返しそのことを伝えてきた。 そして、ついに外務省が重い腰を上げた。HPの「歴史関連」...
【第390回】 元慰安婦の8割が日韓合意を支持
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 昨年末の日韓合意に基づき、韓国政府は7月28日、元慰安婦を支援する「和解・癒やし財団」を発足させた。発足式では合意反対派の運動家が抗議行動に出て、理事長に就任した金兌玄・誠信女子大名誉教授に唐辛子成分を浴びせる騒動を起こした。 挺身隊問題対策協議会(挺対協)をはじめとする合意反対派は「当事者の意思を排除した財団発足に反対」との...
金正恩政権倒しにもつながるサード配備 西岡力(東京基督教大学教授)
米韓両国が在韓米軍防衛のため、韓国に最新鋭の迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD=サード)」を導入することを決めた。それに対して、北朝鮮と中国が激しく反発する一方、北朝鮮に従属する韓国内の従北派が配備予定地などで激しい反対運動を展開している。 人民日報系の環球時報は7月9日付社説で、「サードへの5つの対抗策」を提起した。すなわち、①配備に関与した韓国政府や企業との取引禁止②韓国政治家...
【第373回・特別版】新味に欠けた北朝鮮党大会
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 北朝鮮の労働党大会が6日から9日まで36年ぶりに開催された。「70日間闘争」と称して党大会の準備に国民を強制動員し、海外の外交官や貿易関係者、派遣労働者らに多額の外貨上納を求めるなど、国民生活に多大な負担をもたらしたが、新方針は何も打ち出されなかった。 ●5大国並みの扱いを要求 特筆されるべきは、中国共産党が代表を送...
【第369回・特別版】北朝鮮とISがテロで連携?
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 北朝鮮の金正恩政権がイスラム過激組織「イスラム国」(IS)に韓国内でテロを起こすことを依頼した、という驚くべき情報を私は最近入手した。2年前から北朝鮮の特殊部隊がシリア政府の軍事演習の教官になっている。今回のテロ連携依頼は従来の北朝鮮とシリア政府との関係を裏切るものだという。※ 3月の米韓合同軍事演習を自身に対する「斬首作戦」...
【第366回】 国立大学研究者が北朝鮮核開発に協力
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 日本政府は2月10日、北朝鮮への独自制裁発動を発表した。制裁内容は人的往来規制(7項目)、送金の原則禁止、北朝鮮籍船舶と北朝鮮に寄港した第3国籍船舶の入港禁止、資産凍結対象者拡大の10項目だ。このうち、人的往来規制では、朝鮮総連幹部らが北朝鮮に渡航する場合、再入国を不許可にする範囲を拡大した。注目されたのが「在日外国人の核・ミサイ...
【第355回】 北朝鮮の核ミサイル戦略を見誤るな
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 2月7日、北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を行った。1月6日の核実験に対する我が国の独自制裁や国連安保理の制裁が発動する前に、これ見よがしに行った金正恩政権の挑発だ。発射中止を求めていた中国政府の面子は丸つぶれだ。 我が国の多くの専門家は、核実験とミサイル実験の動機について、米国と直接交渉し、金正恩独裁体制を守るため、などと解説し...
【第347回】 北朝鮮の核に対し自前の抑止力を検討せよ
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 北朝鮮が4回目の核実験を行った。日本の安全保障にとって重大な危機だ。核兵器に対する最大の抑止力は核兵器だ。日本は世界最大の核保有国である米国と軍事同盟を結び、いわゆる「核の傘」に入って抑止力を保持している。今回の核実験直後の日米電話首脳会談で、オバマ大統領から「あらゆる手段で日本を守る」という確認があったという。 しかし、...
【第345回・特別版】 日本国の名誉回復抜きの合意は評価できない
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 慰安婦問題について日韓両政府が「最終的かつ不可逆的な解決」で合意した。慰安婦問題が外交問題化した契機は、日本マスコミの誤報と日本政府の安易な謝罪だった。問題の真の解決には、両国が慰安婦は戦時下の貧困が生んだ悲劇だったという「不都合な真実」に向き合うことが不可欠だが、今回の合意にはそれがない。関係改善のための外交的譲歩であって、後世に禍根を残す恐れ...
