9月19日、国家基本問題研究所・櫻井よしこ理事長を先頭に有志企画委員が「産業遺産情報センター」(新宿区若松町)を訪れ、企画委員の一人でもある加藤康子・同センター長の説明を直接聞く機会を得た。
すでに多くの人たちが訪れている施設と拝察するが、これまで一般の目にあまり触れられずにきた資料も多数あり、加えてセンター長から気迫のこもった話を聞くことで、明治の先人たちが成し遂げた多くが、偉大な事績であったことを改めて実感した。
この産業遺産情報センターは3年前の令和2年3月に開所。平成27年7月にユネスコ世界遺産委員会において世界文化遺産として登録された「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」を中心とした産業遺産に関する情報を発信している。
明治日本の産業革命遺産は、北は岩手から、南は鹿児島まで8県(岩手、静岡、山口、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島)、11市(釜石、伊豆の国、萩、北九州、中間、大牟田、長崎、佐賀、荒尾、宇城、鹿児島)という地域に立地する23の遺産で構成される。
西洋科学の情報が限られていた幕末から明治後期にかけて、日本は産業の近代化に取り組み、試行錯誤を繰り返しつつ人材を育成し、半世紀余りという極めて短期間で、「製鉄・製鋼」「造船」「石炭」の重工業分野において工業立国の土台を築いた。このような急速な産業化を成し遂げたことは、世界史において特筆すべき出来事であろう。
この遺産群のなかには日本の石炭産業を支えた長崎県の端島炭鉱もある。一部外国メディアなどが事実を歪曲して報道し、国際問題化させたこともあり注目された。歴史の事実が歪められることのないよう、今後も正しい情報を発信することに努めていただきたいと願うものである。
(文責 国基研)
※ 館内は撮影禁止ですが、特別に許可をいただきました。
※ センターの見学は事前予約制です。詳しくは産業遺産情報センターのHPをご確認ください。