公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗    日銀は7月27~28日の政策決定会合で、アベノミクスの「第一の矢」である「大規模な金融緩和」の手段として実施している長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)の「柔軟化」を決定し、即日実施に移した。即ち、従来、10年物国債の利回りの上限が0.5%であったのに対し、これを1.0%に引き上げたのである。  この新しい運用は2...

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国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦    中国は米中対立の主戦場である半導体をめぐり対抗策を繰り出している。5月に米半導体大手マイクロン・テクノロジーの製品調達を禁止したのに続き、8月からは半導体材料にもなるガリウムやゲルマニウムを輸出許可の対象とした。米国などへの牽制が目的だ。  米国は昨年10月に対中半導体規制を打ち出し、さらに強化しようとしている。日本も7月23日から...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    日本銀行は7月28日の金融政策決定会合で、長期金利の許容上限を1%に事実上引き上げた。4月に就任した植田和男総裁は、黒田東彦前総裁時代に始めた長短金利操作(YCC)の修正に着手したわけだが、国債や外国為替の投機を勢いづかせかねない。  ●金利上昇の負の効果  日本経済は異次元金融緩和などアベノミクスの遺産のおかげで今、着実...

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国基研企画委員兼研究員・福井県立大学名誉教授 島田洋一    米国のケリー気候変動問題担当大統領特使が7月中旬、中国を訪問し、外交トップの王毅中国共産党政治局員らと会談した。  気候変動対策は他の政治案件とは切り離して進めるべきだと訴えたケリー氏に対し、王氏は、米中関係は全ての問題がリンクしており、特に台湾問題で米側が中国側の意に沿う行動を取らなければ、脱炭素で踏み込んだ合意な...

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国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦    東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出に対して、中国は日本からの輸入水産物への放射性物質の検査強化を打ち出した。これまでのサンプル検査から全量検査に切り替えたのだ。その結果、鮮魚などが税関で留め置かれる事態が発生している。さらに香港は海洋放出されれば輸入を禁止する方針も打ち出している。中国、香港向けは日本の水産物輸出の約4割を...

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国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力    北朝鮮では今、すさまじい食糧難が発生し、首都平壌を含む全国で餓死者が続出している。軍将校、安全員(警察)、保衛員(政治警察)の家族への食糧配給が昨年11月頃から止まり、今年6月からは本人への配給も止まった。兵士も乏しい食事で飢えている。このような飢饉の状況を日本と韓国のマスコミはほとんど伝えていない。  韓国には北朝鮮内部...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    北大西洋条約機構(NATO)に対する岸田文雄首相の入れ込みようが目立つ。リトアニアの首都ビリニュスで先週行われたNATO首脳会議に「パートナー国」日本のリーダーとして参加した岸田首相は、ロシアとの戦争を戦うウクライナがNATO加盟を認められるまでの間、主要7カ国(G7)がそれぞれウクライナに軍事を含む積極的な支援を与えるという内容のG7の共同...

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国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗    最近、1ドル=140円台の円安傾向が続いている。この円安が輸入品価格の上昇や、国内物価を外貨に換算した場合の「チープ・ジャパン」をもたらしているとの自虐的な批判も見受けられる。日銀の低金利政策が円安の一因になっているとして、低金利政策の修正や撤廃を主張する意見もある。  しかし、最近の円安の実態を見る限り、これらの批判や主張は的外...

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国基研企画委員・月刊正論発行人 有元隆志    案の定、という結果となった。昨年末の国家安全保障戦略など戦略3文書の改定を受けて、武器輸出の緩和を議論してきた自民、公明両党の協議は「論点整理」の発表にとどまり、結論を秋以降に持ち越した。ロシアによるウクライナ侵略を受けて、ウクライナ支援に向けた日本の貢献度を高めるためにも、防衛装備品の輸出に関するルールの見直しを求める声が自民党内...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    米国が日本に差し掛ける「核の傘」の信頼性を高めるための日米実務者レベルによる定例の「拡大抑止協議」が6月末に開かれ、両国政府により協議内容がこれまでより詳しく公表された。広報の改善はないよりましだ。しかし、それだけでは核の傘や拡大核抑止に関する日本国民の疑問を解消することにならない。  ●ヒーリーの定理  核抑止の専門家が「ヒーリーの...

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