【第338回】許し難い中国反日記念館の冒瀆行為
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 11月中旬、所用で北京を訪問した機会に、中国人民抗日戦争記念館を見学した。そこで耐え難い不快感と中国共産党政府に対する怒りを覚えた。 抗日戦争記念館の展示は今年7月、「戦争勝利70年」を記念して全面改装された。私が不快感と怒りを覚えたのは、展示の終わり近くにあったガラス張りの床だった。ガラスの下に日本軍将兵から奪った銃、日...
【第315回】朝鮮人戦時動員の実態を広報せよ
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に登録された。その際、日本大使は、登録された産業施設で戦時中に働いていた朝鮮人労働者について「forced to work under harsh conditions」(厳しい環境の下で労働を強いられた)と演説した。韓国はこの間、これら労働者が「強制労働」をさせられたと国際社会に宣伝してき...
【第303回・特別版】武藤前大使の近著を批判する
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 武藤正敏前駐韓大使が「日韓対立の真相」という著書を出版した。前大使としては異例なほど率直に韓国の対日姿勢を批判し、注目を集めている。前大使が勇気を持って同書を出したことには敬意を表するが、だからこそ、その議論の欠陥を二つ指摘して、建設的な論争を呼びかけたい。 ●韓国「告げ口外交」の背景見落とし 同書で武藤氏は、韓国政府...
【第299回】米学者らの慰安婦声明は誤解是正の一里塚
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 5月5日、米国の学者187人が慰安婦問題をめぐる日本政府の姿勢を批判する新たな声明を出した。その声明を一読し、私はやっと米国の学界でも日本国内での激しい論争の結果が理解されたのかと思った。 ●「強制連行」説の誤りを認めた これまで米国では、日本軍が数十万人の朝鮮人女性を強制連行して慰安婦にしたという、日本の学界と言論...
【第268回】日本の対韓外交に真の危機
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 日本の対韓外交が重大な危機を迎えている。といっても、韓国の反日外交のため日韓首脳会談ができないなどの現状を指しているのではない。日本の対韓外交は1965年の国交正常化以来、釜山に赤旗を立てさせない、すなわち北朝鮮主導の統一により半島全体が赤化することを防ぐという戦略目標の下に展開されてきた。ところが、東アジアの冷戦を最前線で戦って...
【第267回】安倍首相は対北外交で米国の轍を踏むな
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 安倍晋三政権が北朝鮮への対応で大きな間違いを犯すのではないかと心配している。北朝鮮との協議が始まると、ようやく開いた窓を閉じさせてはならないとの理屈で、こちらが先に譲歩しなければならないという議論が必ず出てくる。 2002年の小泉純一郎首相の初訪朝直後、当時の田中均外務省アジア大洋州局長らは「日本に戻った拉致被害者を北朝鮮に返...
【第258回】和食とマンガでは反日宣伝に対抗できない
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 20年以上、外務省の謝罪外交を批判している筆者はたいていのことには驚かなくなっている。しかし、中韓両国の反日キャンペーンに対抗し、日本の存在感を高めるために、来年度予算で500億円を使って外務省が行おうとしている事業を知った時には、怒りと驚きが止まらなくなった。なんと、世界の主要都市に「ジャパン・ハウス」と称する拠点を建設し、和...
【第252回】河野談話検証の茶番劇
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 戦時中の慰安婦募集の強制性を認めた1993(平成5)年の河野洋平官房長官談話の作成経過などに関する有識者チームによる日本政府の検証報告が20日公表された。それを読んで、腹が立って仕方がない。談話の文言に干渉したとされた韓国に対してではない。慰安婦問題によって日本国と日本の先人の名誉が著しく傷つけられた原因の一翼を河野談話が担っ...