公益財団法人 国家基本問題研究所
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西岡力の記事一覧

 朴裕河氏の著書『帝国の慰安婦』を批判したい。私はすでに昨年、月刊誌『歴史通』2016年9月号に拙文「韓国で名誉毀損 朴裕河『帝国の慰安婦』をあえて批判する」を寄せて本格的に批判を行った。今回、朴氏が刑事裁判で無罪判決を得たので、日本では彼女の評価が高まった。しかし、著書が名所毀損に当たるかどうかという問題と、その主張が正しいかという問題はまったく別だ。  彼女は同書の記述によって、韓国の元慰安...

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 私は昨年10月、本研究所理事で明星大学特別教授の髙橋史朗氏らと「歴史認識問題研究会」を発足させた。「歴史認識問題」とは、単純に他国とわが国の歴史認識が異なっていることではない。そのようなことは多くの近隣国同士で起きる通常の現象だ。むしろ、国や民族が異なるからこそ歴史認識が異なるのだ。同じになることはあり得ない。したがって、歴史認識が異なることそれ自体は「解決すべき課題」ではない。  それでは、...

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 北朝鮮の労働党機関紙「労働新聞」と、韓国の左派系「ハンギョレ新聞」、保守系「朝鮮日報」「東亜日報」「中央日報」が、朴槿恵大統領たたきで全く同じ報道をしている。だから11月23日の労働新聞社説は韓国の新聞・テレビを激賛した。  ●「朴たたき」と「日本たたき」  韓国保守を代表する知識人、趙甲済氏は次のように語っている。  「保守新聞を含むマスコミがあまりにも多くの誤報をしたため、お互いか...

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 韓国国会で朴槿恵大統領の弾劾訴追がなされた。しかし、これは弾劾という名の人民裁判だった。韓国国会は大統領を弾劾する権限を持っていない。すなわち、韓国憲法では「職務執行に際して、憲法又は法律に違背したとき」に弾劾訴追を議決でき、訴追を受けて憲法裁判所が弾劾にあたるとされている。したがって、第1に、憲法や法律に違背したと判断されるときだけに弾劾訴追ができるのであって、政治責任を問うことはできないのだ...

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国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力    12月2日、わが国政府は9月に核実験を強行した北朝鮮に対する追加独自制裁措置を決め、在日の核ミサイル技術者と在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)幹部の再入国禁止対象を拡大した。新たな対象者の人数と名前は公表されなかったが、私の調べでは、核ミサイル技術者が1人、総連幹部が6人追加された。その核ミサイル技術者は朝鮮大学校の李時求元教授...

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国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力    11月12日、ソウル中心部の車道は朴槿恵韓国大統領に抗議するために集まった人々で埋まっていた。警察発表で26万人。集会の主催者は、全国民主労働組合総連盟(民主労総)など多数労組と挺身隊問題対策協議会(挺対協)など運動組織その他の連合体だ。  ●並外れた資金力  まず驚いたのは彼らの資金力だ。車道のあちこちに大型スクリー...

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 「あんなくだらない人間らのために保守運動をしてきたのではない」。10月初め、ソウルで会った韓国の保守言論人が、崔順実氏らについて、はき捨てるように語った。  崔順実氏は、朴槿恵大統領の親友で、国政介入などの疑惑にからみ逮捕された人物だ。その時点ではまだ、崔氏の廃棄パソコンは言論の手に渡っておらず、機密文書持ち出しの疑いは表面化していなかった。  疑惑とは、今年初め、突然のようにスポーツと文化...

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国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力    韓国ソウル大学の教授が「慰安婦は公娼であり、性奴隷説は間違い。韓国人慰安婦20万人説も根拠がなく、せいぜい5000人程度」という正論をインターネットの講義で展開した。この講義へのアクセスは多く、関心を集めているが、マスコミで袋だたきに遭うような状況は起きていない。  昨年末の日韓慰安婦合意後、韓国社会の対日認識が変わってきている...

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 私は初めての憲法改正にあたり、憲法9条の一項と二項を分離し、二項のみを改正して自衛隊の存在を憲法に明記すべきという提案をしている。  すでに産経新聞の正論欄コラム(8月16日付)に「自衛隊を憲法に明記する発議を」と題する拙文を寄稿し、「憲法の平和主義と軍の保持が『並存』するのは世界の常識だ」と述べた。そこでは、憲法9条一項の平和主義規定は、実は日本国憲法の特徴ではなく、国連憲章と世界の多くの国...

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 9月9日、北朝鮮が5回目の核実験を行った。金正恩政権になって3回目であり、今年だけでも1月に続き2回目だ。  筆者は、金正恩が5月の労働党大会に合わせて核実験を行う準備をしたが、中国共産党の強い反対を受け、延期したという以下のような情報を入手している。  「米国を協議に引き出すため、(北朝鮮は)もう1回、核実験をやろうとしたが、中国が核実験をこれ以上1回でもすれば、北朝鮮を米国が攻撃しても、...

