11月中旬、所用で北京を訪問した機会に、中国人民抗日戦争記念館を見学した。そこで耐え難い不快感と中国共産党政府に対する怒りを覚えた。
抗日戦争記念館の展示は今年7月、「戦争勝利70年」を記念して全面改装された。私が不快感と怒りを覚えたのは、展示の終わり近くにあったガラス張りの床だった。ガラスの下に日本軍将兵から奪った銃、日本刀などとともに日章旗が入れてあり、その上を踏みつけることが順路になっていた。日章旗は「祈武運長久」などという字や名前の寄せ書きがされていた。出征の際、家族や近所の人らが贈ったものだ。
●寄せ書き日章旗を踏みつけ
捕虜から奪ったものなのか遺品なのか、その日章旗がくしゃくしゃにされた状態で踏みつけられていた。武装解除で押収された武器と違い、捕虜の私物は戦時国際法でも個人に返還すべきものだし、遺品であっても死者を冒瀆するような扱いをすることは許されない。一部の米国将兵が勇敢に戦った日本将兵に敬意を払って、遺品の日章旗を遺族に返還したことがニュースになっている。しかし、中国共産党はそれを足蹴にしている。これは一線を越える日本と日本国民への侮辱行為だ。
このことを写真入りで報じた産経新聞は「ガラス張りの床の下に日本国旗を並べ、その上を参観者が歩く仕掛けもあった」とだけ書いて、その日章旗がどのようなものかは伝えなかった(7月15日ネット版http://www.sankei.com/world/news/150715/wor1507150035-n1.html)。英霊が泣いている。日本政府はこの展示に抗議をして日章旗の返還を求めるべきだ。官民挙げた日章旗返還運動を起こさなければならない。
●おかしな慰安婦コーナー
もう一つ見逃せないのは中国人慰安婦に関するコーナーがあったことだ。そこで展示されていた写真は、韓国で広く見かける妊娠した朝鮮人慰安婦のものだったが、キャプションは「中国人慰安婦」とされていた。
また、中国人慰安婦が強制連行された証拠として、朝日新聞が1992年1月に大きく報じた日本軍の文書が展示されていた。しかし、よく知られているようにその文書は、日本国内で日本業者が日本人女性を募集する際に誘拐まがいのことを行っていて軍の威信を失墜させているので統制を強めよ、という内容だ。
中国共産党はこのような展示を国民に日常的に見せて反日感情をあおり、自己の独裁統治を正当化している。私たちの隣国はこのような国だ。(了)