公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

黒澤聖二の記事一覧

 あえて取り上げるのも馬鹿々々しい話の一つが、「尖閣諸島は中国のもの」という荒唐無稽な主張だろう。最近、中国は特に武装公船を尖閣周辺に常駐させ、我が国漁船が操業すればちょっかいを出し、周辺の海底地形に勝手な中国名を付けるなど、言葉だけではなく、様々な形で行動をエスカレートさせている。気付いた時には中国の軍人が住み着いていたなんてことは、南シナ海で現実に起こっている。 他方、わが国で尖閣諸島に...

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 フィリピンのロクシン外相は6月2日、米国との訪問軍地位協定(VFA:Visiting Forces Agreement)の破棄を一旦保留すると明らかにした。米国にはすでに2月11日、破棄を通告しており、それから180日後の8月に失効する予定だったが、当面回避されたことになる。ただし、保留の期間は6か月とされ、12月以降に再び破棄される可能性は否定できない。  1988年に締結されたVFAは、1...

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 5月21日、領空開放(オープンスカイ)条約(Treaty on Open Skies)からの離脱を米政権が発表した。この条約は、加盟国の軍事施設を上空から相互に監視するもので、非加盟国のわが国には馴染みが薄い。しかし、極東ロシアを査察する米機が横田基地を経由してわが国領域を通過しており、全く無縁とは言えない。そもそも同条約はいかなるもので、米国の離脱にどのような意味があるのか、この機会に整理して...

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 中国国務院が南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島とパラセル(同・西沙)諸島を管轄する新たな行政区として、南沙区と西沙区を設置すると発表した(新華社北京4月19日)。  中国の行政区分には大きく省、自治区、直轄市などがあり、今回はその一つである海南省の下で、南シナ海の島嶼群を管轄する海南島の三沙市(8年前に新設)に、新たな行政区が設けられたことになる。  ●神経尖らせる近隣諸国  ...

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 中国によるウイグル人弾圧に関する400ページに及ぶ内部文書が11月17日付け米紙ニューヨークタイムズによって暴露された。これを受けて、12月2日付と同12日付の「直言」で国基研企画委員兼研究員・福井県立大学教授の島田洋一氏と参院議員の山谷えり子氏が、相次いで「保護する責任」と「人道的介入」の必要性について取り上げている。  島田氏は「近年、国際法の分野では、国家が領域内の住民の『保護する責任』...

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 報道によれば安倍晋三首相は10月18日、国家安全保障会議(NSC)の4大臣会合で、中東への自衛隊派遣の検討を指示したという。  菅義偉官房長官は会見で「派遣の目的は情報収集の体制の強化とし、派遣根拠は調査研究」、そして「オマーン湾、アラビア海北部の公海、バベルマンデブ海峡の東側の公海を中心に検討する」と活動範囲を述べ、ホルムズ海峡には触れなかった。背景には友好関係にあるイランへの配慮だけでなく...

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 北朝鮮は今月25日早朝、虎島(ホド)半島付近から日本海に向けてミサイル2発を発射した。朝鮮中央通信によると、金正恩委員長が「新型戦術誘導兵器」の発射を視察し、軍事演習を強行しようとする韓国軍に厳重な警告を発したという。同時に金委員長は視察で「防御が容易でない誘導弾の低高度・滑空跳躍型の飛行軌道の特性と威力を直接確認」(7月27日付産経新聞)したとされる。  岩屋毅防衛大臣は、29日の閣議後の記...

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国基研事務局長 黒澤聖二    今月9日午後7時ころ、航空自衛隊三沢基地所属の最新鋭のF35Aステルス戦闘機1機が訓練中に青森沖の太平洋上で墜落した。機体の構造上の問題か、操縦士が平衡感覚を失うなど人為的問題なのか、現時点で原因は不明である。  F35Aは第5世代に分類される最新型で、老朽化したF4の後継として昨年1月から空自への配備が始まった。将来的に我が国は計105機、短距...

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 先月20日午後3時頃、韓国海軍「クァンゲト・デワン」級駆逐艦が、能登半島沖のわが国の排他的経済水域(EEZ)内を監視飛行中の海上自衛隊のP-1哨戒機に対し、射撃管制レーダーを照射し威嚇した。  この問題に続き、今月24日、韓国国防省は東シナ海で監視活動中のP-3C哨戒機を撮影した画像を示し、「威嚇飛行」だと宣伝した。これには筆者も、かつて海自の対潜哨戒機に搭乗していた経験から、まさに「開いた口...

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 クリミア半島の付け根にあたるケルチ海峡で11月25日、ロシアの警備艇がウクライナ艦船を攻撃し拿捕した。報道によると、3隻のウクライナ艦船が黒海からアゾフ海に向けケルチ海峡を通過しようとした際、ロシアの警備艇から体当たりで通峡を妨害され、破損した。ウクライナ艦船は後退するところを砲撃されて数名が負傷、艦船は拿捕され、乗員も連行されたという。  事件は現在なお進行中で、双方の主張は真っ向から対立し...

