公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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国基研理事長 櫻井よしこ    11月末の台湾統一地方選挙での与党民進党の大敗は、民進党の支持率が33.5%で国民党の18.6%より高い中での敗北だった。  なぜか。民進党の敗因は、党主席の蔡英文総統が中国の脅威を警告する外交安全保障問題に争点を絞り、生活に密着する物価や景気を軽視したことだとの批判がある。しかし、それは要因の一つにすぎない。それ以前に、世論戦、心理戦、法律戦の...

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国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直    今年8月、岸田文雄首相は「原子力発電の活用」を指示した。それを受けて経済産業省が11月28日、有識者会議の原子力小委員会で、原子力活用策の方向性と行動計画の原案を提示した。政府のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で年内に最終決定する。活用策は、①安全審査を合格した原子力発電所の早期再稼働②現行法で最長60年とされてい...

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国基研評議員兼企画委員 太田文雄    11月29日、米国防総省が中国の軍事力に関する年次報告書を公表した。我が国における防衛論議との関係から、特に注目すべきだと思われる核戦力の増強および海軍・海警の一体化の2点を取り上げたい。  ●核戦力の増強  内外メディアが報じたように、報告書は中国の核弾頭配備数が現在の400発強から2035年までに1500発に増えると予想している...

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国基研企画委員・麗澤大学特別教授 織田邦男    11月25日、防衛省のシンクタンクである防衛研究所は「中国安全保障レポート2023」を公表した。29日には米国防総省が中国の軍事力に関する年次報告書を公表した。両報告書とも中国が米国中心の国際秩序への挑戦を強めているという認識で一致している。  後者は核を含む軍事戦略的な記述が多く、前者は、サブタイトルが「認知領域とグレーゾーン...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    年末の来年度予算案編成最大の焦点は防衛力増強の財源で、優先すべきは故安倍晋三元首相が言及した「防衛国債」の発行論議である。防衛国債は経済、防衛を含む国力挽回の決め手になり得る。ところが、岸田文雄首相に対する「有識者会議」提言は国債発行を否定し、増税を求めている。国民から需要を奪い、経済及び防衛力のゼロ成長を招いてきた緊縮財政路線の...

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国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力    11月13日、岸田文雄首相が訪問先のプノンペンで尹錫悦韓国大統領と初の公式会談を行った。韓国大統領府の関係者は、懸案の一つである朝鮮人戦時労働者問題について、「首脳間で具体的な議論はなかったが、両国の実務者間で解決策は1~2個に絞り込まれた」と説明した。  尹錫悦政権は発足以来、日本企業の財産が現金化され、それに我が国が制...

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国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志    バンコクで11月17日に行われた約3年ぶりの日中首脳会談前の写真撮影で、習近平中国国家主席は笑みを絶やさず岸田文雄首相と握手を交わした。2014年に安倍晋三首相(当時)と会談した時には無表情だったのと対照的である。中国の微笑外交には魂胆がある。米バイデン政権は新たな対中半導体輸出規制に取り組むなど、厳しい姿勢で中国に臨もうとして...

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国基研企画委員兼研究員・福井県立大学教授 島田洋一    米中間選挙の結果、下院で共和党が多数となり、来年1月以降、議長および全委員長ポストを確保して、議事運営の主導権を握る方向となった。  下院外交委員長に就任予定のマイケル・マッコール議員(現外交委員会共和党筆頭理事)は米議会きっての対中強硬派として知られる。  ●下院外交委員長にタカ派  台湾の防衛力および国際的地...

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国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦    今月11日以降、アジアにおいては東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の一連の首脳会議、主要20か国・地域(G20)首脳会議、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開催された。注目すべきはその機会に行われた日米韓、米中、日米、日中、中韓などの首脳会談だ。それらに共通する経済分野でのキーワードは「サプライチェーン(供給網)」だ。 ...

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国基研企画委員兼研究員・福井県立大学教授 島田洋一    米中間選挙は本稿執筆時点で、上院における民主党の優位維持が決まったものの、下院はまだ大勢判明に至っていない。そこで、以下、最も印象的で示唆深いフロリダ州知事選に焦点を絞って論じたい。日本にとっても参考になる点が多々あると思う。  ●ぶれない政治姿勢で「時の人」に  フロリダは、選挙のたびに民主、共和両党が競り合う、...

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