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2019.06.07 (金) 印刷する

【韓国情勢】保守勢力、ソウルで慰安婦像反対集会 西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)

 6月5日、ソウル中心部で差別主義的反日に反対する韓国の良識派保守勢力による街頭集会が開催された。主催者の一人である李宇衍(イ・ウヨン)落星台研究所研究員は、「今日の集会は反日民族主義に公然と反対する史上初めての集会である」とあいさつした。
 ここに当日、朗読された声明文の日本語訳全文を掲載する。声明文で注目すべきところは、法を無視する暴力を行使している親北過激派労組の民労総(全国民主労働組合総連盟)を正面切って批判していることだ。親日と呼ばれるタブーに挑戦するだけでも社会的生命が抹殺される危険がある韓国で、この声明文はもう一歩踏み込んで、物理的生命をもかけた大韓民国を立て直すための必死の訴えだということがわかる。

過去の記事はこちら

慰安婦像と労働者像設置に反対する6月5日ソウル集会
歴史歪曲、外交惨事の労働者像設置に反対する

 
 歴史の流れを逆に戻そうとする無知と狂気がこの国をおおっている。いわゆる慰安婦少女像と労務動員労働者像を日本大使館や領事館近くなど全国各地に立てようとする試みは、決して進歩と民主、労働者の名によって正当化されない。
 慰安婦少女像と労働者像は歴史認識を歪曲し、もっとも近い友邦国との大切な親善関係を根底から壊そうという悪魔的企てだ。我々は理性と知性の力を信じる民主進歩的市民たちの意志を集め、労働者像設置に反対する。

1 労働者像設置は歴史歪曲だ
 日帝時代に日本に働きに行った我々の祖先たちは奴隷のような強制労働に苦しんだということは徹底した歪曲だ。進歩を売り物にする輩らは別の事故で撮られた日本人たちの写真を朝鮮人たちの写真(訳注1)として偽造し、映画の一場面(同2)を実際の写真だと主張するなどでたらめを通じて反日感情をあおってきた。
 しかし、これは全く事実と異なる。当時朝鮮人たちは自発的意志によりお金を稼ぐため玄界灘を渡ったのであり、就職競争はとても熾烈だった。誰でも玄界灘を渡れることができたのでもなく、就職した後には正常に賃金が支給された。
 当時、朝鮮人たちが日本から送金した給与が朝鮮のインフレ発生の一助になったという理論もある。労働条件なども当時の日本人労働者たちと根本的な差はなく、今の基準から見ても非人間的な待遇だと言えるようなものではなかったと確認されている。
 この間、この国の進歩を売り物にする輩らが映画や大衆媒体に広めてきた「強制徴用労働者」という認識は、徹底した歪曲と虚偽だという事実が真摯な学問的研究によって暴露されている。国立日帝強制動員歴史館の追悼塔に書かれている強制徴用労働者の写真が最近、替えられたことが端的な証拠だ。年若い生徒らに歪曲された反日種族主義を注入する教科書のまちがった内容に対する修正作業も推進されている。

2 労働者像設置は最悪の外交破綻を呼び起こす
 我が国も加盟している外交関係に関するウィーン協約は、外国公館の前に物議を醸すような造形物を設置することを禁じている。もし、ベトナムの韓国大使館の前にベトナム戦争当時の韓国軍による虐殺の場面を描く彫刻像を設置するなら、それは韓国・ベトナム関係を終わらせようという宣言と変わりがない。韓日関係は韓国・ベトナム関係よりも東北アジアの国際秩序においてより一層比重が大きい。
 慰安婦像および労務動員労働者像とともに最近韓国の裁判所による強制徴用賠償判決と韓国国内に進出している日本企業に対する差し押さえ推進などは、大韓民国の近代化と経済発展に決定的に寄与した韓日親善を根底から脅かしている。これは1965年の韓日国交正常化で合意された韓日基本条約の精神に正面から違反する文在寅政権の愚かで無責任な外交的な自害行為だ。
 このような愚かな外交的な自害と韓日親善関係の破壊策動は、大韓民国の生存と繁栄の前提条件である韓日親善交流協力を根底から崩壊させようとする勢力の組織的な陰謀ではないかと疑わせる。
 いま急がれるのは、強制徴用労働者像や慰安婦少女像を設置することではなく、韓日親善交流協力を毀損しようというこの執拗で計画的な試みの本当の意図が何なのか、その背後にどのような勢力がいるのかを徹底的に究明し、その責任を問うことだ。韓日関係が動揺すれば、韓米関係が危うくなる。韓日、韓米関係が危うくなることをのどを飯が通らないほどに切実に願っている者らが誰なのか、すべての国民がしっかりと直視しなければならない時だ。

