公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

2023.09.25 (月) 印刷する

NHKに改めて望む公平・公正性の確立 太田文雄(元防衛庁情報本部長)

9月19日、東京・新宿にある産業遺産情報センターを櫻井よしこ理事長はじめ国基研の有志約10名が訪れ、加藤康子センター長(国基研企画委員)の案内で見学した。同センターは一言で言えば、明治の日本人が開国以来の短期間で産業立国を築いてきた足跡を全国23カ所の「産業遺産」でたどる展示である。その遺産の一つとして長崎県の端島炭坑(俗称・軍艦島)が展示されている。

軍艦島での朝鮮人虐待を捏造

昭和30年にNHKが「緑なき島」というタイトルを付けた番組で、戦時中の端島炭坑で朝鮮人労働者がいかに過酷な労働環境下で働かされたかを放映し、これが韓国の反日プロパガンダに利用され、世界に偽情報が広まった。ちょうど朝日新聞が韓国済州島での「慰安婦狩り」を「告白」した吉田清治氏の証言を紹介し、韓国などで反日プロパガンダの材料に使われたのと同じ構図である。情報センター内に保存されている当時の資料や関係者の証言から、NHKの報道は捏造であると裏付けられる。朝日新聞は平成26年に吉田清治氏の証言が捏造であったことを認めて謝罪したが、NHKは未だに捏造だったことを認めていない。

偏向報道の数々

翌20日に米戦略国際問題研究所(CSIS)パシフィック・フォーラムが「偽情報に対抗する日米同盟」と題してオンラインのセミナーを行った。日本からの発表者の結論が「NHKで信憑性ある情報を入手すべし」というものだったので、筆者はすかさず「軍艦島報道を捏造したNHKは信頼できる情報源たり得るのか」と反論した。

NHKの偏向報道は、軍艦島の例にとどまらない。筆者はこれまで「国基研ろんだん」で何度も指摘してきた。古い順に列挙する(カッコ内は「ろんだん」の日付と見出し)。

  1. 2017年8月13日放映のNHKスペシャル「731部隊の真実」(8月21日「NHKは中国の歴史戦に手を貸すな」
  2. 2018年5月19日放映のNHKスペシャル「日本の諜報 スクープ 最高機密ファイル」(5月28日「NHK特集の悪質な印象操作」
  3. 2019年7月10日放映のBS1「キャッチ!世界のトップニュース」で「トランプ大統領の『日米同盟は不公平』との発言は不適切」と解説(7月22日「互いに血や汗を流す同盟関係に」
  4. 2021年6月18日放映の番組で東京・六本木にある在日米軍ヘリポート基地撤去を誘導(6月21日「NHKの意図的な基地排除誘導」
  5. 2023年4月10日放映のクローズアップ現代「追跡“PFAS汚染”暮らしに迫る化学物質」で、国内の有機フッ素化合物(PFAS)検出場所が沖縄、東京・多摩地区、大阪、大分であるとし、大分や大阪には米軍基地がないにもかかわらず、原因を在日米軍基地と断定。

偽情報対策としてNHKを使うのであれば、国民が信頼できる公平・公正性をNHKに期待する。(了)
 
 

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第443回 NHKは偽情報対策たるべく公平公正を

先日、産業遺産情報センターを視察。端島炭鉱の資料を見た翌日、米国研究所が中国の偽情報に対処するには、というセミナーを。そこで日本人研究者がNHKを見ればよいと発言。しかしこれまでNHKは端島炭鉱で偽情報を垂れ流した経緯あり。本来の公平公正を求めたい。