黒澤聖二の記事一覧
【第1187回】海自艦の台湾海峡通過は一歩前進
国基研企画委員兼研究員 黒澤聖二 海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」が9月25日、台湾海峡を通過した。オーストラリア海軍の駆逐艦やニュージーランド海軍の補給艦と連携した行動であった。8月31日には中国軍の測量艦が鹿児島県トカラ海峡のわが国領海を通過し、一部メディアはこのことと絡め、前例のない対抗措置に踏み切ったと報じている。他方、中国国防省報道官は「中国の主権と安全を損なう挑発...
【第1178回】中国軍測量艦が測量実施なら国際法違反
国基研理事・元統合幕僚監部首席法務官 黒澤聖二 中国軍のシュパン級測量艦が8月31日、鹿児島県口永良部島沖のトカラ(吐噶喇)海峡で我が国領海内に侵入した。日本政府の抗議に対し中国外務省は9月2日、国際海峡の「通過通航権」の行使であり、正当な通航と主張した。 果たしてトカラ海峡は国際海峡なのか。何故中国艦は大隅海峡(鹿児島県大隅半島沖)や宮古海峡(沖縄県の宮古島と沖縄本島...
現代戦を国際法の視点で議論することの意義 黒澤聖二(元統合幕僚監部首席法務官)
「作戦と法は軍事行動の両輪である」と、ハリー・ハリス元米太平洋軍司令官が法の意義を基調講演で強調した。これは、国際法を議論する国際会議(米海軍大学主催、第6回アレクサンダー・クッシング国際法会議)が5月14日から17日まで、米東部ロードアイランド州ニューポートにある米海軍大学(以後「海大」という)で行われた際の発言である。確かに昨今の軍事行動には法意識が欠如するものが散見され、国際社会は「法の遵守...
中国軍事研究の第一人者・平松茂雄先生を追悼する 黒澤聖二(国基研事務局長)
7月5日、現代中国研究の泰斗、平松茂雄先生が逝去された(享年87歳)。一つの時代が過ぎたという寂寥せきりょうの感を禁じ得ない。 平松先生は静岡県浜松市で昭和11年に生まれ、慶應義塾大学大学院政治学専攻博士課程を修了(法学博士)。防衛庁防衛研究所研究室長を経て、杏林大学教授として多くの学生を指導された。筆者も先生の教えを受けた1人で、海上自衛官として市ヶ谷で勤務していた時、大学院研修の誘いがか...
豪哨戒機へのチャフ発射は一線を越えている 黒澤聖二(国基研事務局長)
オーストラリアのマールズ国防相は6月5日、南シナ海の上空で5月26日、中国軍機が豪哨戒機に接近し、レーダー攪乱用のアルミ箔を含む「チャフ」を放出する危険な行動に出たとする非難声明を発表した。2月にも豪州北方のアラフラ海で中国海軍艦艇が豪哨戒機にレーザー照射をする無謀な行為があったばかりだ。また、4月から5月にかけ東シナ海上空でも中国軍機がカナダの哨戒機に繰り返し異常接近したとも報告されている。中国...
在外邦人保護の法整備はどうなった 黒澤聖二(国基研事務局長)
先の衆議院選挙(10月31日投開票)では、選挙期間中、コロナ対策や経済政策などで活発な議論が交わされたが、一つ大事な問題が置き去りにされたように感じた。在外邦人保護の法整備の問題である。 与党、野党に限らず、日本国民が外国で危険な状況になったら、政治は全力で救助すると答えるはずだ。しかし、選挙戦で在外邦人保護の法整備を最優先と訴えた候補者は、残念ながら見当たらなかった。アフガニスタンの首都カ...
仲裁裁判所裁定を無視し続けた5年 黒澤聖二(国基研事務局長)
5年前の7月12日、フィリピンと中国の間で争われた南シナ海の仲裁裁判で、中国惨敗という裁定が下され、当時は事態改善の期待が高まった。しかし、現実は期待通りには進んでいないようだ。 7月11日、ブリンケン米国務長官は改めて中国への非難声明を発出した。その内容は、「南シナ海ほど法に基づく海洋秩序が脅威にさらされている場所はない」との危機感を確認し、「5年前、国連海洋法条約の下で構成された仲裁裁...
