【第1155回】露朝軍事同盟化に日本は備えよ
国基研企画委員・元陸上幕僚長 岩田清文 6月19日、ロシアのプーチン大統領が北朝鮮の平壌を訪問し、金正恩朝鮮労働党総書記と首脳会談を行った。両首脳は、いずれかが攻撃を受けた場合、相互に支援する条項などを盛り込んだ「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結した。 プーチン氏はこの条約について、1961年に旧ソ連と北朝鮮が結んだ「友好協力相互援助条約」と同様の内容だと説明した...
【第1154回】経済成長最優先の財政運用が重要だ
国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗 6月11日、政府は今後の経済財政政策の方向性を定めるいわゆる「骨太の方針2024」の原案を公表した。今回の骨太の方針では、様々な社会的課題に取り組むことによってデフレ脱却を確実なものとし、国民が豊かさを実感できる社会の実現を目指している。とりわけ、財政再建の指標に注目が集まった。政府は今回、プライマリーバランス(PB=国債費を除く歳...
【第1153回】不合理な敦賀原発の活断層論議
国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直 原子力規制委員会は6月6、7の両日、福井県敦賀市の日本原子力発電敦賀原発2号機の活断層に関する現地調査を行った。敦賀2号機は再稼働へ向けた安全審査が新規制基準に従って行われている。審査は敷地内の地層のひび(破砕帯)が活断層であるかの議論が延々と続き、審査書類の無断修正(規制委は改ざんと判断)や、報告書の1300か所の記載修正に伴う...
【第1152回】レーダー照射の闇を暴けない尹政権を警戒せよ
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 6月1日、木原稔防衛相は韓国の申源湜国防相とシンガポールで会談し、韓国軍駆逐艦による自衛隊機へのレーダー照射問題を事実上棚上げし、日韓防衛交流・協力を活発化することで合意した。 2018年に起きた火器管制レーダーの照射は、一歩間違えれば自衛隊機が攻撃されかねない重大な敵対行為だ。韓国がそれを認めないままで日韓が防衛協力を...
【第1151回】日本は台湾亡命政権を受け入れるか
国基研研究員 中川真紀 中国人民解放軍東部戦区は、頼清徳台湾総統の就任を受けて5月23~24日、陸、海、空、ロケット軍等による統合演習「聯合利剣2024A」を台湾周辺で実施した。今回の演習では、台湾東岸最大の港湾である花蓮港東側にも演習区域を設定し、海空軍の「統合戦備パトロール」(戦闘準備の警戒パトロール)に加え、中国海警船が「総合法執行演習」を行う等、台湾東側海空域の重視...
【第1150回】「日台は運命共同体」の重みを考えよ
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 台湾の頼清徳新総統は台湾の政界において「最も親日的な政治家」と言われる。副総統時代の2022年7月には暗殺された安倍晋三元首相の弔問のため訪日した。日本と中華民国が1972年に断交して以来、李登輝副総統(当時)が乗り継ぎで東京に立ち寄った以外では最も高位の高官の来日となった。 頼新総統は就任に先立って5月9日に行われた日本の...
【第1149回】中国大使の暴言には毅然たる態度を
国基研企画委員・元駐スイス大使・元内閣官房参与 本田悦朗 我が国の国会議員31人が台湾の賴清徳新総統の就任式に出席したのを受け、中国の呉江浩駐日大使は5月20日、東京の中国大使館で開催された座談会で「日本が中国分裂を企てる戦車に縛られてしまえば、日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」と述べた。これに対し、林芳正官房長官は22日の記者会見で「在京大使の発言として、極めて...
【第1148回】日台関係強化へ議員立法に踏み出せ
国基研企画委員兼評議員・福井県立大学名誉教授 島田洋一 5月20日、台湾の頼清徳新総統の就任式典が台北で開かれた。国基研からも、私を含む3名が招待を受けて参列した。 日本の超党派議員連盟である日華議員懇談会(日華懇、古屋圭司会長)も31名の代表団で訪れた。議員の数では、国別で最大だった。中国の反発を恐れずに参加した議員たちの姿勢は評価できる。頼総統も式典後に、日本の議員...
【第1147回】ロシアを従属させる中国の脅威
国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男 ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席が先週、北京で会談し、戦略的協力の強化で一致した。米国の世界覇権切り崩しを図る「中露枢軸」の結成だが、実相は中国が「主」、ロシアが「従」である。 協力分野は、先端技術、主要部品・材料の供給網(サプライチェーン)から安全保障全般と幅広い。 ●武器弾薬関連の対露輸出、戦争前の2....
【第1146回】同性婚を法制化する民法改正案に反対する
国基研副理事長・弁護士 髙池勝彦 立憲民主党は昨年3月6日、同性婚を法制化するための民法改正案(婚姻平等法案)を衆院に提出した。この法案の審議はなされず、棚ざらしとなつてゐるやうであるが、本年3月14日、民法や戸籍法が同性婚を認めないのは憲法違反であるといふ札幌高裁の判決が出たことで、同党は色めき立つてゐるかもしれない。そこで、同性婚容認反対の意見を改めて表明しておきたい。...