米韓両国が在韓米軍防衛のため、韓国に最新鋭の迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD=サード)」を導入することを決めた。それに対して、北朝鮮と中国が激しく反発する一方、北朝鮮に従属する韓国内の従北派が配備予定地などで激しい反対運動を展開している。
人民日報系の環球時報は7月9日付社説で、「サードへの5つの対抗策」を提起した。すなわち、①配備に関与した韓国政府や企業との取引禁止②韓国政治家の入国禁止③人民解放軍による対サード技術の研究④対北制裁の見直し⑤中国とロシアによる米韓に対抗する共同行動の検討―である。このうち④が実施されると、金正恩独裁政権を追い詰める国際包囲網に穴が空いてしまう。
7月25日には、2年ぶりに中国の王毅外相と北朝鮮の李容浩外相が会談した。両者は、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連閣僚会合が開かれているラオスの首都ビエンチャンで約1時間会ったが、王外相が李外相を部屋の外まで出迎え、会談冒頭をマスコミに公開するなど和気あいあいとした雰囲気を演出して、この間、冷え切っていた両国関係が良くなっていることをアピールした。
しかし、私は、中朝関係は改善しないと見ている。具体的に言うと、金正恩政権と中国共産党の関係は、改善不可能なところまで悪化しているというのが私の見方だ。
中国は今年4月に、渡河用の浮き橋2つを鴨緑江河口の威化島地域の中国側川岸に設置した。設置地点は義州の向かい岸、丹東から10キロ地点だ。水深が浅い。この浮き橋は戦車が通れるもので、1時間に3個大隊が通過可能という。私はそれを現地でとった写真で確認した。中国筋によると、北朝鮮で内乱など混乱事態が起きたとき、瀋陽軍区の人民解放軍が南下する作戦の準備が目的という。
中国軍部の中には、韓国が日米と連携して3国の関係が強化されていることに対抗するには、中国は北朝鮮を必要とする。しかし、そのためには、中国のいうことを聞く北朝鮮政権が必要であって、金正恩は言うことを聞かないので政権交代を考えるべき―という考えが出てきている。
金正恩は中国のそのような見方を知っている。彼は中国の制裁よりも、中国が異母兄の金正男を保護していることに一番神経をとがらせている。自分を倒して正男政権を立てようとしていると疑っているという。
サードの配備決定による韓中関係悪化は、結果的に中国共産党による金正恩政権倒しを促進することになるかもしれない。
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