中国海警法に見る国際法上の齟齬 黒澤聖二(国基研事務局長)
3月29日に開かれた防衛省とのオンライン会議で中国国防部は日本側に「一連の中国に関するマイナスの振る舞いに強烈な不満と深刻な懸念」を伝えるとともに、2月1日に施行した中国海警法について「中国の正常な立法活動で、国際法と国際慣例に完全に合致している」とする中国外務省報道官の説明を繰り返したという(4月1日付産経新聞)。 海警法の問題点については、すでに多くの指摘があるが、なかでも外国公船に対...
東地中海の境界紛争は対岸の火事ではない 黒澤聖二(国基研事務局長)
地中海東部の沿岸諸国間では海洋資源の獲得競争が激化している。その一部については、11月18日付本欄の拙稿『海図上でも争うイスラエルとレバノン』で指摘したが、問題はそれだけではない。 東地中海では、イスラエルとレバノンの他、エジプトとリビア、イスラエルと他のアラブ諸国など多くの対立があり、それぞれ問題が複雑に絡み合い、まさに「解けないパズル」の様相を呈している。 本稿では、地域大国トル...
海図上でも争うイスラエルとレバノン 黒澤聖二(国基研事務局長)
UNIFIL(国連レバノン暫定軍)を挟んで睨みあう中東のイスラエルとレバノンが11月11日、海洋境界画定のための協議を実施した。この協議は10月14日を皮切りに、10月28~29日の第2ラウンドに引き続き行われたものだが、敵対関係にある両国が東地中海沿岸で隣接する海洋境界について協議すること自体、極めて異例だ。米トランプ政権が仲介した両国の政治的協議は約30年振りで、一見すると米国の外交成果とし...
目を離せぬ沖ノ鳥島沖の中国調査船 黒澤聖二(国基研事務局長)
従前から指摘してきたことではあるが、わが国最南端の沖ノ鳥島周辺で、中国が虎視眈々海洋権益を狙っている。7月には中国の海洋調査船「太陽号」が、沖ノ鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)内で無許可の海洋調査を実施した(産経新聞8月6日付など)。 海洋調査船は、遠隔操作型無人潜水機(ROV)を海中に投下し、海底にある資源サンプルを採取した可能性も指摘されている。沖ノ鳥島周辺海域の海底には、レアメタル...
尖閣沖の中国公船と対峙するには 黒澤聖二(国基研事務局長)
沖縄県の尖閣諸島周辺で中国海警局の公船4隻が、4月14日から8月2日まで111日間連続で、接続水域内の航行を続けた。これは日本政府が尖閣諸島を国有化して以降最も長い期間だが、その後も数日の間を置きながら航行は続いている。 問題は、わが国の漁船を追尾し、領海内に侵入するなど、明らかに国連海洋法条約ですべての外国船舶に認められる無害通航の範囲を逸脱していることだ。このような行為を繰り返す中国海...
中国公船の尖閣沖遊弋を放置する恐ろしさ 黒澤聖二(国基研事務局長)
あえて取り上げるのも馬鹿々々しい話の一つが、「尖閣諸島は中国のもの」という荒唐無稽な主張だろう。最近、中国は特に武装公船を尖閣周辺に常駐させ、我が国漁船が操業すればちょっかいを出し、周辺の海底地形に勝手な中国名を付けるなど、言葉だけではなく、様々な形で行動をエスカレートさせている。気付いた時には中国の軍人が住み着いていたなんてことは、南シナ海で現実に起こっている。 他方、わが国で尖閣諸島に...
