公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    先週は欧州で先進7カ国首脳会議(G7サミット)がドイツで、続いて北大西洋条約機構(NATO)拡大首脳会議がスペインで開かれ、岸田文雄首相が出席した。最大の懸案はウクライナへの侵略を続けるロシア対策だが、一連の首脳声明は威力に欠ける。プーチン・ロシア大統領の盟友でロシアの外貨確保に協力する習近平中国国家主席(共産党総書記)を押さえ込...

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国基研企画委員・麗澤大学特別教授 織田邦男    参院選が始まり、各党の舌戦が続く。防衛力増強については、共産党と社民党を除き、概ね認めているようだ。だが、相変わらず論議は表層的であり、自衛隊は現代戦が戦えるのかといった本質的な問いかけをする政党はない。  ●サイバー戦を戦えない  例えばサイバー戦である。現代戦では、旧来の陸海空といった戦闘領域(ドメイン)に加え、宇宙、...

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国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦    韓国の新政権が発足し、戦後最悪とまで言われる日韓関係の関係改善へ期待が高まっている。そのためには朝鮮人戦時労働者の問題をはじめとする日韓間の懸案解決が不可欠だ。懸案の一つが3年前に日本が韓国に対して発動した輸出管理の厳格化措置だ。  ●「空騒ぎ」に過剰反応  相手国の輸出管理が信頼できる場合、その国に対して簡便な手続きで輸出で...

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国基研副理事長 田久保忠衛    参院選の公示が終わり、各党とも一斉に選挙へ向かって走り出したが、日本が国際情勢下でいかに厳しい立場にあるかの認識が欠落しているせいか、取り上げるべき問題の優先順位が明確ではない。特に、国家的危機と個人的危機の区別もないまま大声で何かを怒鳴っているだけなのが現状だ。日清戦争前夜の朝鮮半島における列強の恐ろしい外交について、陸奥宗光は「蹇蹇けんけん録...

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国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦    今、西側諸国と中露の対立を背景に、国際経済秩序が「分断の時代」を迎えている。対露経済制裁が顕在化させたのは、西側先進7か国(G7)の結束とともに、新興国・途上国の西側からの乖離だ。こうした状況で秩序作りをどう進めるべきか。それを考えるうえで歴史を参考にしたい。冷戦終了直後の輸出管理のワッセナー・アレンジメントと1980年代末のアジア太...

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国基研評議員兼企画委員 太田文雄    ケビン・メア元米国務省日本部長が自衛隊の国産ミサイル「12式地対艦誘導弾」をロシアに侵略されたウクライナに供与するよう提案した。軍事的見地からと国際的な責務という観点から賛成したい。  6月半ば、ウクライナは英国とデンマークから供与されたばかりの米国製の対艦ミサイル、ハープーンで黒海のロシア海軍タグボートを破壊したと発表。米政府もウクライ...

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元米国務省日本部長 ケビン・メア    特殊な状況下で例外的な措置を取らねばならない時が歴史の中にはある。ロシアのウクライナ侵攻はそのような機会を世界にもたらした。  日本が国際的な対ロ経済・金融制裁への支持を迅速に決めたことは大歓迎だし、ウクライナに軍用ヘルメットや防弾チョッキなどを寄贈したことも大歓迎である。しかし、ロシアの侵略に対するウクライナの抵抗を助けるために、日本は...

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国基研副理事長 田久保忠衛    「米国による平和の真の終焉」との見出しの一文がフォーリン・アフェアーズ誌ウェブ版(6月13日付)に掲載された。筆者は欧州外交問題評議会会長のマーク・レナード氏だ。ロシアによるウクライナ侵攻の影響により、ドイツは防衛政策の大転換とロシアへのエネルギー依存漸減にかじを切り、日本も追随するかのように防衛費の大幅増額に踏み切った。両国とも「普通の国」への...

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国基研評議員兼企画委員 太田文雄    米政府は6月29日から8月4日まで行われる環太平洋合同演習(リムパック)の参加国をこのほど公表したが、この中に台湾は含まれていなかった。リムパックは米海軍主催で2年に一度実施されるもので、2022会計年度の米国防権限法は今年のリムパックに台湾を参加させるようバイデン政権に促していた。また、2020年に台湾の当時の厳徳発国防部長(国防相)も参...

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国基研理事・北海道大学名誉教授 奈良林直    札幌地裁が5月31日、北海道泊村にある北海道電力泊原子力発電所1~3号機の運転差し止めを認める判決を出した。東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発の事故後、各地で原発の運転差し止めや設置許可取り消しを求める訴訟が起こされたが、いずれも上級審で覆っている。今回の原告も「脱原発弁護団全国連絡会」の支援を受けた「日本国内又は海外に居住する...

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