公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 江崎道朗    今は亡き安倍晋三元首相は、政策本位の政治を目指していた。  そもそも自民党の中に派閥が生まれたのは、中選挙区制度に対応するという側面が強かった。中選挙区では、複数の自民党候補が同じ選挙区で戦うので、その違いを明らかにするのに派閥ごとに特色ある政策を打ち出す必要があった。そのため同じ自民党でありながら派閥によって政策は異なることに...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    中国の習近平政権は、2023年の国内総生産(GDP)の成長率が名目4.6%、実質5.2%で、実質5%の目標を達成したと発表したが、信憑性はどうか。  中国のGDP統計はかなり前から、各地方の党幹部が党中央の掲げる成長率目標に合わせようとして、データを改ざんするという疑惑が消えない。そこで、GDPに大きく影響する不動産投資、純輸出...

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国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗    2023年に日本の名目GDP(国内総生産)がドルベースでドイツに抜かれ、世界4位になることが確実となった。しかし、国と国は競争しているわけではないので、経済規模の国別ランキング自体に意味がない。真の問題は、ドイツは着実に経済が成長しているのに対し、日本はバブル経済崩壊後、「失われた30年」と言われるように経済がほとんど成長せず、賃金...

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国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志    岸田文雄首相(自民党総裁)が自ら率いてきた「宏池会」(岸田派)を解散すると表明した。呼応するかのように、最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)と「志帥会」(二階派)も解散を決めた。いずれの派閥も会計責任者が政治資金収支報告書への虚偽記載の罪に問われ、批判を浴びていた。解散は当然と言えよう。  これを機に、政治家個々の能力よりも当...

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国基研副理事長・弁護士 髙池勝彦    1月9日、陸上幕僚副長ら自衛官数十人が靖国神社を参拝した。多くのマスコミや共産党はじめ左翼政党はこの参拝を、昭和49年11月19日の防衛事務次官通達に違反する可能性があり、憲法20条及び89条の政教分離の規定に違反するのではないかと批判してゐる。  次官通達には、「神祠、仏堂、その他宗教上の礼拝所に対して部隊参拝すること及び隊員に参加を強...

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国基研評議員兼企画委員・元防衛庁情報本部長 太田文雄    1月13日に実施された台湾総統選の選挙戦で、中国は結果が自国に有利になるよう台湾に様々な手段で影響力の行使を試みた。その教訓は日本への教訓でもある。それを二つ挙げるとすれば、一つは「アメとムチに対する強靭性」を培うことであり、もう一つは「偽情報による認知戦への対策」を講じることである。  ●中国のアメとムチ  「...

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国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志    13日投開票の台湾総統選で、親米・親日派で中国とは距離を置く民主進歩党の頼清徳氏が当選したことは喜ばしい。米政府高官が「今後10年間は軍事的にも経済的にも強大な中国と対峙しなければならない」との危機感を示す中で、価値観を共有する人物が台湾を率いることは日米にとっても大きな意味を持つ。  ●存在しない公式対話の枠組み  日...

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国基研理事・産業遺産国民会議専務理事 加藤康子    1月3日、ニューヨーク証券取引所が開くと、米ブルームバーグは、中国の電気自動車(EV)メーカー、BYD株の投資家による空売りを報じた。米大手EVメーカーのテスラも、新車の納入が始まったピックアップトラック「サイバートラック」の評判が悪く、株価が重たい。  2024年、欧米メディアは、EV需要の減速とハイブリッド(HEV)ブー...

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国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林 直    原子力規制委員会は昨年12月27日、東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)に出していた事実上の運転禁止命令の解除を決定し、東京電力に通知した。テロ対策について「自律的な改善が見込める」と判断した。同原発が再稼働すれば、首都圏の電力の需給逼迫状況が改善されるが、実際の運転再開には新潟県など地元自治体の同意が必要で、その時期は見通せ...

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国基研企画委員・韓国研究者 荒木信子    国際秩序に大きな変化が起きつつある。  ロシアの侵略によるウクライナ戦争勃発から来月で2年になるが、欧米の支援が先細り、ウクライナには厳しい情勢だ。昨年10月にはパレスチナ自治区ガザを支配するイスラム主義組織ハマスのテロをきっかけに、イスラエルによるガザ攻撃が始まった。  もしウクライナ戦争でロシアが「勝利」を収めれば、ロシアを支え...

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