米比協定はバランス外交の道具か 黒澤聖二(国基研事務局長)
フィリピンのロクシン外相は6月2日、米国との訪問軍地位協定(VFA:Visiting Forces Agreement)の破棄を一旦保留すると明らかにした。米国にはすでに2月11日、破棄を通告しており、それから180日後の8月に失効する予定だったが、当面回避されたことになる。ただし、保留の期間は6か月とされ、12月以降に再び破棄される可能性は否定できない。 1988年に締結されたVFAは、1...
米国の領空開放条約離脱の意味 黒澤聖二(国基研事務局長)
5月21日、領空開放(オープンスカイ)条約(Treaty on Open Skies)からの離脱を米政権が発表した。この条約は、加盟国の軍事施設を上空から相互に監視するもので、非加盟国のわが国には馴染みが薄い。しかし、極東ロシアを査察する米機が横田基地を経由してわが国領域を通過しており、全く無縁とは言えない。そもそも同条約はいかなるもので、米国の離脱にどのような意味があるのか、この機会に整理して...
行政区新設で加速する南シナ海の中国支配 黒澤聖二(国基研事務局長)
中国国務院が南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島とパラセル(同・西沙)諸島を管轄する新たな行政区として、南沙区と西沙区を設置すると発表した(新華社北京4月19日)。 中国の行政区分には大きく省、自治区、直轄市などがあり、今回はその一つである海南省の下で、南シナ海の島嶼群を管轄する海南島の三沙市(8年前に新設)に、新たな行政区が設けられたことになる。 ●神経尖らせる近隣諸国 ...
「人道的介入」と「保護する責任」の違いは何か 黒澤聖二(国基研事務局長)
中国によるウイグル人弾圧に関する400ページに及ぶ内部文書が11月17日付け米紙ニューヨークタイムズによって暴露された。これを受けて、12月2日付と同12日付の「直言」で国基研企画委員兼研究員・福井県立大学教授の島田洋一氏と参院議員の山谷えり子氏が、相次いで「保護する責任」と「人道的介入」の必要性について取り上げている。 島田氏は「近年、国際法の分野では、国家が領域内の住民の『保護する責任』...
決断も対応も遅すぎるホルムズ派遣 黒澤聖二(国基研事務局長)
報道によれば安倍晋三首相は10月18日、国家安全保障会議(NSC)の4大臣会合で、中東への自衛隊派遣の検討を指示したという。 菅義偉官房長官は会見で「派遣の目的は情報収集の体制の強化とし、派遣根拠は調査研究」、そして「オマーン湾、アラビア海北部の公海、バベルマンデブ海峡の東側の公海を中心に検討する」と活動範囲を述べ、ホルムズ海峡には触れなかった。背景には友好関係にあるイランへの配慮だけでなく...
短距離ミサイルと甘く見てはならぬ 黒澤聖二(国基研事務局長)
北朝鮮は今月25日早朝、虎島(ホド)半島付近から日本海に向けてミサイル2発を発射した。朝鮮中央通信によると、金正恩委員長が「新型戦術誘導兵器」の発射を視察し、軍事演習を強行しようとする韓国軍に厳重な警告を発したという。同時に金委員長は視察で「防御が容易でない誘導弾の低高度・滑空跳躍型の飛行軌道の特性と威力を直接確認」(7月27日付産経新聞)したとされる。 岩屋毅防衛大臣は、29日の閣議後の記...
【第587回】F35A墜落の原因究明と対策を急げ
国基研事務局長 黒澤聖二 今月9日午後7時ころ、航空自衛隊三沢基地所属の最新鋭のF35Aステルス戦闘機1機が訓練中に青森沖の太平洋上で墜落した。機体の構造上の問題か、操縦士が平衡感覚を失うなど人為的問題なのか、現時点で原因は不明である。 F35Aは第5世代に分類される最新型で、老朽化したF4の後継として昨年1月から空自への配備が始まった。将来的に我が国は計105機、短距...