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 私たちはこの間「安倍政権下でも外務省は歴史問題での国際広報に真剣に取り組んでいない。その一番の証拠は、外務省のホームページ(HP)の歴史コーナーで、慰安婦問題で世界に広がる誹謗中傷、性奴隷20万人強制連行説への反論が掲載されていないことだ」と主張してきた。外務省関係者にはもちろん、政権中枢にも様々な機会に繰り返しそのことを伝えてきた。  そして、ついに外務省が重い腰を上げた。HPの「歴史関連」...

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国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力    昨年末の日韓合意に基づき、韓国政府は7月28日、元慰安婦を支援する「和解・癒やし財団」を発足させた。発足式では合意反対派の運動家が抗議行動に出て、理事長に就任した金兌玄・誠信女子大名誉教授に唐辛子成分を浴びせる騒動を起こした。  挺身隊問題対策協議会(挺対協)をはじめとする合意反対派は「当事者の意思を排除した財団発足に反対」との...

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 米韓両国が在韓米軍防衛のため、韓国に最新鋭の迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD=サード)」を導入することを決めた。それに対して、北朝鮮と中国が激しく反発する一方、北朝鮮に従属する韓国内の従北派が配備予定地などで激しい反対運動を展開している。  人民日報系の環球時報は7月9日付社説で、「サードへの5つの対抗策」を提起した。すなわち、①配備に関与した韓国政府や企業との取引禁止②韓国政治家...

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国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力    北朝鮮の労働党大会が6日から9日まで36年ぶりに開催された。「70日間闘争」と称して党大会の準備に国民を強制動員し、海外の外交官や貿易関係者、派遣労働者らに多額の外貨上納を求めるなど、国民生活に多大な負担をもたらしたが、新方針は何も打ち出されなかった。    ●5大国並みの扱いを要求  特筆されるべきは、中国共産党が代表を送...

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国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力    北朝鮮の金正恩政権がイスラム過激組織「イスラム国」(IS)に韓国内でテロを起こすことを依頼した、という驚くべき情報を私は最近入手した。2年前から北朝鮮の特殊部隊がシリア政府の軍事演習の教官になっている。今回のテロ連携依頼は従来の北朝鮮とシリア政府との関係を裏切るものだという。※  3月の米韓合同軍事演習を自身に対する「斬首作戦」...

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国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力    日本政府は2月10日、北朝鮮への独自制裁発動を発表した。制裁内容は人的往来規制(7項目)、送金の原則禁止、北朝鮮籍船舶と北朝鮮に寄港した第3国籍船舶の入港禁止、資産凍結対象者拡大の10項目だ。このうち、人的往来規制では、朝鮮総連幹部らが北朝鮮に渡航する場合、再入国を不許可にする範囲を拡大した。注目されたのが「在日外国人の核・ミサイ...

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国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力    2月7日、北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を行った。1月6日の核実験に対する我が国の独自制裁や国連安保理の制裁が発動する前に、これ見よがしに行った金正恩政権の挑発だ。発射中止を求めていた中国政府の面子は丸つぶれだ。  我が国の多くの専門家は、核実験とミサイル実験の動機について、米国と直接交渉し、金正恩独裁体制を守るため、などと解説し...

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国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力    北朝鮮が4回目の核実験を行った。日本の安全保障にとって重大な危機だ。核兵器に対する最大の抑止力は核兵器だ。日本は世界最大の核保有国である米国と軍事同盟を結び、いわゆる「核の傘」に入って抑止力を保持している。今回の核実験直後の日米電話首脳会談で、オバマ大統領から「あらゆる手段で日本を守る」という確認があったという。  しかし、...

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国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力  慰安婦問題について日韓両政府が「最終的かつ不可逆的な解決」で合意した。慰安婦問題が外交問題化した契機は、日本マスコミの誤報と日本政府の安易な謝罪だった。問題の真の解決には、両国が慰安婦は戦時下の貧困が生んだ悲劇だったという「不都合な真実」に向き合うことが不可欠だが、今回の合意にはそれがない。関係改善のための外交的譲歩であって、後世に禍根を残す恐れ...

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国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力    11月中旬、所用で北京を訪問した機会に、中国人民抗日戦争記念館を見学した。そこで耐え難い不快感と中国共産党政府に対する怒りを覚えた。  抗日戦争記念館の展示は今年7月、「戦争勝利70年」を記念して全面改装された。私が不快感と怒りを覚えたのは、展示の終わり近くにあったガラス張りの床だった。ガラスの下に日本軍将兵から奪った銃、日...

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