6月27日付の「今週の直言」(【第383回】英のEU離脱から学ぶべきこと)で、産経新聞外信部編集委員の内藤泰朗氏が述べておられたことについて、一言私見を申し述べたい。
内藤氏は、英国のEU離脱問題は、グローバル化を急ぎすぎたことによる結果のひとつとのご意見のようですが、私はグローバリゼーションに便乗している市場原理(至上)主義の制御が効かなくなっているからだと思います。
米国では工場を中国など他国に移してしまい、そのため中産階級は職を失い、中国を怪物のようにしてしまいました。日本も同様ですが、さらに派遣社員(非正社員)を雇って競争に勝とうとあくせくしています。中産階級が下層階級に下りつつあるわけです。
結果は、中産階級は消費に使う金が少なく、消費ができず、消費ができなければ国内総生産(GDP)は上がりません。安倍晋三首相が3本、6本の矢を使っても、市場原理(至上)主義のもとでは、格差はますます広がり、GDPはなかなか上がりづらいでしょう。米国の市場原理(至上)主義を信奉していては、日本のすばらしい中産階級の伝統的社会を保つことは無理でしょう。
米国の「トランプ現象」(民主党の「サンダース旋風」も本質的には同じこと)、英国のEU脱退、頻発する無差別テロの原因には共通点があります。それは市場原理(至上)主義のため格差が広がっていることへの反発があります。
残念ながら日本は、その意味でまだ目が覚めず、市場原理(至上)主義こそ国として生きる道としているのではないでしょうか。
むしろ、日本は世界のリーダーシップをとって、現在の資本主義を修正する方向を示すべきではないでしょうか。トランプ氏の発言を乱暴と笑うのでなく、その根底を見る必要があると思います。
国基研ろんだん
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