公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

岩田清文の記事一覧

国基研評議員 岩田清文    9月11日、ウクライナ北東部ハリキウ州の要衝イジューム市を奪還したウクライナ軍の反攻作戦は、4日間で80~100キロという驚異的な進軍速度だった。当時、ウクライナ軍の作戦構想は、同国南部に戦力を集中しており、ハリキウは反撃の主正面ではなかった。しかし、ロシア軍の弱点が確認されたため、戦車、装甲車を中心とする機動部隊が攻撃し、ハリキウ州の大部分を奪還し...

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国基研評議員 岩田清文    ペロシ米下院議長の台湾訪問を巡り米中の駆け引きが続いている。バイデン米大統領と習近平中国国家主席による2時間の電話会談(7月28日)においても、習氏は「火遊びすれば必ず身を焦がす」と述べ、対抗措置も辞さない姿勢を示して、平行線に終わったと報道された。  ●懸念される米中軍機の衝突  大統領継承順位が副大統領に次いで2位の要職である下院議長の訪...

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ウクライナ戦争は今、ルガンスク、ドネツクの両州からなる東部ドンバス地方の攻防が焦点となっているが、長期化の様相を強めている。ロシアにとって東部2州の併合は、ウクライナ侵略における最低限の目標であり、プーチン大統領は5月9日の戦勝記念日の演説で、東部ドンバス地方を「歴史的な土地」とも表現した。現状はロシア軍の攻勢が顕著であり、6月25日には東部の要衝セベロドネツクを陥落させ、隣接するリシチャンスクを...

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ロシアのウクライナ侵攻以前に、それが全面軍事侵攻になると認識していたのは、事前に情報を掴んでいた米国とウクライナの当局者くらいであろう。軍事専門家を含め、ほとんどの者は、東部ドンバス地域への侵攻はあっても、まさか首都キーウまでとは思っていなかっただろうし、そしてまた戦闘がここまで長期化するとは想像もしていなかったであろう。 「力には力」の本質が明白に 人々を、半世紀以上、過去に引き戻し...

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ウクライナ侵略前におけるプーチン大統領の思惑は、短期間にゼレンスキー政権を倒し、5月9日の戦勝記念日には、ウクライナの中立化・ロシア化達成を記念した大々的な式典を挙行することだったろう。 しかしウクライナ軍は、2014年のロシアによるクリミア併合以降、米国の支援を受け、ロシアの想像を越えるスピードで進化し、戦える力を付けていた。一方のロシア軍は、クリミア併合の真の勝因から学ぶことなく、ウクラ...

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国基研評議員 岩田清文    米国、英国、オーストラリア3カ国が昨年9月に創設した安全保障パートナーシップの枠組み「AUKUS(オーカス)」の下では現在、豪州海軍の原子力潜水艦取得計画が進行している。3カ国はこれに加えて4月5日、AUKUSの一環として極超音速兵器の開発でも協力すると発表した。AUKUS創設の背景には、中国による太平洋、南シナ海、インド洋などへの覇権拡大に対する米...

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我が国は、地政学的、歴史的に、常に北のロシア(旧ソ連)、朝鮮半島、そして南西の中国の3正面、さらに東の米国を加えた4正面に対し、どう立ち向かい、付き合っていくのか、国家の生存と繁栄に繋がる極めて重要な戦略的判断を継続してきた。一時期、その判断に大きな失敗をした時代もあったが、そのような過ちは二度とあってはならない。 価値観が共有できる最も強い国と同盟を組み、主敵を絞った上で、他の正面は隙を見...

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3月22日の「ろんだん」において、ウクライナの惨状に鑑み、ジェイソン・モーガン氏から、『日本に「国民即応隊」を創設せよ』との熱いメッセージを頂戴した。氏のイメージは、志のある一般国民が、有事はもちろん大規模災害時、緊急的に集まり、技術的な側面などにおいて自衛隊の足らざるところを補うということのようである。負傷者の手当て、仮設避難所の設置、自衛隊到着までの秩序維持によって、直ちに近隣住民を助けること...

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国基研評議員 岩田清文    平成18年10月15日、当時の中川昭一自民党政調会長がテレビ番組で「核議論を尽くすべきだ」と発言し、国内外で大きな反響を呼んだ。中川氏はその本意を後日、週刊誌においてこう述べている。「そもそも、私は核保有議論はしていません。核の議論をしましょうと言ったのです。もっと言えば、核の抑止力の議論を提言したいと言ったのです。それは、拉致も含めて日本の平和と安...

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国基研評議員 岩田清文    昨年10月、台湾の国防部長(国防相)が、2025年には中国の全面的侵略が可能になるとの認識を示した。また昨年6月、米上院軍事委員会においては、2027年以降は中国の台湾侵攻が可能なレベルに上がるとの答弁が米インド太平洋軍司令官により行われた。これらを前提にすれば、最悪の場合、2025年~2027年以降、中台紛争勃発の危険度が高まる。  ●迫りく...

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国基研評議員・元陸上幕僚長 岩田清文    「中華民族の偉大な復興」を掲げ覇権の拡大を続ける中国は、西太平洋において海空統合演習を繰り返し、将来的に米軍をこの地域から追い出そうとしている。中国が保有するとされる2000発近い中距離弾道・巡航ミサイルは、沖縄からグアムまでを射程に収め、対抗手段としては、米国の戦略核を主体とする核抑止力に頼る他ないのが現状である。加えて中国の最新の極...

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