3 労働者像設置は無法地帯の世の中を予告している
 労働者像設置を主導している民労総と左派陣営は、不法暴力行為を主導するヤクザ集団のようなやりかたをどんどん露骨化している。労使協議の相手である企業体の役員を生命が脅かされる程に暴行し、警察の捜査もやりたい放題に無視する。裁判所や行政官庁に侵入し公権力を踏みにじり、警察のほほをぶんなぐる。労働者像を撤去した釜山市長を脅迫した末、降伏宣言を引き出した。
 この者らは大韓民国の法律と国民の上に君臨する占領軍なのか。大韓民国の国民の血と汗である税金を自分らのポケットのカネのように自由に出して使える新しい両班、貴族階級なのか。誰が彼らに大韓民国の法律を無視し、ごく少数の貴族労働者らのために国家と国民、法律を踏みつける権利を与えたのか。
 この者たちによる、国民の歪曲された反日感情と被害意識を扇動して自分たちの不法暴力行為を正当化し美化しようとする試みが、強制徴用労働者像に集約されている。親日清算だけをかかげれば、あらゆるヤクザのような行いが全部正当化され、進歩という名分を得ることができるという計算が適用されている。
 この者らが強調する「労働者が主人になる世の中」とは、まさに労働者の自発性や福祉を徹底的に無視し世襲貴族らによって強制徴用が日常化される世の中だという事実が、北の金氏朝鮮の実情を通じて明らかになっている。

我々は次のように要求する。

1. 民主と進歩、市民の名をかかげて歴史を歪曲する民労総と市民団体などは強制徴用労働者像の設置をすぐに取り消せ。
2. 文在寅政権と執権与党は、韓日関係を壊して金氏朝鮮の利益のために服務する愚かな行動をすぐに中断し、厳重な公権力行使を通じて労働者像設置を根本から遮断せよ。
3. 理性と良識を持つこの地のすべての知識人と市民活動家たちは、この問題が韓半島の平和と国益の擁護のために絶対的に重要な命題だという事実を認識し、積極的に反対活動に参加せよ。
4. 文在寅政権は、韓日基本条約の効力を源泉的に否定する外交破綻と韓日親善、韓米日友好関係の破壊を通じて金氏朝鮮の赤化策動に服務する策動をすぐに中断し、伝統的な友好関係を回復せよ。
このような我々の要求が実現されるときまで、我々は放棄せずにたたかう。

2019年6月5日
●慰安婦と労務動員労働者銅像設置に反対する会
●反日民族主義に反対する会
●韓国近現代史研究会
●国史教科書研究所

<訳注>
1)韓国国定小学校教科書などに掲載されていたガリガリに痩せた労働者の写真は、1926年に旭川新聞が道路建設現場での虐待致死事件を報じた際に掲載された日本人のものだった(産経新聞2019年3月20日)。
2)1965年に朝鮮総連傘下の「在日本朝鮮文学芸術家同盟」が作成した映画で、スタッフが「お母さんに会いたい、腹が減ったよ、故郷に帰りたい」とするハングルを演出のため筑豊炭鉱の壁に書き込んだ。それを韓国の国立博物館などが実物として展示している(西日本新聞2001年1月3日)。