公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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国基研評議員兼企画委員・元防衛庁情報本部長 太田文雄    1月13日に実施された台湾総統選の選挙戦で、中国は結果が自国に有利になるよう台湾に様々な手段で影響力の行使を試みた。その教訓は日本への教訓でもある。それを二つ挙げるとすれば、一つは「アメとムチに対する強靭性」を培うことであり、もう一つは「偽情報による認知戦への対策」を講じることである。  ●中国のアメとムチ  「...

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国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志    13日投開票の台湾総統選で、親米・親日派で中国とは距離を置く民主進歩党の頼清徳氏が当選したことは喜ばしい。米政府高官が「今後10年間は軍事的にも経済的にも強大な中国と対峙しなければならない」との危機感を示す中で、価値観を共有する人物が台湾を率いることは日米にとっても大きな意味を持つ。  ●存在しない公式対話の枠組み  日...

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国基研理事・産業遺産国民会議専務理事 加藤康子    1月3日、ニューヨーク証券取引所が開くと、米ブルームバーグは、中国の電気自動車(EV)メーカー、BYD株の投資家による空売りを報じた。米大手EVメーカーのテスラも、新車の納入が始まったピックアップトラック「サイバートラック」の評判が悪く、株価が重たい。  2024年、欧米メディアは、EV需要の減速とハイブリッド(HEV)ブー...

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国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林 直    原子力規制委員会は昨年12月27日、東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)に出していた事実上の運転禁止命令の解除を決定し、東京電力に通知した。テロ対策について「自律的な改善が見込める」と判断した。同原発が再稼働すれば、首都圏の電力の需給逼迫状況が改善されるが、実際の運転再開には新潟県など地元自治体の同意が必要で、その時期は見通せ...

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国基研企画委員・韓国研究者 荒木信子    国際秩序に大きな変化が起きつつある。  ロシアの侵略によるウクライナ戦争勃発から来月で2年になるが、欧米の支援が先細り、ウクライナには厳しい情勢だ。昨年10月にはパレスチナ自治区ガザを支配するイスラム主義組織ハマスのテロをきっかけに、イスラエルによるガザ攻撃が始まった。  もしウクライナ戦争でロシアが「勝利」を収めれば、ロシアを支え...

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国基研理事長 櫻井よしこ    内憂外患である。瘦軀そうくの下級武士らが命懸けでわが国を守った明治維新時と比べても、現在のわが国の危機はなお深い。  ●連携強化する中露朝とイラン  中露、イラン、北朝鮮はもはや連携強化を隠さない。中国はロシアを石油・ガスの購入で支え、中国製「民生用」ドローンがウクライナ上空を飛び交う。プーチン露大統領は10月18日、初めて台湾を中国の不可...

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国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力    12月18日、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」の発射訓練を行った。火星18は固体燃料型で、4月と7月に試験発射が行われていた。私がこれまで繰り返し強調しているように、試験発射とされるのはまだ開発が終わっていない段階であり、開発が終わると実戦配備されて発射訓練が行われる。従って、ついに固体燃料型のICBMが実...

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国基研企画委員・麗澤大学客員教授 江崎道朗    昨年12月、岸田文雄政権は国家安全保障戦略などを全面改定し、中国、ロシア、北朝鮮などの脅威に対抗すべく反撃能力の保持に踏み切るとともに、防衛費を5年間で43兆円とすることを閣議決定した。  国家安保戦略には「国民保護のための体制の強化」という項目が新設され、有事対応が始まったことはあまり知られていない。例えば3月17日、岸田政権...

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国基研企画委員・麗澤大学特別教授・元空将 織田邦男    「戦争の帰趨は後方(ロジスティックス)で決まる」という。また「制空権なき勝利はあり得ない」ともいわれる。今年6月からのウクライナ軍による反転攻勢は思ったほどの成果を出せず、ウクライナの戦線は膠着気味である。ウクライナ軍の苦戦は、ロシアが制空権を握る戦況に加え、兵器不足、弾薬不足という「後方」に起因する面が大きい。  後方...

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国基研企画委員・元防衛庁情報本部長 太田文雄    ロシアとウクライナの戦争が膠着状態に陥り、最大の軍事援助国である米国の議会が与野党対立によりウクライナ向け追加援助で合意できない状況にある。このままでは、ロシアがウクライナに対し「侵略し得」の状態を作り出すことになりかねない。  この状態を見ている中国の習近平政権は、台湾侵攻も成功するチャンスがあると判断して、侵略に踏み切る可...

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