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 6月12日、シンガポールで史上初の米朝首脳会談が行われ共同声明が発表された。米国の焦点は、北朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆な非核化」(CVID)だったが、声明は「板門店宣言を再確認し」「完全な非核化に取り組む」というだけの具体性に乏しい内容だった。  一方、北朝鮮は体制の保証を求め、結果、「恒久的で安定的な平和体制の構築」との文言を得た。そして「新たな米朝関係の確立」という表現も盛り込まれた...

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 米英仏3カ国は現地時間13日、シリアのアサド政権が化学兵器を使用したと断定し、ダマスカスなどの関連施設3カ所に対しミサイル攻撃を実施した。端緒は今月7日、反体制派が支配するシリアの東グータ地区ドゥーマに対し、シリア政府軍が化学兵器攻撃をした疑いが持たれたことだ。  米国はシリア政府及びアサド政権を支援するロシアやイランを非難し、軍事オプションも辞さない構えを示し、反体制派にこそ責任があるとする...

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国基研事務局長 黒澤聖二    南シナ海における中国の人工島建設などに関する仲裁裁判の裁定から7月12日で1年となる。フィリピンが申し立てた裁定の結果は当事国に対し拘束力があり、ほぼ中国の完敗だったが、中国は裁定を「紙くず同然」と切り捨てた。過去1年で何か変わったのか。  ●強硬な中国、揺れるフィリピン  6月29日、米国の戦略国際問題研究所(CSIS)が、衛星画像の解析...

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 戦時国際法の第一人者で国基研客員研究員でもある色摩力男氏がこのほど、『日本の死活問題~国際法・国連・軍隊の真実~』(グッドブックス)を上梓した。色摩氏は、駐チリ大使などを歴任した元外交官で、退官後は評論家として辛口の言論活動を展開している。わが国の死活問題を法的観点から解説した本書は、平易な言葉ながら国防の本質を突く。  本書はまず、わが国には「国際連合へのおめでたい幻想がいろいろあり」、国連...

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 マレーシアにおける金正男氏殺害事件にからみ今、にわかに注目を集めている化学兵器VXガスは、化学兵器禁止条約(CWC)で製造、保有、使用が禁止されている。しかし、北朝鮮はCWC非締約国であり、条約に拘束される法的義務はない。このことは何を意味するのか。  まずCWCについて概観しておきたい。CWCの前身は1899年の「毒ガス禁止宣言」であるが、これが毒ガス弾のみを禁止したと解釈され、1915年の...

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 1月12日付の本欄で、島田洋一氏が、在外自国民の保護に関して、国際法上の議論と国内法上の議論が嚙み合っていないと指摘している。この議論は島田氏が例示した2014年の新安保法制の審議以前からあった。国際法の視点を含め若干補っておきたい。  まず前提となる「身体、生命に対する重大かつ急迫な侵害」にさらされた在外邦人の救出に関する1991年の衆議院安保特別委員会での政府答弁を再確認しておきたい。当時...

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 米国防総省は16日、周辺国の間で領有権をめぐる係争が続く南シナ海の国際水域で、米海軍の無人潜水機が中国に違法に奪取されたと発表した。発表によると、現場はフィリピンのスービック湾から約50マイルの公海上で、米海軍所属の船艇ボウディッチがオーシャングライダーと呼ばれる無人潜水機を使って塩分濃度、水温、水中音速などの海水データを収集していたという。ボウディッチが回収作業をしていた際、中国の潜水艦救難艦...

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国基研事務局長 黒澤聖二    南スーダン国連平和維持活動(UNMISS)に参加する陸上自衛隊の部隊が、先月の閣議決定に基づき、駆け付け警護の任務を付与されて12月12日から活動を開始する。  政府は部隊の近くにいるNGO関係者等から救援要請があれば駆け付けて救助するなどという運用方針を示したが、その内容を見てみると、誰もが当然と認める道徳的行為に対し、ようやく国としてのお墨付...

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国基研事務局長 黒澤聖二    南シナ海での中国の主権主張を否定した仲裁裁判所の裁定を受けて、ウランバートルで開かれたアジア欧州会議(ASEM)首脳会合は「国際法や国連海洋法条約の諸原則に基づく紛争解決」をうたう議長声明を採択、名指しは避けながらも、裁定の尊重を中国に促した。しかし、いくら正論であっても中国は聞く耳を持たない。一方、裁定を詳細に見れば、海洋国家日本が手放しで喜べな...

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国基研事務局長 黒澤聖二    フィリピンが中国との間で争う南シナ海の紛争に関する仲裁裁判の裁定が出た。7月12日の裁定は、中国が主張する「9段線」内部の歴史的権利を否定するなど、フィリピンの言い分をほぼ全面的に認めた。中国は予想通り裁定を「断固拒否」(外務省)したが、仲裁裁判所は中国に反論の機会を与えた上、ベトナムやマレーシアの主張も考慮するなど、公平中立に徹したと評価できる。...

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