2月9日、韓国・平昌で行われた五輪開会式の公式レセプションでのあいさつで、文在寅大統領は、自分は韓国の思想家、申栄福を尊敬しているとして、申の言葉を引用した。また、翌10日、北朝鮮の独裁者、金正恩の妹、金与正が文大統領の官邸を訪問したとき、大統領と与正は申栄福が書いた「通」という墨字の前で記念撮影をした.
(http://m.unn.net/news/articleView.html?idxno=185356)。
では、申とは何者か。彼は金日成が1960年代、韓国に作った地下党「統一革命党」の幹部であり、68年に逮捕されて無期懲役判決を受け、20年間服役後に出所したが、その後も金日成主義者としての思想を変えずに大学教授となり、多くの著書を出し、活動をしてきた革命家だ。
その申を韓国大統領が外国の貴賓を迎えたレセプションで「尊敬している」と公言し、大統領官邸の壁に申の書を掲げ、その前で北朝鮮の独裁者の妹と2人で記念撮影をしたのだ。その上、戦慄を覚えるのは、保守系紙とされる朝鮮日報、東亜日報を含む韓国の全マスコミが、このことをまったく問題視していないことだ。ここまで韓国は親北化している。
●乗っ取られた大統領官邸
金日成が始め、金正日、金正恩が引き継いだ韓国に対する北朝鮮の政治工作はいま頂点を迎えている。2018年はじめ、金正恩は「南朝鮮では主体思想派が大統領官邸をはじめ、すべての機関を掌握した」と豪語したというが、その認識は正しいと言わざるを得ない。
事情を知る韓国保守派はこの事実に驚愕し、大統領官邸がついに朝鮮労働党に乗っ取られたとネットなどで必死に訴えている。
過去に社会主義革命を目指す地下活動に身を置き、冷戦崩壊後は完全に転向して自由民主主義者となった金文洙氏は、ネットテレビ「趙甲済テレビ」を通じて以下のように訴えている。少し長くなるが、申栄福の人物像がよくわかる。
●主体思想信奉する思想家
〈私は申栄福をよく知っています。私のソウル大学の学生運動の11年先輩で、申栄福は20年も長期囚として刑務所にいた間に私は入学し、除籍を2回もされながら申栄福先輩が活動した統一革命党の話しを沢山聞きました。
統一革命党事件は1968年に摘発された事件で、150名が捕まり、3名は死刑になりました。統一革命党は朝鮮民主主義人民共和国の指令・資金を受けて結成された地下革命組織です。
死刑になった主犯の金鍾泰、金ジンラク、李ムンギュは秘密入北して朝鮮労働党に入党し、統一革命党党員の李ジンヨン、呉ビョンホンは1968年4月22日に入北して教育を受けている最中の1968年6月末、統革党事件が摘発されると北朝鮮に残ってラジオ放送「統一革命党の声」を続けました。
申栄福はソウル大学経済学部を卒業した後、陸軍士官学校で教官をしていて捕まり無期懲役刑となりました。韓明淑・元国務総理(首相)の夫である朴ソンジュンは15年の懲役刑でした。金鍾泰が死刑になるや、金日成は彼に英雄称号を与え、海州師範学校を金鍾泰師範学校と改称しました。
申栄福は思想転向をして1988年釈放されました。しかし、月刊「マル」誌とのインタビューで申栄福は、転向書は書いたが、思想を曲げたり同志たちを裏切ったりしたことはなく、統革党に加わったことは良心の命令のためであり、今後も良心に従って統革党に加わったときと同じような考えで活動をするつもりだ、と明らかにしています。
文在寅大統領が尊敬する韓国の思想家申栄福の思想は「主体思想」「金日成思想」です。北朝鮮の金永南や日本の安倍首相など世界の首脳級の代表団が参席していた五輪公式レセプションの式辞で大韓民国の大統領が金日成思想を信奉する思想家を尊敬するとカミングアウトしたのですから、これをどうしたらよいのか私は眠ることもできません。〉