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2024.09.13 (金)

【政策提言】 国益を基準にする外国人政策を確立せよ(第二段)

令和6年9月13日
国家基本問題研究所
外国人政策研究会
共同座長 西岡力・三浦小太郎

政策提言

国益を基準にする外国人政策を確立せよ(第二段)

 人手不足解消のために外国人労働者を増やす政策が次々に実施されている。令和5年に在留外国人が増え続け全人口の3%、340万人となっている。法務省の行政措置で要件が大幅に緩和されたため永住許可者が増え続け、90万人(令和5年)となった。その上、去る3月29日、岸田内閣は、人手不足とされる分野において、特定技能制度の拡充により、本年から82万人の外国人労働者を受けいれることを閣議決定した。すでに一部の地域では教育・福祉などの負担過重、地域社会との摩擦といった社会的コストが顕在化している。我々は現在進行中の、なし崩しの外国人未熟練労働者の受け入れは将来に禍根を残すことであると判断し、外国人政策は国益を基準にするべきだという立場から、下記の緊急政策を提言するものである。

1. 国益なきなし崩しの外国人未熟練労働者受け入れを停止せよ
(1)外国人未熟練労働者の導入は、日本人労働者の賃金引き上げを妨げる
(2)日本人労働者はさらに活用の余地がある

2. 外国人基本法を早急に制定せよ
(1)外国人受け入れはわが国の国益を判断基準としなければならない
(2)現在政府は、在留外国人に対する様々な問題を、事実上、自治体、職場・学校現場の判断にゆだねているが、本来これは国家の責任である
(3)外国人未熟練労働者の受け入れが与える社会的コスト(教育、福祉、治安、文化摩擦、安全保障上の懸案など)を勘案して、国民経済全体へのプラスとマイナスの影響を精査せよ
(4)日本人労働者の雇用と待遇、日本経済の成長に資する内容にしなければならない

3. 永住許可の急増を止めよ
(1)活動無制限・家族在留可能な在留が無期限で認められる永住許可制度を国益の観点から見直せ
(2)平成30年の入管法改正に際して国会は、「出入国管理及び難民認定法第22条第2項の要件(その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可することができる)の適合性について、厳格に審査を行うこと」という付帯決議を行った
(3)法務省はこの決議に基づき早急に永住許可の要件を日本在留20年に戻せ
(4)永住制度そのものを見直して、期限をつけて更新のたびに国益の観点から審査できる定住制度への一本化を検討せよ

 

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政策提言 国益を基準にする外国人政策を確立せよ

外国人労働者を増やす政策が次々に実施されています。人手不足解消のためにはプラスだが、外国人労働者受け入れによる教育・福祉の負担増大や地域社会との摩擦など社会的コストが顕在化しています。国基研では、外国人政策は国益を基準にすべきという立場から政策提言をまとめました。