韓国は一刻も早く「現実」に立ち返れ 黒澤聖二(国基研事務局長)
先月20日午後3時頃、韓国海軍「クァンゲト・デワン」級駆逐艦が、能登半島沖のわが国の排他的経済水域(EEZ)内を監視飛行中の海上自衛隊のP-1哨戒機に対し、射撃管制レーダーを照射し威嚇した。 この問題に続き、今月24日、韓国国防省は東シナ海で監視活動中のP-3C哨戒機を撮影した画像を示し、「威嚇飛行」だと宣伝した。これには筆者も、かつて海自の対潜哨戒機に搭乗していた経験から、まさに「開いた口...
ロシアのウクライナ艦船拿捕は国際法違反 黒澤聖二(国基研事務局長)
クリミア半島の付け根にあたるケルチ海峡で11月25日、ロシアの警備艇がウクライナ艦船を攻撃し拿捕した。報道によると、3隻のウクライナ艦船が黒海からアゾフ海に向けケルチ海峡を通過しようとした際、ロシアの警備艇から体当たりで通峡を妨害され、破損した。ウクライナ艦船は後退するところを砲撃されて数名が負傷、艦船は拿捕され、乗員も連行されたという。 事件は現在なお進行中で、双方の主張は真っ向から対立し...
「休戦協定から平和条約へ」で覚悟すべきこと 黒澤聖二(国基研事務局長)
6月12日、シンガポールで史上初の米朝首脳会談が行われ共同声明が発表された。米国の焦点は、北朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆な非核化」(CVID)だったが、声明は「板門店宣言を再確認し」「完全な非核化に取り組む」というだけの具体性に乏しい内容だった。 一方、北朝鮮は体制の保証を求め、結果、「恒久的で安定的な平和体制の構築」との文言を得た。そして「新たな米朝関係の確立」という表現も盛り込まれた...
シリアの化学兵器は「法の支配」への挑戦 黒澤聖二(国基研事務局長)
米英仏3カ国は現地時間13日、シリアのアサド政権が化学兵器を使用したと断定し、ダマスカスなどの関連施設3カ所に対しミサイル攻撃を実施した。端緒は今月7日、反体制派が支配するシリアの東グータ地区ドゥーマに対し、シリア政府軍が化学兵器攻撃をした疑いが持たれたことだ。 米国はシリア政府及びアサド政権を支援するロシアやイランを非難し、軍事オプションも辞さない構えを示し、反体制派にこそ責任があるとする...
【第452回】日本も「航行の自由」に貢献せよ―南シナ海裁定から1年
国基研事務局長 黒澤聖二 南シナ海における中国の人工島建設などに関する仲裁裁判の裁定から7月12日で1年となる。フィリピンが申し立てた裁定の結果は当事国に対し拘束力があり、ほぼ中国の完敗だったが、中国は裁定を「紙くず同然」と切り捨てた。過去1年で何か変わったのか。 ●強硬な中国、揺れるフィリピン 6月29日、米国の戦略国際問題研究所(CSIS)が、衛星画像の解析...
『死活問題』が教える「理想論で軍は戦えぬ」 黒澤聖二(国基研事務局長)
戦時国際法の第一人者で国基研客員研究員でもある色摩力男氏がこのほど、『日本の死活問題~国際法・国連・軍隊の真実~』(グッドブックス)を上梓した。色摩氏は、駐チリ大使などを歴任した元外交官で、退官後は評論家として辛口の言論活動を展開している。わが国の死活問題を法的観点から解説した本書は、平易な言葉ながら国防の本質を突く。 本書はまず、わが国には「国際連合へのおめでたい幻想がいろいろあり」、国連...
ミサイルだけではない北は最大の毒ガス大国 黒澤聖二(国基研事務局長)
マレーシアにおける金正男氏殺害事件にからみ今、にわかに注目を集めている化学兵器VXガスは、化学兵器禁止条約(CWC)で製造、保有、使用が禁止されている。しかし、北朝鮮はCWC非締約国であり、条約に拘束される法的義務はない。このことは何を意味するのか。 まずCWCについて概観しておきたい。CWCの前身は1899年の「毒ガス禁止宣言」であるが、これが毒ガス弾のみを禁止したと解釈され、1915年の...
