3月1日午後、ソウルの中心街は韓国の国旗を掲げる太極旗集会の人波であふれた。今年に入り保守派の集会が左派集会を超える参加者を集めるようになってから、警察は左派の圧力を受け人数の公表を中止しているので正確な数は不明だ。しかし、左派が最高に参加者を集めた昨年12月の集会が警察発表で27万人であり、1日はその時よりも広い面積にほとんどが立ったまま参加していたから、少なくとも30万人を超え、40万人近い参加者がいたことは間違いない。
左派のロウソク集会は太極旗集会の人波に浮かぶ小さな島のような場所で、数万人が参加して警察のバスに守られながら惨めに行われた。集会参加者数で保守派が左派に完全に勝利した記念すべき日となった。
●参加者は危機感を共有
12月の左派集会は、過激労組の全国民主労働組合総連盟(民労総)などの組織的動員に加えて、全ての新聞とテレビが朴槿恵大統領批判の扇動報道を行う中で、一般国民も多く参加した結果だった。それに対して今回は、全マスコミが太極旗集会について憲法裁判所の大統領弾劾判決を暴力で覆そうとする反民主主義的集会だと批判を加える中で、そうした報道に怒りを覚える国民が自発的に集まった。
年齢層がかなり広がり、女性の参加も目立ち、家族連れや若者も多かった。参加者は、このままでは韓国の国体である反共自由民主主義体制が倒されてしまうという強い危機感を持っていた。
また、ただ感情的に左派を批判するのではなく、きちんとした論理も展開されていた。参加者は、国会が行った大統領弾劾訴追と憲法裁判所の拙速な審理は憲法違反だと理路整然と主張していた。
弾劾訴追は大統領の重大な違憲・違法行為があった場合に限って許されているが、国会は特別検察官が捜査を始める前に、事実関係を調べもせずに弾劾訴追を行ったので、弾劾訴追自体が違憲だと批判された。
憲法裁判所は大統領、国会、大審院(最高裁)が判事を3人ずつ推薦し、9人で判決を下し、大統領弾劾では6人の賛成が必要と規定されている。ところが1月に大統領推薦の判事1人が任期満了で退任した後、8人体制となっている。審理は7人以上の判事で行うという法の規定があるが、これはあくまでも審理に限定して適用され、判決は9人で行わなければ憲法違反だという主張が展開された。
●緊迫感漂う朝鮮半島
憲法裁判所は2人目の判事が任期満了を迎える3月13日までに判決を下す構えだ。どのような判決が下されるか予断を許さない。しかし、弾劾が成立してもしなくても、自発的に集まった覚醒した国民は次の大統領選挙で大きな役割を果たすだろう。親北左派政権が成立して韓国が赤化統一されてしまうという悪夢が現実となる可能性は低くなった。
北朝鮮の金正恩政権も不安定さを増している。今年は朝鮮半島で、現状維持ではない大きな変化があるだろう。最善と最悪の両方の可能性が共存する息をのむ緊迫感が漂っている。(了)