【第1215回】日銀は利上げを急ぐな
国基研理事兼企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗 日本銀行は23,24の両日、金融政策決定会合を開く。現在0.25%の政策金利(金融政策の主要手段となっている「翌日物銀行間コール・レート」)の引き上げが行われるかどうかが焦点で、行われる場合には0.5%への引き上げとなろう。一般に、政策金利が引き上げられれば、住宅ローンの金利上昇、円高、株安、物価の下押しなど、広範囲に影響を及...
【第1214回】石破首相は安倍氏に学べ
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 石破茂首相は2月前半に訪米し、トランプ次期大統領と初会談する方向で調整している。石破首相は昨年11月に当選したばかりのトランプ氏との会談を模索したが、本欄では「慌てて会う必要はない」と反対した。だが、バイデン大統領が日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収計画の禁止命令を出したことを覆せるのはトランプ氏である。説得を試みる価値はあ...
【第1213回】日中韓FTAに前のめりになる危うさ
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 石破茂政権の「中国寄り」姿勢の危うさがさらに高まっている。2月に中国の王毅共産党政治局員兼外相を日本に招待し、その際、日中韓の外相会談も開催する予定だ。日中韓の首脳会談も春以降に開催を見込む。そこで浮上しているのが日中韓の自由貿易協定(FTA)だ。 ●構造問題避けた交渉狙う中国 中国は日中韓FTAの本格交渉入りを日本に迫っ...
【第1212回】自由統一を阻害する韓国の陰謀論者たち
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 私の研究対象である朝鮮半島は昨年、大激動を迎えた。北朝鮮世襲独裁政権の3代目である金正恩総書記が2023年12月の労働党中央委員会総会と2024年1月の最高人民会議(国会)で、「韓国は統一すべき同じ民族ではなく敵対する外国だ」と宣言し、故金日成主席と故金正日総書記の民族統一戦略を否定した。 祖父と父の否定は統一戦略だけに...
【第1211回】年初に危ぶむ石破政権の媚中政策
国基研理事長 櫻井よしこ 方向は異なるが、米中両国は揃って戦後の国際秩序の抜本的変革を目指している。令和7(2025)年、世界が大きな変化をよりはっきりした形で体験するのは必然だろう。中華帝国の復活を目指す習近平中国国家主席と、同盟国は米国を頼るのではなく各々が基本的責任(primary responsibility)を果たす強い国であるべきだと主張するトランプ次期米大統領...
【第1210回】防衛費GDP比3%を検討せよ
国基研企画委員・麗澤大学客員教授 江崎道朗 英紙フィナンシャル・タイムズ電子版は12月20日、トランプ次期米大統領が、ウクライナへの軍事支援を続ける一方で、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の国防費の割合を国内総生産(GDP)の5%に引き上げるよう要求したと報じた。ロシアの脅威に直面する欧州諸国は、ウクライナ軍事支援で米国に頼るだけでなく、もっと多くの負担をすべきだというこ...
【第1209回】エネ基本計画原案への一定の評価と不満
国基研理事・東京科学大学 特任教授 奈良林 直 12月17日、「第7次エネルギー基本計画」の原案が政府によって公表された。これに先立ち、国基研エネルギー問題研究会は9月9日付で「再エネ(再生可能エネルギー)の主力電源化はやめて、原子力の最大限活用に舵を切れ」と題する政策提言をまとめ、自民党の「脱炭素社会実現と国力維持・向上のための 最新型原子力リプレース推進議員連盟」総会で...
【第1208回】戦後80年、中国との歴史戦に備えよ
国基研企画委員・静岡大学教授 大野旭(楊海英) 中国の「抗日戦争勝利80周年」に当たる2025年は、日本と中国の「歴史戦」の年となる可能性が高い。歴史学界やメディアをはじめ日本国民は、中国の歴史修正主義に真っ向から立ち向かう必要がある。 ●映画「731」で反日宣伝強化へ 歴史戦の兆しが見えたのは、映画「731」の宣伝活動が始まったことだ。この映画は、2025年7...
【第1207回】中国が実戦に即した台湾有事軍事演習
国基研研究員 中川真紀 中国はこのほど、台湾周辺と西太平洋で大規模な軍事演習を実施したもようだ。今のところ中国の公式発表はないが、12月6日に中国の海警船が特異な航行を開始し、9~11日には中国が台湾対岸を含む7か所に飛行制限区域を設定したことから、軍事演習を準備も含め6~11日に行ったと見られる。台湾は中国軍と海警の活動活発化に警戒態勢を強化した。 ●海軍・海警の...
【第1206回】尹政権〝自爆〟で経済安保も流動化
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 韓国の尹錫悦大統領による衝撃的な戒厳令布告とその失敗は、日本にも大きな衝撃を与えた。韓国国会の弾劾決議は不成立となったが、尹大統領の統治は事実上終ろうとしている。早期に大統領選挙が実施されれば、野党「共に民主党」の李在明代表が勝利する可能性が高くなる。そうなると、韓国の外交・安全保障政策に深刻な変化がもたらされる。 ●日韓関係...