【第1031回】再エネ事業で中国の国土侵食を許すな
国基研企画委員・元内閣官房参与 加藤康子 中国共産党のフロント企業である上海電力が青森県で3件、風力発電事業の認可を受けている。3月、むつ市に立地する2件を視察した。 1件目は同市関根の使用済み核燃料中間貯蔵施設に隣接する空地であったが、地元では風力発電予定地で上海電力が事業認可を受けていることを知らなかった。それもその筈で、登記を確認すると、土地は日本人名義であり、認...
【第1030回】デマ政治と批判された韓国野党の福島訪問
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 韓国の左派野党「共に民主党」の議員団が福島原子力発電所処理水の海洋放出に反対するため4月6~8日に日本を訪問した。それに対して韓国内で強い批判の声が出た。特に、日頃、反日報道の先頭に立ってきた有力紙、朝鮮日報が「科学と事実を拒否、デマ政治の誘惑を捨てられない共に民主党」と題する6日付社説で、処理水放出を危険視する野党の主張に...
【第1029回】台湾との連携強化へ政府・与党は指導力を示せ
国基研評議員兼企画委員 岩田清文 台湾有事が日本有事になることは、あえて触れるまでもないだろう。米国では、その台湾有事への危機感がこれまでにないほど高まっている。その危機認識は日本政府、与党も共有しているはずだ。 ●存在しない日台調整の枠組み 日台関係に絞ったとしても、台湾有事の際に日本政府が実施すべきことは多い。 台湾在住邦人約2万5000人と旅行者に対し...
【第1028回】岸田首相のウクライナ訪問を称賛する
国基研企画委員・月刊正論発行人 有元隆志 岸田文雄首相は21日にウクライナを電撃訪問した。先進7カ国(G7)首脳では最後となったが、先の大戦後、日本の首相として初めて戦闘が続く国・地域に足を踏み入れたことを評価したい。 日本の国会には、首相や閣僚が外国訪問する時には事前了解が必要との前近代的な慣習が存在する。同じく慣例となっている参院予算委員会基本的質疑への首相と全閣僚...
【第1027回】評価できる新たな謝罪の回避
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 尹錫悦韓国大統領が先週訪日した時、私は韓国にいた。韓国のマスコミでは、尹大統領が戦時労働者問題で大きく譲歩したとして、岸田文雄首相が明確な謝罪の言葉を述べるかどうかに注目が集まっていた。元労働者に韓国政府傘下の財団が慰謝料を支払うという韓国政府の解決策について、町には「日本がやったことなのに韓国が支払うのか」という左派野党の...
【第1026回】「善意の調停者」演ずる中国にだまされるな
国基研企画委員兼研究員 湯浅博 習近平中国国家主席がロシアによるウクライナ侵略戦争の和平案を引っ提げて、今週訪露する。中国は3月に入って、湾岸地域で敵対関係にあったサウジアラビアとイランを仲介し、外交関係の再開合意を引き出すことに成功したばかりだ。その勢いを駆って、今度は欧州の戦争で「善意の調停者」を演じようとしている。 中国の秦剛外相は自国を平和志向のピースメーカーと...
【第1025回】バイデン政権の基本姿勢と実行力への疑問
国基研企画委員兼研究員・福井県立大学教授 島田洋一 3月10日、北京において、中国が仲介する形で、イランとサウジアラビアが外交関係回復で合意した。これは、左翼イデオロギーに迎合しつつ、様々な政治的思惑から腰が定まらず、ともすれば言葉と行動の乖離が目立つバイデン米政権の「弱さ」を象徴する事例ではないか。 バイデン政権は、脱炭素原理主義の立場から石油産業を敵視し、サウジアラ...
【第1024回】対韓国、ルール重視で「無原則の譲歩」を排せ
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 韓国が朝鮮人戦時労働者問題の解決策を発表して、日韓関係が正常化に向かおうとしている。この問題で韓国が踏み出した機会を逃さず、日韓間の懸案を包括的に解決することは重要だ。韓国が要求したのは2019年の日本による輸出管理の厳格化措置の解除だ。日本は「大局的な見地」から官邸主導で譲歩したようだ。もちろん大局的見地は必要で、官邸が各省に譲歩を...
【第1023回】日銀新総裁に期待する物価安定目標の貫徹
国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗 日本銀行は、新総裁に経済学者の植田和男氏、副総裁に前金融庁長官の氷見野良三氏及び日銀理事の内田真一氏を迎え、4月上旬に執行部を一新する。日銀総裁は戦後、大蔵省(現財務省)出身者と日銀出身者が交互に就任する人事が行われてきた。今回の総裁人事も財務省出身の黒田東彦氏の後任として日銀出身の雨宮正佳副総裁が指名されるのではないかとの見方が大...
【第1022回】少子化対策における隘路
国基研企画委員・日本大学文理学部非常勤講師 工藤豪 厚生労働省は2022年の出生数(速報値)が79万9728人と、1899年の統計開始以来、初めて80万人割れとなったことを発表した。2015年には100万人を維持していたが、出生数の急減に拍車がかかっており、政府は子ども・子育て支援の強化を検討している。 ●欠けていた男女双方への配慮 これまで国や自治体は積極的な...