在外邦人保護に関する島田氏論稿への補論 黒澤聖二(国基研事務局長)
1月12日付の本欄で、島田洋一氏が、在外自国民の保護に関して、国際法上の議論と国内法上の議論が嚙み合っていないと指摘している。この議論は島田氏が例示した2014年の新安保法制の審議以前からあった。国際法の視点を含め若干補っておきたい。 まず前提となる「身体、生命に対する重大かつ急迫な侵害」にさらされた在外邦人の救出に関する1991年の衆議院安保特別委員会での政府答弁を再確認しておきたい。当時...
〝盗人猛々しい〟中国の側の論理 黒澤聖二(国基研事務局長)
米国防総省は16日、周辺国の間で領有権をめぐる係争が続く南シナ海の国際水域で、米海軍の無人潜水機が中国に違法に奪取されたと発表した。発表によると、現場はフィリピンのスービック湾から約50マイルの公海上で、米海軍所属の船艇ボウディッチがオーシャングライダーと呼ばれる無人潜水機を使って塩分濃度、水温、水中音速などの海水データを収集していたという。ボウディッチが回収作業をしていた際、中国の潜水艦救難艦...
【第412回】「駆け付け警護」の本質的議論の欠如を憂う
国基研事務局長 黒澤聖二 南スーダン国連平和維持活動(UNMISS)に参加する陸上自衛隊の部隊が、先月の閣議決定に基づき、駆け付け警護の任務を付与されて12月12日から活動を開始する。 政府は部隊の近くにいるNGO関係者等から救援要請があれば駆け付けて救助するなどという運用方針を示したが、その内容を見てみると、誰もが当然と認める道徳的行為に対し、ようやく国としてのお墨付...
【第388回】必要な南シナ海監視の国際的枠組み
国基研事務局長 黒澤聖二 南シナ海での中国の主権主張を否定した仲裁裁判所の裁定を受けて、ウランバートルで開かれたアジア欧州会議(ASEM)首脳会合は「国際法や国連海洋法条約の諸原則に基づく紛争解決」をうたう議長声明を採択、名指しは避けながらも、裁定の尊重を中国に促した。しかし、いくら正論であっても中国は聞く耳を持たない。一方、裁定を詳細に見れば、海洋国家日本が手放しで喜べな...
【第387回・特別版】公平中立だった南シナ海仲裁裁判
国基研事務局長 黒澤聖二 フィリピンが中国との間で争う南シナ海の紛争に関する仲裁裁判の裁定が出た。7月12日の裁定は、中国が主張する「9段線」内部の歴史的権利を否定するなど、フィリピンの言い分をほぼ全面的に認めた。中国は予想通り裁定を「断固拒否」(外務省)したが、仲裁裁判所は中国に反論の機会を与えた上、ベトナムやマレーシアの主張も考慮するなど、公平中立に徹したと評価できる。...
【第382回】国際法からみた中国軍艦の領海侵入
国基研事務局長 黒澤聖二 6月15日、中国軍艦が鹿児島県口永良部島周辺のわが国領海(トカラ海峡)内を通航した。ここは領海で覆われた海域で、そこを中国海軍のドンディアオ級情報収集艦が南東方向へ抜けたのである。海上自衛隊のP-3C哨戒機が発見、追尾し、警告したにもかかわらず、情報収集艦は約2時間半にわたり領海内を通航した。9日に尖閣諸島の領海外側の接続水域を中国海軍のフリゲート...
【第352回】フィリピン最高裁判決を受け法治国家は連帯せよ
国基研事務局長 黒澤聖二 1月12日、フィリピン最高裁判所は米比防衛協力強化協定(EDCA)が合憲であるとの判断を示した。同協定は2014年に結ばれたものだが、フィリピンの元上院議員らが上院の承認を得ない条約は憲法違反であるとして政府を訴え、発効手続きが停止していた。 ●司法判断が政府を後押し 判決の中で言及されているフィリピン共和国憲法第18条第25項は「議会...